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労災保険法(5)-13

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テキスト本文の開始

 

 

□*2 同一の事由により国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法又は私立学校教職員共済法の規定による障害共済年金又は遺族共済年金が支給される場合にあっては、労災保険の保険給付は減額調整されない。(平8択)

 


(例)私立学校教職員共済制度の加入者に対し、労災年金給付と共済年金給付が併給される場合

 

 

advance

 

□厚生年金保険法の規定による「障害手当金」に係る障害の程度を定めるべき日において、障害(補償)給付を受ける権利を有する場合は、障害手当金は支給されない(厚生年金保険法56条3号)。


↓ したがって…


障害(補償)給付は、調整されることなく支給される。(平6択)(平14択)

 

 

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□社会保険から支給される年金額が低額である場合には、「調整後(減額後)の労災保険給付額+社会保険の年金額」が「調整前(本来)の労災保険給付額」よりも少なくなることがある。


↓ そこで…


このような場合には、「調整前の労災保険給付額-社会保険の年金額」を、支給すべき労災保険給付額として決定する(令3条ほか)。
(つまり、「調整前(本来)の労災保険給付額」が、併給後の最低保障額として支給される)


↓ 同様に…


□「休業補償給付」については、減額調整した後の額が、調整前の休業補償給付の額から同一の事由により支給される社会保険の年金給付の額の365分の1の額を減じた額を下回る場合には、「後者の額」が休業補償給付の額となる(令1条、令附則3項)。

 

2  事業主による民事損害賠償-1
(保険給付側・法附則64条2項)                                重要度 ●●●

 

outline

 

(1) 基本的な考え方(イメージ)

 

 


a) 治療費に対する「療養補償」は、全額(100%)補償である(被災労働者に自己負担なし)。


b) 逸失利益に対する「休業補償等」は、一部てん補である

(全額補償ではない)。


c)「企業内災害補償等」とは、法定外の積極的な(任意の)補償である。

 

      

  ↓ このとき…

 


□仮に、事業主に過失責任のある事故であっても、一般的には、上記a)、b)ともに労災保険法の保険給付を利用しつつ、てん補されない部分について、会社の企業内災害補償制度等で償うこととなる。


↓ ところが…


事業主が、保険給付によりてん補される部分を含めて補償したとするならば、二重の所得補償が行われることとなり、その調整を図る必要性が生ずる。


↓ この仕組みが…


「労災保険給付における調整」である →法附則64条2項


↓ また…


最低保障期間の明確な保険事故(具体的には、前払一時金制度のある年金給付)に関しては、あらかじめ損害賠償に関する「履行の猶予」を認めておき、事業主の負担軽減と過度の補償が行われないようにするための調整規定が置かれている。


↓ この仕組みを…


「民事損害賠償における調整」という →法附則64条1項