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労災保険法(5)-8

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4  第三者行為災害-2 (控除・法12条の4第2項)         重要度 ●●
 

条文

 

 

前項の場合において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について損害賠償を受けたとき*1は、政府は、その価額の限度で保険給付をしないことができる。(平12択)(平15択)(平18択)(平20択)

 

 

ここをチェック

 

□*1「損害賠償を受けたとき」とは、受給権者が、第三者から見舞金、香典、慰謝料等精神的苦痛に対する損害賠償や贈与と認められる金品を得た場合には、該当しない。(平11択)


↓ ただし…


見舞金、香典、慰謝料等の名目で第三者より金品を受領している場合であっても、当該金品の全部又は一部が労災保険の給付と同一の事由による損害賠償と認められるときは、その額を保険給付額から控除するよう取り扱う

(平8.3.5基発99号)。


↓ また…


□第三者行為災害の解決が、裁判外の和解契約(いわゆる「示談」)によってなされた場合、次のいずれの項目にも該当するときは、原則として、保険給付は行われない(昭38.6.17基発687号)。(平6択)(平11択)

 


a) 当該示談が真正に成立していること。


b) その内容が、受給権者の第三者に対して有する損害賠償請求権(保険給付と同一の事由に基づくものに限る)の全部のてん補を目的としていること。

 

 

advance

 

□「控除期間」は、損害賠償の行われた日又は示談成立の日の属する月の翌月以後に受給権者に支給されるべき年金等について、当該損害賠償又は示談により控除される額に達するまでの間、災害発生後3年を限度としてその支給を停止することとされている。


↓ したがって…


災害発生後3年を経過したときは、その支給停止額が損害賠償額に満たない場合であっても保険給付は開始される(昭41.6.17基発610号)。

(平6択)(平14択)

 

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□第三者行為災害が自動車事故によって生じたものであるときは、自動車損害賠償責任保険(以下「自賠責保険」という)との調整が必要となる(昭41.12.16基発1305号)。

 


自賠責保険は、自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合に、自動車の保有者及び運転者の損害賠償責任を保険する制度である。自賠責保険においては、その被保険者が保険金を請求することが原則であるが、被害者の保護の観点から、被害者が直接保険会社に対して保険金額の範囲内において損害賠償額の支払を請求することができるとされる。


↓ そこで…


自賠責保険に対する損害賠償額の支払請求権は、労災保険法12条の4にいう「損害賠償請求権」とみなされて、その価額の限度において各調整が行われる(ただし、「控除」の適用に当たっては、自賠責保険の給付金から精神的苦痛に対する損害賠償部分を除いた額が対象となる)。(平6択)