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労災保険法(5)-5

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第 7 章

保険給付の通則
Part2

第1節  通則〈後半〉    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・150
第2節  費用の負担    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・164
第3節  その他の調整規定    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・167

 

 

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第1節  通則〈後半〉

 

1  支給制限 (法12条の2の2)                         重要度 ●●● 

 

条文

 

 

1) 労働者が、故意に*1負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。

(平2択)(平17択)(平12選)(平15選)

 

2) 労働者が故意の犯罪行為*2若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

(平7択)(平17択)(平20択)(平12選)(平15選)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「故意」とは、自分の行為が一定の結果を生ずべきことを認識し、かつ、この結果を生ずることを認容することをいう(昭40.7.31基発901号)。

 


原則

 

すべての保険給付が不支給となる。

 

例外

 

被災労働者が結果の発生を認容していても業務との因果関係が認められる事故については、支給制限の規定は適用されない。(平13択)

 

      

  ↓ なお…

 

業務上の精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたと認められる場合には、結果の発生を意図した故意には該当しない

(平11.9.14基発545号)。

 

□*2「故意の犯罪行為」とは、事故の発生を意図した故意はないが、その原因となる犯罪行為が故意によるものであることをいう(昭40.7.31基発901号)。

 

↓ なお…


支給制限の対象となる「故意の犯罪行為又は重大な過失」にあたるものとは、事故発生の直接の原因となった行為が、法令(労働基準法、鉱山保安法、道路交通法等)上の危害防止に関する規定で罰則の付されているものに違反すると認められる場合である(昭40.7.31基発906号)。(平10択)


↓ したがって…


軽度の過失による場合など、「労働者が事故を生じさせた」という事由のみをもって支給制限が行われることはない。(平20択)