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労災保険法(4)-13

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テキスト本文の開始

 

 

 

8  遺族補償年金前払一時金 (法附則60条)               重要度 ●●    

 

条文

 


1) 政府は、当分の間、労働者が業務上の事由により死亡した場合における当該死亡に関しては、遺族補償年金を受ける権利を有する遺族に対し、その請求に基づき、保険給付として、遺族補償年金前払一時金を支給する。(平9択)


2) 遺族補償年金前払一時金の額は、給付基礎日額(算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以後に前項の請求があった場合にあっては、当該遺族補償年金前払一時金を遺族補償一時金とみなして第8条の4の規定を適用したときに得られる給付基礎日額に相当する額)の1,000日分に相当する額を限度として厚生労働省令で定める額*1とする。


3) 遺族補償年金前払一時金が支給される場合には、当該労働者の死亡に係る遺族補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が厚生労働省令で定める算定方法に従い当該遺族補償年金前払一時金の額に達するまでの間、その支給を停止する*2。

 

 

ここをチェック

 

□*1「厚生労働省令で定める額」とは、次のとおりである(則附則31項)。

(平3択)(平18択)

 

給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分又は1,000日分

 

□遺族補償年金前払一時金は、「55歳以上60歳未満」の若年支給停止対象者であっても請求することができる(昭40法附則43条3項但し書)。

(平4択)(平6択)

 

ちょっとアドバイス

 

□遺族補償年金前払一時金の支給を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する(5項)。

 

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□「遺族補償年金前払一時金」の請求は、次のとおりである(則附則33項)。

 


a) 同一の事由に関し、1回に限り行うことができる。(平4択)
先順位者が前払一時金請求を行っている場合には、後順位者(転給により遺族補償年金の受給権者となった者)は請求できない。


b) その受給権者が、支給を受けようとする額を所轄労働基準監督署長に示して行わなければならない。


c) 遺族補償年金の請求と同時に行わなければならない。(平8択)


↓ ただし…

 


遺族補償年金の「支給決定の通知のあった日」の翌日から起算して1年を経過する日までの間は、当該遺族補償年金を請求した後においても遺族補償年金前払一時金を請求することができる。

 

      

  ↓ なお…


d) 当該請求に係る額は、最高限度額(1,000日分)から既に支給を受けた遺族補償年金の額の合計額を減じた額を超えてはならない。


e) その請求が、遺族補償年金の支給を請求した後に行われる場合は、1月、3月、5月、7月、9月又は11月のうち、当該遺族補償年金前払一時金の請求が行われた月後の最初の月に支給される。

 

 

advance

 

□*2 遺族補償年金前払一時金が支給された場合の「遺族補償年金の支給停止期間」の計算方法については、障害補償年金前払一時金に係る規定が準用される(則附則34項)。


↓ なお…


遺族補償年金の支給停止期間が満了していない時点で、転給により次順位者が受給権者となった場合であっても、支給停止は継続される

 

条文

 


6) 遺族補償年金前払一時金は、遺族補償年金とみなして、徴収法第12条第3項及び第20条第1項の規定を適用する。


7) 遺族補償年金前払一時金の支給を受けた者に支給されるべき遺族補償年金の支給が第3項の規定により停止されている間は、当該遺族補償年金については、国民年金法36条の2第2項及び旧国民年金法65条2項並びに児童扶養手当法の規定は、適用しない。
<障害補償年金前払一時金と同様の調整規定>

 

 

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9  遺族補償給付の欠格 (法16条の9)                   重要度 ●    

   

条文

 


1) 労働者を故意に死亡させた者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としない。 (平12択)(平17択)


2) 労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族としない。(平5択)(平12択)(平23択)


3) 遺族補償年金を受けることができる遺族を故意に死亡させた者は、遺族補償一時金を受けることができる遺族としない。労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者も、同様とする。


4) 遺族補償年金を受けることができる遺族が、遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の他の遺族を故意に死亡させたときは、その者は、遺族補償年金を受けることができる遺族でなくなる。この場合において、その者が遺族補償年金を受ける権利を有する者であるときは、その権利は、消滅する。


5) 前項後段の場合には、同順位者がなくて後順位者があるときは、次順位者に遺族補償年金を支給する。