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労災保険法(4)-1

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6  障害補償年金前払一時金 (法附則59条)               重要度 ●●    

 

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◆障害補償年金前払一時金の必要性

 


□労働災害により障害状態となった場合、その後の生活環境の整備や当面の生計費等一時的に家計に及ぼす影響は過大なものがある。


↓ そこで…


本来ならば年6回の「分割払」を原則とする障害補償年金を、一定の単位で一定額を限度として一括支給する制度が設けられている。
*その額(上限額)に達するまで受給できずに死亡したり障害状態でなくなったりしたとしても、当該額までは障害補償としての支払が保障される


↓ なお、前払一時金の請求は…

 


a) 同一の事由に関し、1回に限り行うことができる(則附則27項)。

(平10択)(平20択)


b) その受給権者が、支給を受けようとする額を所轄労働基準監督署長に示して行わなければならない(則附則28項)。

 

 

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条文

 

 

1) 政府は、当分の間、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治ったとき身体に障害が存する場合における当該障害に関しては、障害補償年金を受ける権利を有する者に対し、その請求に基づき*1、保険給付として、障害補償年金前払一時金を支給する。

 

2) 障害補償年金前払一時金の額は、障害補償年金差額一時金の表の障害等級に応じ、それぞれ同表に掲げる額を限度として厚生労働省令で定める額とする*2。

 

3) 障害補償年金前払一時金が支給される場合には、当該労働者の障害に係る障害補償年金は、各月に支給されるべき額の合計額が厚生労働省令で定める算定方法*3に従い当該障害補償年金前払一時金の額に達するまでの間、その支給を停止する。(平3択)

 

4) 障害補償年金前払一時金の支給を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。

 

5) 障害補償年金前払一時金は、障害補償年金とみなして、徴収法第12条第3項及び第20条第1項の規定を適用する。

 

6) 障害補償年金前払一時金の支給を受けた者に支給されるべき障害補償年金の支給が第3項の規定により停止されている間は、当該障害補償年金については、国民年金法、旧国民年金法、児童扶養手当法並びに特別児童扶養手当法の規定は、適用しない*4。 (平4択)(平8択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「障害補償年金前払一時金」の請求は、障害補償年金の請求と同時に行わなければならない(則附則26項)。


↓ ただし…


障害補償年金の支給決定の通知のあった日の翌日から起算して1年を経過する日までの間は、当該障害補償年金を請求した後においても障害補償年金前払一時金を請求することができる。(平3択)


↓ なお、この場合は…


当該請求に係る額は、「最高限度額」から既に支給を受けた障害補償年金の額の合計額を減じた額を超えてはならない(則附則28項)。

 

□*2「厚生労働省令で定める額」とは、次のとおりである(則附則24項)。

 


障害等級

 

支給額

 

第1級

 

給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分、1,200日分又は1,340日分

 

第2級

 

給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分又は1,190日分

 

第3級

 

給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000 日分又は1,050日分

 

第4級

 

給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、又は920日分

 

第5級

 

給付基礎日額の200日分、400日分、600日分又は790日分

 

第6級

 

給付基礎日額の200日分、400日分、600日分又は670日分

 

第7級

 

給付基礎日額の200日分、400日分又は560日分