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労災保険法(2)-12

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テキスト本文の開始

 

 

 

4  年金の内払-1 (支給停止、減額改定・法12条1項)      重要度 ●    

   

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a) 支給を停止すべき事由が生じた!


↓ にもかかわらず…


停止すべき期間の分として年金たる保険給付が支払われてしまった。

 

 

b) 減額して改定すべき事由が生じた!


↓ にもかかわらず…


減額しない額の年金たる保険給付が支払われてしまった。

 

 

こんなとき…

 


あえて、その時点において過払い分を返還させるのではなく、その後に支払うべき保険給付分を支払ったものとして処理する制度は、実務上合理的である。

 

↓ そこで…


その後に支払うこととなる保険給付額との間で調整することができる制度が設けられた。

 


*「内払」は、過払い分を受け取った者と返還すべき者が同一人である場合に行われる。

 

 

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条文

 

 

年金たる保険給付の支給を停止すべき事由が生じたにもかかわらず、その停止すべき期間の分として年金たる保険給付が支払われたときは、その支払われた年金たる保険給付は、その後に支払うべき年金たる保険給付の内払とみなすことができる。

年金たる保険給付を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金たる保険給付が支払われた場合における当該年金たる保険給付の当該減額すべきであった部分についても、同様とする。

 

 

ここで具体例!

 

 

5  年金の内払-2 (権利の消滅・法12条2項・3項)        重要度 ●    

   

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消滅した保険給付

 

 

新たな保険給付

 

 

傷病(補償)年金

 

 

障害(補償)年金、障害(補償)一時金、休業(補償)給付

 

 

障害(補償)年金

 

 

傷病(補償)年金、障害(補償)一時金、休業(補償)給付

 

 

休業(補償)給付

 

 

傷病(補償)年金、障害(補償)年金、障害(補償)一時金

 

 

条文

 


2) 同一の業務上の事由又は通勤による負傷又は疾病(以下「同一の傷病」という)に関し、年金たる保険給付(遺族(補償)年金を除く、「乙年金」という)を受ける権利を有する労働者が他の年金たる保険給付(遺族(補償)年金を除く、「甲年金」という)を受ける権利を有することとなり、かつ、乙年金を受ける権利が消滅した場合において、その消滅した月の翌月以後の分として乙年金が支払われたときは、その支払われた乙年金は、甲年金の内払とみなす。
同一の傷病に関し、年金たる保険給付(遺族(補償)年金を除く)を受ける権利を有する労働者が休業(補償)給付又は障害(補償)一時金を受ける権利を有することとなり、かつ、当該年金たる保険給付を受ける権利が消滅した場合において、その消滅した月の翌月以後の分として当該年金たる保険給付が支払われたときも、同様とする。(平16択)


3) 同一の傷病に関し、休業(補償)給付を受けている労働者が障害(補償)給付若しくは傷病(補償)年金を受ける権利を有することとなり、かつ、休業(補償)給付を行わないこととなった場合において、その後も休業(補償)給付が支払われたときは、その支払われた休業(補償)給付は、当該障害(補償)給付若しくは傷病(補償)年金の内払とみなす。 (平19択)

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□同一の傷病に関し、保険給付の種類が変更されたにもかかわらず、変更前の保険給付が引き続き行われたときは、その額相当分について、変更後の保険給付が行われたものとみなす。


↓ なお…

 

この規定は、遺族(補償)年金については、適用されない。(平5択)