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労災保険法(1)-13

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テキスト本文の開始

 

 

 

(認められた事例)  被災労働者は、夫の入院先である病院に宿泊し、翌朝、当該病院より勤務先への出勤途中、路面が凍結しアイスバーン状になっているところを歩行中に転倒し、尾骨部を地面に打ち負傷したものである。なお、被災労働者は、入院中の夫の看護のため、勤務のかたわら母親と1日交替で看護にあたっていた。交替で看護にあたっていた間は、通勤経路は自宅から勤務先に出勤し、業務終了後、当該病院へ行き看護にあたり、翌日は当該病院から直接勤務先へ出勤し、業務終了後自宅へ帰るという態様を繰り返していた

(昭52.12.23基収981号)。

 

 

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(2) 就業の場所 <業務を開始し、終了するところ>

 


OK

 

a) 物品を得意先に届けて、その届け先から直接帰宅する場合の物品の届け先。


b) 全員参加で出勤扱いとなる会社主催の運動会の会場。


c) 接待業務に利用した飲食店、外勤営業職の直行先、直帰先 etc.

 

 

(3) 就業に関し <移動行為と業務の間に関連性があること>

 


OK

 

a) 事業主の命によって物品を届けに行く場合。


b) 事業主の命を受けて、得意先を接待し又は得意先との打ち合わせに出席する場合。


c) 全職員について参加が命じられ、これに参加すると出勤扱いとされるような会社主催の運動会等の行事に参加する場合。


d) 転任の場合における転任前の住居(以下「帰省先住居」という)から転任後の住居(以下「赴任先住居」という)への移動の場合は、実態等を踏まえ、当該移動が業務に就く当日又は前日に行われた場合は、就業との関連性が認められる(ただし、前々日以前に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる)。


e) 転任の場合における赴任先住居から帰省先住居への移動の場合は、実態等を踏まえ、当該移動が業務に従事した当日又は翌日に行われた場合は、就業との関連性が認められる(ただし、翌々日以後に行われた場合は、交通機関の状況等の合理的理由があるときに限り、就業との関連性が認められる)etc.

 

NG

 

a) 休日に会社の運動施設を利用しに行く場合。


b) 参加するか否かが労働者の任意とされている会社主催の運動会等の行事に参加する場合。


c) 運動部の練習に参加する等の目的で、例えば、午後の遅番の出勤者であるにもかかわらず、朝から住居を出るなど、所定の就業開始時刻とかけ離れた時刻(おおむね2時間を超える場合)に会社に行く場合。


d) 第2の就業の場所にその所定の就業開始時刻と著しくかけ離れた時刻に出勤する場合(ただし、第1の就業の場所における就業終了時刻等によりやむを得ない事情によることがあるため、おおむね2時間を超える長時間であっても、それのみをもって、就業との関連性が失われるものではない。また、第1の就業の場所における就業終了時刻後の業務以外の行為による時間の経過は、それのみをもって、第2の就業場所への移動に係る就業との関連性を失わせるものではない)etc.

 

 

□「通勤」は、1日について1回しか認められないものではなく、例えば、昼休みに帰宅するような場合には、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤するものと考えられるため、その往復については就業との関連性が認められる

 

□就業開始前の組合活動に参加するため、通常の出勤時刻より約1時間30分程度早く会社へ向かうときは、就業との関連性が認められる(昭52.9.1基収793号)。(平6択)