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労災保険法(1)-12

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ちょっとアドバイス

 

□*1「厚生労働省令で定める就業の場所(「第1の就業場所」という)」とは、次のとおりである(則6条)。

 


a) 労災保険の適用事業及び労災保険に係る保険関係が成立している労災保険暫定任意適用事業に係る就業の場所


b) 中小事業主等、一人親方等又は海外派遣者の特別加入制度により労働者とみなされる者(通勤災害の適用が除外される特別加入者を除く)に係る就業の場所

 

c) その他a)又はb)に類する就業の場所

 

       

↓ なお…

 

「c)就業の場所」とは、具体的には、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法による通勤災害保護制度の対象となる勤務場所又は就業の場所である

(平18.3.1基発0331042号)。

 

□*2「他の就業の場所(「第2の就業場所」という)」とは、労災保険関係が成立している事業に係る就業の場所である。

 

↓ なお…


「第1の就業の場所」から「第2の就業の場所」への移動の間に発生した通勤災害については、「第2の就業の場所」の所在地を管轄する労働基準監督署長が所轄労働基準監督署長と、また、保険給付に関する届出等は当該所轄労働基準監督署長に対して行うこととなる。

 

□*3「厚生労働省令で定める要件」とは、転任*4に伴い、当該転任の直前の住居と就業の場所との間を日々往復することが当該往復の距離等を考慮して困難となった*5ため住居を移転した労働者であって、次のいずれかに掲げるやむを得ない事情により行われるものであることとする(則7条)。

 


イ) 当該転任の直前の住居に居住している配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)と別居することとなったもの

 


a) 配偶者が、要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいう)にある労働者又は配偶者の父母又は同居の親族を介護すること。

 

b) 配偶者が、学校等に在学し、又は職業訓練を受けている同居の子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子に限る)を養育すること。

 

c) 配偶者が、引き続き就業すること。

 

d) 配偶者が、労働者又は配偶者の所有に係る住宅を管理するため、引き続き当該住宅に居住すること。

 

e) その他配偶者が労働者と同居できないと認められるa)からd)までに類する事情。

 

 

ロ) 当該転任の直前の住居に居住していると別居することとなったもの(配偶者がないものに限る

 


a) 当該子が要介護状態にあり、引き続き当該転任の直前まで日常生活を営んでいた地域において介護を受けなければならないこと。

 

b) 当該子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子に限る)が学校等に在学し、又は職業訓練を受けていること。

 

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c) その他当該子が労働者と同居できないと認められるa)又はb)に類する事情。

 

 

ハ) 当該転任の直前の住居に居住している当該労働者の父母又は親族(要介護状態にあり、かつ、当該労働者が介護していた父母又は親族に限る)と別居することとなったもの(配偶者及び子がないものに限る

 


a) 当該父母又は親族が、引き続き当該転任の直前まで日常生活を営んでいた地域において介護を受けなければならないこと。


b) 当該父母又は親族が労働者と同居できないと認められるa)に類する事情。

 

       

↓ なお…

 


□*4「転任」とは、企業の指揮命令を受け、就業する場所が変わることをいう。また、就業していた場所(事業場自体の場所)が移転した場合も該当する。

 

□*5「距離等を考慮して困難となった」ことについての判断は、転任直前の住居と就業の場所との間の距離について、最も経済的かつ合理的と認められる通常の経路で行う。

 

 

advance

 

◆用語解説と具体例 (昭48.11.22基発644号)


(1) 住居 <労働者が居住している日常生活及び就業のための拠点>

 


OK

 

a) 本宅が会社等と非常に離れている等就業の必要性があって、本宅とは別に就業の場所の近くに単身でアパートを借りたり、下宿をしてそこから通勤している場合。

 

b) 通常は本宅から通勤するが、別にアパート等を借りていて、早出や長時間の残業の場合にアパートに泊まり、そこから出勤する場合(本宅とアパートの双方が住居と認められる)。


c) 長時間の残業や、早出出勤及び新規赴任、転勤のため等の勤務上の事情や、交通ストライキ等の交通事情、台風などの自然現象等の不可抗力的な事情により、一時的に、住居以外の場所、例えば旅館やホテルなどに宿泊する場合(一時的に住居の場所を移していると認められる)。


d) 単身赴任者等が、就業の場所と本宅との間を往復する場合において、その往復行為に反復・継続性が認められるとき(おおむね毎月1回以上往復行為があるとき)は、当該本宅は住居として認められる。(平11択)


e)「アパート」は、アパートの外戸が住居と通勤経路との境界であるため、アパートの階段は、通勤の経路と認められる。

 

NG

 

a) 友人宅で麻雀をし、そのまま泊まり、翌朝そこから直接出勤する場合。

 

b)「一戸建て」の屋敷構えの住居は、敷地内に入る地点が住居と通勤との境界であるため、たとえ玄関先の石段で転倒し負傷したとしても通勤災害とは認められない。