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労働基準法(7)-8

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第 7 章

技能者の養成
災害補償

第1節  技能者の養成    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・242
第2節  災害補償    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・244

 

 

 

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第1節 技能者の養成

 

1  徒弟の弊害排除 (法69条)                           重要度 ●   

 

条文

 


1) 使用者は、徒弟、見習、養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならない。

 

2) 使用者は、技能の習得を目的とする労働者を家事その他技能の習得に関係のない作業に従事させてはならない。

 

 

2  職業訓練に関する特例-1 (規制の緩和・法70条)       重要度●    

 

条文

 


職業能力開発促進法第24条第1項(同法第27条の2第2項において準用する場合を含む)の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、第14条第1項の契約期間、第62条及び第64条の3の年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限、第63条の年少者の坑内労働の禁止並びに第64条の2の妊産婦等の坑内業務の就業制限に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる*1。ただし、第63条の年少者の坑内労働の禁止に関する規定については、満16歳に満たない者に関しては、この限りでない。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「厚生労働省令の別段の定め」は、次のとおりである。

 

a) 労働契約の期間

 

訓練生が受ける職業訓練の訓練課程に応じた訓練期間の範囲内(則34条の2の2)

 

 

b) 年少者の危険有害業務の就業制限

 

満18歳に満たない訓練生(則34条の3第1項)

c) 年少者の坑内労働

 

満16歳以上の男性である訓練生(同上)(平8択)

 

       

↓ なお…

 

□使用者は、訓練生を危険有害業務又は坑内労働に就かせる場合においては、危害を防止するために必要な措置を講じなければならない(則34条の3第2項)。

 

 

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3  職業訓練に関する特例-2 (行政官庁の許可・法71条)   重要度 ●   

 

条文

 


前条(法70条)の規定に基づいて発する厚生労働省令は、当該厚生労働省令によって労働者を使用することについて行政官庁の許可*1を受けた使用者に使用される労働者以外の労働者については、適用しない。

 

 

ここをチェック

 

□*1 訓練生たる労働者の使用許可は、都道府県労働局長が行う。

(平9択)(平10択)

 

↓ なお…

 

認定職業訓練に関する認定は、都道府県知事が行う。

 

4  職業訓練に関する特例-3 (年次休暇の特例・法72条)   重要度●    

 

条文

 


第70条(職業訓練に関する特例)の規定に基づく厚生労働省令の適用を受ける未成年者についての第39条(年次有給休暇)の規定の適用については、同条第1項中「10労働日」とあるのは「12労働日」と、同条第2項の表6年以上の項中「10労働日」とあるのは「8労働日」とする。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□訓練生たる未成年労働者の年次有給休暇は、次のとおりである。

 

 

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第2節 災害補償

 

1  労働基準法と災害補償責任                           重要度●    

 

outline

 

◆災害補償に係る使用者責任の考え方

 


 


a)「労働基準法」による災害補償


b)「労働者災害補償保険法」による災害補償 →こちら
が一般的

 

*補償対象となる事故は、負傷、疾病、障害又は死亡についてである。

 

 

2  災害補償の種類                                     重要度 ●    

 

条文

 

(1) 療養補償 (法75条1項)

 


労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。*1

 

 

(2) 休業補償 (法76条1項)

 


労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。

 

 

(3) 障害補償 (法77条)

 


労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治った場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第2に定める日数(1,340日分~50日分)を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。

 

 

(4) 休業補償及び障害補償の例外 (法78条)

 


労働者が重大な過失によって業務上負傷し、又は疾病にかかり、かつ使用者がその過失について行政官庁の認定を受けた場合においては、休業補償又は障害補償を行わなくてもよい。

 

 

(5) 遺族補償 (法79条)

 


労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の1,000日分の遺族補償を行わなければならない。

 

 

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(6) 葬祭料 (法80条)

 


労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の60日分の葬祭料を支払わなければならない。

 

 

(7) 打切補償 (法81条)

 


療養補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病が治らない場合においては、使用者は、平均賃金の1,200日分の打切補償を行い、その後は労働基準法の規定による補償を行わなくてもよい。*2

 

 

(8) 分割補償 (法82条)

 


使用者は、支払能力のあることを証明し、補償を受けるべき者の同意を得た場合においては、障害補償又は遺族補償に替え、平均賃金に別表第3に定める日数(障害補償はその障害の程度に応じて240日分~9日分、遺族補償は180日分)を乗じて得た金額を、6年にわたり毎年補償することができる。

 

 

(9) 補償を受ける権利 (法83条)

 


1) 補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない

 

2) 補償を受ける権利は、これを譲渡し、又は差し押えてはならない。

 

 

(10) 他の法律との関係 (法84条1項)

 


労働基準法に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法又は厚生労働省令で指定する法令に基づいて労働基準法の災害補償に相当する給付が行われるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「業務上の疾病」は、労働基準法施行規則別表第1の2に掲げる疾病とされ、労災保険法における業務上の疾病の範囲についても同別表に掲げるものとされる。

 

□労災保険法による「休業補償給付」によって災害補償が行われる場合であっても、当該給付は、療養のため労働することができない最初の3日間については支給されないため(「待期期間」という)、当該3日間については、本条による休業補償を行わなければならない。

 

□*2 使用者が「打切補償」を行った場合には、解雇制限(法19条)が解除される

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※テキスト246ページは、メモページです。WEB上での掲載はございません