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労働基準法(6)-13

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◆年次有給休暇の斉一的取扱い

 


□年次有給休暇について、法律どおり付与すると年次有給休暇の基準日が労働者ごとに異なり複数となる等から、その斉一的取扱い(全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう)や分割付与(初年度において法定の年次有給休暇の付与日数を一括して与えるのではなく、その日数の一部を法定の基準日以前に付与することをいう)が問題となるが、次の要件に該当する場合には、これらの取扱いをすることも差し支えない(平6.1.4基発1号)。

 

 

a) 斉一的取扱いや分割付与により法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、その短縮された期間は、全期間出勤したものとみなすものであること。 (平14択)(平19択)

 

b) 次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じ又はそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。

 

 

【斉一的取扱いの例】4月1日に入社した者に10月1日に10労働日、入社から1年後である翌年の4月1日に11労働日付与する(以後、毎年4月1日を付与日とする)場合

 

【分割付与の例】4月1日に入社した者に対し、入社時に5労働日、法定の基準日である10月1日に5労働日付与し、次年度の基準日は、本来翌年10月1日であるが、初年度にその付与日数の一部を法定の基準日以前に6箇月繰り上げたことから、同様に6箇月繰り上げ、翌年4月1日に11労働日付与する場合

 

 

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7  年次有給休暇の賃金 (法39条7項)                   重要度 ●   

 

条文

 


使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇の期間又は第4項(時間単位)の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金*1を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない

 

 

ここをチェック

 

□年次有給休暇の賃金は、次のように定めることとなる。(平12択)

 


有給休暇の期間(1日または連続した期間)

 

 

有給休暇の時間(時間単位年休)

 

【原則】就業規則その他これに準ずるもので定める場合

 

 

a) 平均賃金(平1択)

 

b) 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金 (平16択)

 

 

 

「a)若しくはb)の額」をその日の所定労働時間数で除して得た額(平21.5.29基発0529001号)

 

【例外】労使協定で定める場合

 

 

健康保険法に定める「標準報酬日額」に相当する金額

 

「標準報酬日額」をその日の所定労働時間数で除して得た額

 

      

  ↓ なお…

 

□年次有給休暇の賃金は、就業規則における「絶対的必要記載事項」である賃金に該当するため、いずれかの方法を選択し、また、いずれを選択した場合であっても、これを就業規則に記載する必要がある。

 

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advance

 

□所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金は、次に定める方法によって算定した金額とする(則25条1項)。

 


a) 時間によって定められた賃金

 

その金額にその日の所定労働時間数を乗じた

金額

 

b) 日によって定められた賃金

 

その金額

 

c) 週によって定められた賃金

 

その金額をその週の所定労働日数で除した金額

 

d) 月によって定められた賃金

 

その金額をその月の所定労働日数で除した金額

 

e) 月、週以外の一定の期間によって定められた賃金

 

a)~d)に準じて算定した金額

f) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金

 

その賃金算定期間(当該期間に出来高払制その他の請負制によって計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間)において出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における1日平均所定労働時間数を乗じた金額

 

g) 労働者の受ける賃金がa)~f)の2以上の賃金よりなる場合

 

その部分について、a)~f)によってそれぞれ算定した金額の合計額