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労働基準法(5)-14

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第6節  労働時間の算定方法

 

1  時間計算 (法38条)                                 重要度●    

 

条文

 


1) 労働時間は、事業場を異にする*1場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。(平2択)(平5択)

 

2) 坑内労働については、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす*2。ただし、この場合においては、第34条第2項及び第3項の休憩に関する規定は適用しない。(平2択)(平6択)

 

 

(1) 2以上の事業場での労働

 

ここをチェック

 

□*1「事業場を異にする」とは、同一労働者が別個の事業場でそれぞれ労働することをいい、この場合、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も含まれる(昭23.5.14基発769号)。(平22択)

 

↓ なお…

 

派遣労働者についても適用されるため、一定期間に相前後して複数の事業場に派遣された場合には、労働基準法の労働時間に関する規定の適用については、それぞれの派遣先の事業場において労働した時間が通算される

(昭61.6.6基発333号)。

 

↓ また…

 

□事業主Aのもとで法32条2項所定の労働時間(8時間)労働したものを事業主Bが使用することは、法33条又は法36条の規定に基づき、それぞれ時間外労働についての法定の手続をとれば可能となる(平11.3.31基発168号)。

 

ここで具体例!

 

□割増賃金を支払うべき使用者は?

 


【事例1】それぞれの事業主との間で締結した労働契約に基づき、A事業場で4時間、B事業場で4時間労働する場合

 

 

A事業場の使用者が、当該労働者がA事業場で労働した後更にB事業場で4時間労働することを知りながら労働時間を延長するとき

 

↓ こんな場合は…

 

時間外労働について法定の手続をとり、割増賃金を負担すべきは、A事業場の使用者である。

 

 

【事例2】A事業場で午前中5時間、B事業場で午後から5時間労働する場合

 

 

1日の労働時間は通算され10時間となるため、両事業場の労働時間を通算して、法定労働時間を超える2時間の時間外労働についての割増賃金が支払われなければならない。

 

↓ この場合においては…

 

時間外労働について法定の手続をとり、割増賃金を負担しなければならない事業主は、通常は、当該労働者と時間的に後で労働契約を締結した事業主である。

 

 

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(2) 抗口計算制

 

ここをチェック

 

□*2 坑内労働における労働時間は「抗口計算制」とよばれ、休憩時間を含めて労働時間とみなされる。

 

↓ なお…

 

休憩時間を一斉に与え、自由に利用させなければならないという法34条2項・3項の規定は適用されない。

 

↓ また…

 

□使用者が、20人を超える一団として入坑及び出抗する労働者に関し、その入坑開始から入坑終了までの時間について所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合には、入坑終了から出抗終了までの時間を、その団に属する労働者の労働時間とみなす(則24条)。