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労働基準法(5)-12

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(1) 年俸制の場合の割増賃金

 

□年俸制の場合(例えば年俸額の16分の1ずつを毎月支払い、16分の2ずつを夏と年末の賞与時期に支払う場合)でも、時間外労働や休日労働を行った場合には、毎月支払う部分の賃金を月給額とみて、時間当たり賃金を算定し、その2割5分又は3割5分の割増賃金を支払わなければならない。賞与時期に支払う16分の2ずつの部分は、これがあらかじめ確定されている賃金であるとすれば、賞与には当たらず、割増賃金の算定基礎から除外することができない

 

↓ したがって…

 

年俸制で毎月支払いの部分と賞与の部分を合計してあらかじめ支給額が定められている場合は、年俸総額の12分の1を月における所定労働時間数(月によって異なる場合は、1年間における1箇月平均の所定労働時間数)で除した金額を算定基礎とした割増賃金を支払う必要がある(平12.3.8基収78号)。

(平14択)(平17択)

 

(2) 割増賃金の計算方法に係る解釈

 

□割増賃金の計算方法について、定額制の手当等法定の計算方法と異なる支払方法が認められるのか?

 


a) 学説において、法37条における規範的効力の基準は、「法37条所定の額以上を支払え」ということであって、その算定方法自体は労働条件の基準(法13条適用)とはいえない。

 

↓ したがって…

 

支払われた割増賃金の額が、法定の計算方法により計算された額を下回らない限りそのような方法も適法といえる(高知県観光事件・平6.6.13最高裁第2小)。

 

↓ なお…

 

b) 行政解釈においても、法37条に定める計算額以上の額の割増賃金を支払う限り、同条に定める計算方法に従う必要はないとされている

(昭24.1.28基収3947号)。