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(1) 派遣労働者に係る休憩時間の一斉付与義務
□派遣労働者について、休憩時間を一斉に与える義務は、一斉付与の例外又は適用除外に該当するときを除き、派遣先の使用者が負うこととされており、派遣先の使用者は、当該事業場の自己の労働者と派遣中の労働者とを含めて、全体に対して一斉に休憩を与えなければならない(平11.3.31基発168号)。
□派遣労働者について、一斉付与の除外に係る労使協定を締結する義務を負うのは、派遣先の使用者である。
↓ また…
派遣労働者については、派遣先が一斉付与の適用除外の事業に該当するときは、休憩時間を一斉に付与する必要はない(労働者派遣法44条2項)。
(2) フレックスタイム制を採用した場合の休憩
□フレックスタイム制を採用した場合であっても、休憩は労働基準法の規定どおり与えなければならない。休憩時間を一斉に与える必要がある場合には、コアタイム中に休憩時間を定めるようにしなければならない(昭63.3.14基発150号)。(平15択)
↓ また…
□休憩時間を一斉に与える必要がない事業場においてフレックスタイム制を採用する場合であって、休憩時間をとる時間帯を労働者にゆだねようとするときには、就業規則において、各日の休憩時間の長さを定めるとともに、「それをとる時間帯は労働者にゆだねる」旨の規定を記載しておけばよい
(昭63.3.14基発150号)。(平7択)
◇企業秩序vs自由利用◇
↓ しかしながら…
□休憩時間の自由利用といってもそれは時間を自由に利用することが認められたものに過ぎず、その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない。また、従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩中は労務提供とそれに直接付随する職場規律に基づく制約は受けないが、右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない(目黒電報電話局事件・昭52.12.13最高裁第3小)。(平20択)
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2 休憩付与の適用除外 (法40条、則32条) 重要度●
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1 休日の原則と変形休日制 (法35条) 重要度 ●●
2) 前項の規定は、4週間を通じ4日以上*1の休日を与える使用者については、適用しない。(平1択)(平2択)(平4択)(平10択)
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(1) 原則(毎週少なくとも1回)
□「休日」とは、労働契約において労働義務を負わない日のことをいう。
↓ また…
休日は、原則として1暦日、すなわち午前0時から午後12時までの24時間(暦日休日制)のことをいう(昭23.4.5基発535号)。(平16択)(平18択)
↓ なお…
□8時間3交替制の場合で一定の要件に該当するときは、休日として継続24時間を与えれば差し支えないこととされている(昭63.3.14基発150号)。
(平13択)(平21択)
(2) 変形休日制(4週間を通じ4日以上)
□*1「4週間を通じ4日以上」の休日とは、特定の4週間に4日の休日があればよいということであり、任意の4週間を区切ってそのすべてに4日の休日が与えられていなければならないというものではない。(平13択)
↓ 具体的には…
就業規則その他これに準ずるものにおいて、当該4週間の「起算日」を定め、その日から起算する4週ごとに4日の休日があればよい。
□必ずしも国民の祝日を休日とする必要はなく、また、日曜日を休日とする必要もない(昭41.7.14基発739号)。(平1択)(平10択)
↓ なお…
休日の与え方については、一斉に与えることは必要としない(休憩時間と異なる)。
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□常時10人未満の労働者を使用する使用者については、就業規則の作成義務がないため、変形休日制の採用について、就業規則によらない場合は「就業規則に準ずるもの」により定めをすることとなる。
↓ なお…
この定めについては労働者に周知させなければならず、この周知がなければ 「定め」とは認められない(則12条、昭29.6.29基発355号)。