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労働基準法(4)-7

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テキスト本文の開始

 

 

(1) 導入の要件について

 

ここをチェック

 

□*1「書面による協定により」とは、1年単位の変形労働時間制を導入するにあたり、当該協定に次の事項を定めなければならない。

 

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↓ なお…


労使協定には有効期間を定め(労働協約である場合を除く)、行政官庁(所轄労働基準監督署長)に届け出ることとされている。(平1択)(平7択)(平8択)

 


イ) 対象となる労働者の範囲(平9択)

 

ロ) 対象期間(1箇月を超え1年以内の期間に限る)及び対象期間の起算日*4

 

ハ) 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間

 

ニ) 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間*5(平22択)

 

↓ この場合…

 


対象期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内で定める必要がある。

 


対象期間における法定労働時間の総枠=40時間×対象期間の日数÷7

 

 

として、この総枠の範囲内で各日、各週の労働時間を決定しなければならない。

 

      

  ↓ ところが…

 

□労使協定の締結時に、通年の就労計画を確定してしまうことは難しい場合も多い。

 

↓ そこで!

 

□*3「対象期間を1箇月以上の期間に区分することとした場合」には、次のような方法も認められている。(平18択)

 


1) 最初の期間については、具体的な労働日及び当該労働日ごとの労働時間を定める。

 

2) 最初の期間を除く期間については、各期間の労働日数及び総労働時間だけを定めておく。

 

↓ そして…

 

□使用者は、2)について、その期間の初日の少なくとも30日前に当該事業場の過半数労働組合又は過半数代表者の同意を得て、書面により、次の事項を定めなければならない(法32条の4第2項)。(平7択)(平18択)

 


a) 当初の労働日数を超えない範囲内で当該期間の労働日

 

b) 当初の総労働時間を超えない範囲内で当該労働日ごとの労働時間

 

       

↓ 具体的には…

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*4「対象期間の起算日」は、就業規則その他これに準ずるものによって定めることもできる(則12条の2第1項)。

 

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□*5「1年単位の変形労働時間制」に係る労使協定において労働日を特定するということは、反面、休日を特定することであり、変形期間開始後にしか休日を特定することができない場合には、労働日が特定されたこととはならない(平6.5.31基発330号)。(平7択)

 

↓ また…

 

□労使協定において「特定した日又は週の労働時間」を、対象期間の途中で変更することはできない。労使協定において「甲・乙双方が合意すれば、協定期間中であっても変形制の一部を変更することがある」旨明記されていたとしても、これに基づき対象期間の途中でこれらの事項を変更することはできない

(平6.3.31基発181号)。(平9択)

 

advance

 

□*2「特定期間」は、対象期間中の特に業務が繁忙な期間について設定することができるものであるから、対象期間の相当部分を特定期間として定める労使協定は、法の趣旨に反する。ただし、対象期間中の複数の期間を特定期間として定めることは可能である(平11.3.31基発169号)。

 

↓ また…

 

対象期間中に特定期間を変更することはできない(平11.1.29基発45号)。

 

↓ なお…

 

□「特定期間」については、労使協定で定めるべき事項であることから、これを設定する必要がない場合においても、「特定期間を定めない」旨定めることが必要である。また、特定期間について何ら定めがない協定については、「特定期間を定めない」旨定められているものとして取り扱う(平11.3.31基発169号)。

 

□派遣労働者を派遣先において1年単位の変形労働時間制の下で労働させる場合には、派遣元事業場の使用者が、労使協定を締結し、所要の事項を定める必要がある(平9.3.25基発195号)。

 

(2) 導入の効果について

 

advance

 

□対象期間における法定労働時間の総枠を超える労働時間に係る割増賃金については、一般的に対象期間終了時点で初めて確定するものであり、その部分については、対象期間終了直後の賃金支払期日に支払えばよい。また、この場合の割増賃金については、当該対象期間終了直後の賃金支払日が時効の起算日となる(平9.3.25基発195号)。

 

対象期間を1箇月以上の期間に区分した場合において、労働日数及び総労働時間のみを定めた区分の期間について労働時間の特定をする際、過半数労働組合又は過半数代表者の同意が得られないときは、区分された期間の労働日数及び総労働時間しか決定されておらず、労働日及び各労働日ごとの労働時間が特定されないことから、当該区分についてあらかじめ労使協定において定めた労働日数及び総労働時間の範囲内で、労働時間の原則を定めた労働基準法32条の規定により労働させることとなる(平11.3.31基発168号)。