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労働基準法(4)-2

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□「労働時間」の判断に関する通達は、次のとおりである。

 


該当する

 

□トラック運転手に貨物の積込みを行わせることとし、その貨物が持ち込まれるのを待機している場合(一般に「手待ち時間」という)において、全く労働の提供はなくとも、出勤を命ぜられ、一定の場所に拘束されている時間(昭33.10.11基収6286号)

 

□労働安全衛生法に規定される次の制度の実施に要する時間(昭47.9.18基発602号)。

 


a) 特殊健康診断(平21択)

 

b) 安全衛生教育

 

c) 安全衛生委員会の会議(平21択)

 

 

□休憩時間に来客当番として待機させている時間(平11.3.31基発168号)(平21択)

 

該当しない

 

□貨物の到着の発着時刻が指定されている場合において、トラック運転手がその貨物を待つために勤務時間中に労働から解放される手あき時間が生ずるため、その時間中に休憩時間を1時間設けている場合にあって、当該時間について労働者が自由に利用することができる時間(昭39.10.6基収6051号)

 

□労働安全衛生法に規定される労働者一般に対して行われる一般健康診断の実施に要する時間(昭47.9.18基発602号)(平21択)

 

□使用者が実施する教育訓練で、これに参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱による出席の強制がなく自由参加のもの(平11.3.31基発168号)

 

 

判例チェック

 

◇就労時間vs準備行為◇

 


労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する(三菱重工業長崎造船所事件・平12.3.9最高裁第1小)。(平22択)

 


【解説】「作業衣への着替え時間」について、職務遂行上、使用者が作業服、保護具などの着用を義務付けている場合、又は法令により着用義務がある場合には、その着脱に要する時間及び作業場までの往復時間は、それが社会通念上必要と認められる限り労働時間にあたる。

 

 

◇仮眠時間vs休憩時間◇

 


「不活動仮眠時間」において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。したがって、不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労働基準法上の労働時間に当たるというべきである。

 

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↓ そして…

 

当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である(大星ビル管理事件・平14.2.28最高裁第1小)。(平19択)(平22択)

 

↓ ちょっと解説…

 


警備・守衛業務、医師・看護師の病院勤務等における仮眠時間について

 

イ)「手待ち時間」として労働時間にあたるのか?

 

ロ)「休憩時間」とみなされて労働時間にはあたらないのか?

 

↓ 判旨の基準より…

 


a) 労働時間の定義:指揮命令下説をとる(就業規則等の定めの如何によるものではない)

 

b) 当否の検討基準:労働者の自由な時間か、それとも会社の指揮監督下にあるのか

 

c) 実質的な考察:実作業から解放されているか否か、解放の保障の程度、場所的・時間的にどの程度解放されているのか

 

 

2  労働時間の特例措置 (法40条)                       重要度●    

 

条文

 


別表第1第1号から第3号まで(製造業、鉱業、建設業)、第6号(農林業)及び第7号(畜産・養蚕・水産業)に掲げる事業以外の事業で、公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるものについては、その必要避くべからざる限度で、第32条(労働時間の原則)から第32条の5(1週間単位の非定型的変形労働時間制)までの労働時間及び第34条の休憩に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。

 

        

↓ この規定が根拠となって…

 

◆労働時間の特例 (則25条の2第1項)

 


使用者は、法別表第1第8号(商業)、第10号(映画・演劇業で映画の製作の事業を除く)、第13号(保健衛生業)及び第14号(接客娯楽業)に掲げる事業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、第32条の規定にかかわらず、1週間について44時間1日について8時間まで労働させることができる。

(平1択)(平7択)(平18択)