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労働基準法(3)-4

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(例)労働者の責に帰すべき事由に該当する場合

 

a) 原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合

 

b) 賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合

 

c) 雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合

 

d) 他の事業場へ転職した場合

 

e) 原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合

 

f) 出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合

 

 

判例チェック


◇懲戒権vs経歴詐称◇

 


□契約締結時の経歴詐称が契約成立後の懲戒処分の対象となるかについて、使用者が、雇用契約時に先立ち、雇用しようとする労働者に対し、その労働力評価に直接かかわる事項ばかりでなく、その企業・職場への適応性、貢献意欲、企業の信用の保持など企業秩序の維持に関係する事項についても必要かつ合理的な範囲内で申告を求めた場合には、労働者は、信義則上、真実を告知すべき義務を負う

 

↓ したがって…

 

懲戒処分の対象となる。(炭研精工事件・平3.9.19最高裁第1小)
*ちなみに、学歴詐称については、高い学歴を低く申告する場合も含まれる(判例より)。

 

 

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◇定年解雇制vs解雇予告◇

 


□ある年齢に達することにより労働者が自動的に退職するといういわゆる「定年退職」制であれば法20条の解雇予告の問題は生じない(使用者側からの一方的な意思表示ではないから)。

 

↓ ところが…

 

□就業規則による「停年に達したるものは辞令を以て解職する」という規定に基づき、一定の年齢に達した時に辞令をもって解雇する趣旨のものがある場合、こうした規定は「定年解雇」制とよばれるが、一定の年齢に達したことを理由とするものであっても、「定年解雇」制により使用者が解雇の意思表示をして労働契約を終了させるのであれば、法20条の解雇予告の規制は受けるものとされた(秋北バス事件・昭43.12.25最高裁大)。(平22択)

 

 

(3) 解雇予告の除外認定

 

□解雇予告除外認定は、原則として、解雇の意思表示をなす前に受けるべきものであるが、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を受けた(認定事由に該当する事実がある)場合には、その解雇の効力は、使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生する(昭63.3.14基発150号)。(平15択)(平18択)

 

↓ また…

 

□解雇予告除外認定は、認定事由に該当する事実が存在するか否かを確認する処分であって、解雇の効力発生要件ではない

 

↓ したがって…

 

認定事由に該当する事実が存すれば、認定を受けない解雇であっても有効である(ただし、本条違反の罰則の適用がある)(昭63.3.14基発150号)。