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労働基準法(2)-13

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2  解雇制限 (法19条)                                 重要度●●  

 

条文

 


1) 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間*1及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由

*2のために事業の継続が不可能となった場合*3においては、この限りでない。(平19択)

 

2) 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定*4を受けなければならない。

 

 

(1) 解雇の制限

 

ここをチェック

 

□*1「休業する期間」は、その長短にかかわらず、傷病による休業期間が1日であったとしても、解雇は制限される。

 

↓ なお…

 

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□解雇制限期間とは、「使用者が解雇できない期間」と理解しよう。

 


業務上の負傷・疾病

 

産前産後休業

 

 

業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間+その後30日間

 

産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間+その後30日間(平21択)

 

 

□「その後30日間」は、療養のため休業する必要が認められなくなり出勤した日又は出勤し得る状態に回復した日から起算する。

 

□業務上の傷病により治療中であっても、休業せずに出勤している場合には解雇は制限されない。

 

□産後8週間を経過した日(産後6週間経過後に、労働者の請求により就労している場合はその就労を開始した日)から起算する。

 

□出産予定日より6週間(多胎妊娠の場合にあっては14週間)以内であっても、休業せずに就労している場合には解雇は制限されない。

 

 

ちょっとアドバイス

 

育児休業又は介護休業をする期間及びその後30日間については、解雇は制限されない。

(平13択)

 

□業務上の骨折等が外科的には治ゆと診断され、障害補償が行われた後(障害補償は業務上の傷病が治ゆしたとき、身体に障害が存する場合において、その障害の程度に応じて支給されるものである)、外科後処置のため療養する期間は、療養のための休業期間でないから、障害補償支給事由確定の日から30日以後は、解雇することができる(昭25.4.21基収1133号)。

 

□業務上の傷病により療養していた労働者が、完全に治癒したのではないが、労働し得る状態になったため出勤し、元の職場で平常通りに労働していた場合において、使用者が就業後30日を経過してこの労働者に解雇予告手当を支給して即時解雇した場合、本条に違反しない(昭24.4.12基収1134号)。

 

□*4「行政官庁」とは、所轄労働基準監督署長のことである。

 

(2) 制限の解除

 

□解雇制限の解除事由に該当するときは、使用者は、解雇制限期間中であっても労働者を解雇することができる(第1項但し書)。(平13択)(平19択)

 


打切補償

 

天災事変

 

 

療養開始後3年を経過し、使用者が平均賃金の1,200日分の打切補償を支払う場合

(平4択)

 

天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

(平2択)(平6択)(平11択)

(平21択)

 

 

行政官庁の認定は不要

 

行政官庁の認定が必要(2項)

 

 

advance

 

□*2「やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づき、かつ突発的な事由の意味であり、事業の経営者として、社会通念上とるべき必要な措置をもってしても通常如何ともし難いような状況にある場合をいう(昭63.3.14基発150号)。

 

 

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該当する

 

a) 事業場が火災により焼失した場合(事業主の故意又は重大な過失に基づく場合を除く)

 

b) 震災に伴う工場、事業場の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能となった場合

 

該当しない

 

a) 事業主が経済法令違反のため強制収容され、又は購入した諸機械、資材等を没収された場合

 

b) 税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合

 

c) 事業経営上の見通しの齟齬の如き事業主の危険負担に属すべき事由に起因して資材不足、金融難に陥った場合

 

d) 従来の取引事業場が休業状態となり、発注品がなく、そのために事業が金融難に陥った場合