前のページへ | 次のページへ  | 目次へ

労働基準法(2)-12

仮画像

テキスト本文の開始

 

 

 

-----------------(59ページ目ここから)------------------

 

 

第3節  労働契約の終了

 

1  解約の意思表示の種類                               重要度 ●    

 

ここをチェック

 

□労働契約の終了には、次のようなものがある。

 


a) 合意解約

 

 

労使間合意による解約のことで一般的には「依願退職」といい、労働者の退職願(合意解約の申込み)は、使用者に到達した以降も使用者の承諾の意思表示がなされるまでは撤回をすることができる。

 

 

b) 退職

 

 

労働者による一方的な解約の意思表示のことで一般的には「辞職(任意退職)」といい、退職の意思表示は、合意解約の場合と異なり使用者に到達すれば効力を生じ、それ以降は撤回できなくなる。

 

 

c) 解雇

 

 

労働契約を将来に向かって解約する使用者による一方的な解約の意思表示のことで、「退職」と同じく、使用者の意思表示は取消できないのが原則であるが、労働者の自由な意思に基づき同意が得られるときは取消すこともできるものとされる。

 

 

d) その他、「死亡」、「定年」、「有期労働契約の期間満了」がある。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□一定の期間又は一定の事業の完了に必要な期間までを契約期間とする労働契約は、他に特段の事情がない限り、契約期間の満了とともに終了し、解雇の問題は生じない。したがって、業務上負傷し又は疾病にかかり療養のため休業する期間中の者の労働契約もその期間満了とともに終了する(昭63.3.14基発150号)。(平13択)(平15択)

 

ここで具体例!

 

 

advance

 

□定年制であっても、会社の都合によりそのまま勤務延長し、あるいは再雇用し、引き続き使用する取扱いをしている場合には、定年によって労働契約が自動的に終了するものとは解されないから、解雇に関する規定が適用される(昭22.7.29基収2649号)。

 

↓ なお…

 

 

-----------------(60ページ目ここから)------------------

 

 

□就業規則に定めた定年制が、労働者の定年に達した翌日をもってその労働契約は自動的に終了する旨を定めたことが明らかであり、かつ、従来この規定に基づいて定年に達した場合に当然労働関係が消滅する慣行となっていて、それを従業員に徹底させる措置をとっている場合は、解雇の問題は生ぜず法19条の解雇制限の問題も生じない(昭26.8.9基収3388号)。

 

□形式的には契約期間の定めがあっても、この契約を反復更新し、相当長期間にわたって労働契約が継続されており、実質的には期間の定めがない労働契約と認められる場合は、契約期間の満了によって労働契約を終了させる場合であっても、解雇と同様に取り扱われ、法20条の解雇の予告を必要とする(昭27.2.2基収503号)。

 

派遣元と派遣労働者との間において締結される労働契約と、派遣元と派遣先との間において締結される労働者派遣契約とは別個のものであるため、派遣先による労働者派遣契約の解除について、本法の解雇に関する規定が適用されることはない。派遣労働者に対する解雇に関する規定は、派遣元の使用者が派遣労働者を解雇しようとする場合に適用される(昭61.6.6基発333号)。

 

 

参考条文

 

◆解雇権の濫用 (労働契約法16条:旧労基法18条の2)

 

 

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(平16択)(平18選)