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労働基準法(2)-7

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テキスト本文の開始

 

 

 

ここをチェック

 

□*1「必要な事項についての基準」は、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(有期労働契約基準)」において定められている(平20.1.23厚労告12号)。

 

(1) 契約締結時の明示事項等

 

□使用者は、有期労働契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。この場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。

(平16択)(平20選)

 

 

a)「更新の有無」の明示例
・自動的に更新する  ・更新する場合がある  ・更新はしないetc.

 

b)「判断の基準」の明示例
・契約期間満了時の業務量で判断  ・労働者の勤務成績、態度、能力により判断etc.

 

      

  ↓ なお…

 

□使用者は、有期労働契約の締結後に、明示した当該契約に係る更新の有無又は当該契約を更新する場合若しくはしない場合の判断の基準に係る事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。

 

 

(2) 雇止めの予告

 

□使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限りあらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く、以下(3)も同じ)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。(平16択)(平19択)

 

↓ また…

 

(3) 雇止めの理由の明示

 

□上記(2)の有期契約労働者の労働契約を更新しないこととする理由について労働者が証明書を請求したときは、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

 

 

 

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□上記(2)の有期契約労働者の労働契約が更新されなかった場合において、当該契約を更新しなかった理由について労働者が証明書を請求したときは、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。(平18択)

 


・前回の契約更新時に、更新しないことが合意されていたため  

 

・事業縮小のため

 

・職務遂行能力が十分でないため

 

・無断欠勤など勤務不良のためetc.

 

 

(4) 契約期間についての配慮

 

□使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない

 

advance

 

□有期労働契約の雇止めに関する基準は、有期労働契約の契約期間の満了に伴う雇止めが有効となるか否かという法的効力に影響を及ぼすものではない

 

参考条文

 

◆期間の定めのある労働契約 (労働契約法17条)

 


1) 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

 

2) 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

 

 

 

5  有期契約期間の特例 (法附則137条)                  重要度●    

 

条文

 


期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る)を締結した労働者(法14条1項イ・ロに規定する労働者を除く)は、労働基準法の一部を改正する法律附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる*1。(平16択)(平18択)

 

 

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□*1「いつでも退職することができる」の趣旨は?

 


a) 本来の有期労働契約は、期間満了前の解約ができないことを原則とする。ただし、民法628条(やむを得ない事由による雇用の解除)により、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」とされている。

 

↓ だとすれば…

 

やむを得ない事由がないとき、中途解約はできないことになる。

 

↓ しかし、これでは…

 

b) 就労意欲の低下した状態で2年、3年と働かなければならないことになり、労働者にとっては苦痛である(自己管理責任の下で長期労働契約を締結した法14条1項イ・ロに規定する労働者(労働契約期間の上限が5年とされる者)は除く)。

 

↓ そこで…

 

c) 労働契約期間の上限が3年とされる者については、当該在籍期間が1年を経過した日以降退職についての自由を認めることとされ、有期労働契約を一方的に解除した場合であっても、損害賠償の責を負うことがないように民法の規定を排除している。