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労働基準法(補講)-3

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第 10 章

雑則・罰則

第1節  雑則    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・278
第2節  罰則    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・283

 

 

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第1節 雑則

 

1  法令等の周知義務 (法106条)                        重要度 ●● 

 

条文

 


1) 使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項ただし書、第32条の2第1項、第32条の3、第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項ただし書、第36条第1項、第37条第3項、第38条の2第2項、第38条の3第1項並びに第39条第4項、第6項及び第7項ただし書に規定する協定並びに法38条の4第1項及び第5項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法*1によって、労働者に周知させなければならない。

 

2) 使用者は、この法律及びこの法律に基づいて発する命令のうち、寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を、寄宿舎の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によって、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。

 

 

ここをチェック

 

◆周知事項のまとめ

 


イ) 労働基準法及び労働基準法に基づく命令の要旨(平2択)(平18択)

 

 

ロ) 就業規則(平1択)(平2択)(平4択)(平6択)(平16択)

 

 

ハ) 労働基準法に基づく労使協定(平11択)(平18択)

 


a) 労働者の委託による貯蓄金管理(法18条2項)

 

b) 賃金の一部控除(法24条1項ただし書)

 

c) 1箇月単位の変形労働時間制(法32条の2第1項)

 

d) フレックスタイム制(法32条の3)

 

e) 1年単位の変形労働時間制(法32条の4第1項)

 

f) 1週間単位の非定型的変形労働時間制(法32条の5第1項)

 

g) 一斉休憩の適用除外(法34条2項ただし書)

 

h) 時間外・休日労働(法36条1項)

 

i) 時間外労働に係る代替休暇(法37条3項)

 

j) 事業場外労働に関するみなし制(法38条の2第2項)

 

k) 専門業務型裁量労働に関するみなし制(法38条の3第1項)

 

l) 時間単位年休(法39条4項)

 

m) 年次有給休暇の計画的付与(法39条6項)

 

n) 年次有給休暇中の賃金計算(法39条7項ただし書)

 

 

ニ) 労働基準法に基づく労使委員会の決議

 


a) 企画業務型裁量労働に関するみなし制に係る労使委員会の決議

(法38条の4第1項)

 

b) 労働基準法に基づく労使協定(c~nに係る労使協定)に代わる労使委員会の決議(法38条の4第5項)

 

 

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ホ) 寄宿労働者に関する規則

 


a) 労働基準法及び労働基準法に基づく命令のうち寄宿舎に関する規定

 

b) 寄宿舎規則

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「厚生労働省令で定める周知方法」は、次のとおりである(則52条の2)。

(平20択)(平21択)

 

 

a) 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。

 

b) 書面を労働者に交付すること。

 

c) 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

 

 

2  労働者名簿 (法107条)                              重要度 ●   

 

条文

 

 

1) 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項*1を記入しなければならない。(平11択)(平22択)(平9記)

 

2) 前項の規定により記入すべき事項に変更があった場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。

 

 

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ここをチェック

 

□*1「厚生労働省令で定める事項」は、次の事項とされている(則53条1項)。

 


a) 氏名    b) 生年月日    c) 履歴    d) 性別
e) 住所    f) 従事する業務の種類     g) 雇入の年月日
h) 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあってはその理由を含む)(平4択) i) 死亡の年月日及びその原因

 

 

  ↓ なお…

 

□常時30人未満の労働者を使用する事業においては、「f)従事する業務の種類」は記入する必要がない(則53条2項)。(平8択)

 

3  賃金台帳 (法108条)                                重要度 ●● 

 

条文

 


使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項*1を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。(平22択)(平6記)

 

 

ここをチェック

 

□*1「厚生労働省令で定める事項」は、次の事項とされている(則54条1項)。

(平2択)(平16択)

 

 

a) 氏名    b) 性別    c) 賃金計算期間    d) 労働日数    e) 労働時間数
f) 法33条、法36条1項の規定によって労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は深夜労働をさせた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
g) 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
h) 法24条1項の規定によって賃金の一部を控除した場合には、その額

 

 

ちょっとアドバイス

 

□日日雇い入れられる者については、賃金台帳を調製する必要があるが、1箇月を超えて引き続き使用される者を除き、「c)賃金計算期間」を記入する必要はない(則55条)。 (平8択)(平13択)

 

□「e)労働時間数」は、当該事業場の就業規則において本法の規定と異なる所定労働時間又は休日の定めをした場合には、その就業規則に基づいて算定する労働時間数をもってこれに代えることができる(則54条2項)。(平8択)

 

↓ なお…

 

法41条各号のいずれかに該当する労働者については、「e)労働時間数」並びに「f)延長時間数及び休日労働時間数」を記入する必要はない(則54条5項)。

(平8択)

 

□「g)賃金の種類」の中に通貨以外のもので支払われる賃金(現物給与)がある場合には、その評価総額を記入しなければならない(則54条3項)。

 

advance

 

□賃金の追給の場合における賃金台帳の記入方法については、例えば、8月の賃金支払日において、過去4、5、6、7月の追給分が8月分の賃金に加算されて支給された場合には、過去4箇月の賃金であることを明記して、8月分の賃金の種類による該当欄に記入することとなる(昭22.11.5基発233号)。(平8択)

 

□使用者は、労働者名簿と賃金台帳をあわせて調製することができる(則55条の

2)。

 

□派遣労働者について、労働者名簿、賃金台帳を調整する義務を負うのは、派遣元の使用者である。また、労働者名簿、賃金台帳及び労働者派遣法に基づく派遣元管理台帳をあわせて1つの台帳とすることとしても差し支えない(昭61.6.6基発333号)。

 

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4  記録の保存 (法109条)                              重要度 ●● 

 

条文

 


使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない。
(平2択)(平19択)(平22択)(平6記)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「3年間」の起算日は、次のとおりである(則56条)。(平11択)

 


a) 労働者名簿

 

労働者の死亡、退職又は解雇の日

 

 

b) 賃金台帳

 

最後の記入をした日

 

 

c) 雇入又は退職(解雇を含む)に関する

書類

 

 

労働者の退職(解雇)又は死亡の日

 

 

d) 災害補償に関する書類

 

災害補償を終わった日

 

 

e) 賃金その他労働関係に関する重要な書類

 

その完結の日

 

       

↓ なお…

 

□「その他労働関係に関する重要な書類」とは、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、タイムカード等の記録、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書、法36条の規定による労使協定書等がある(平13.4.6基発339号)。 (平14択)(平19択)

 

5  命令の制定 (法113条)                              重要度 ●   

 

条文

 


この法律に基づいて発する命令は、その草案について、公聴会で労働者を代表する者、使用者を代表する者及び公益を代表する者の意見を聴いて、これを制定する。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□労働基準法においては、労働政策審議会が法の施行に関する重要事項を審議することとされている。