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労働基準法(7)-12

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第3節  就業規則の効力

 

1  法令及び労働協約との関係 (法92条)                 重要度●    

 

条文

 


1) 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない*1。(平4択)(平2記)(平16選)


2) 行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。(平20択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「反してはならない」とは、法令に関しては「強行法規」として、労働協約に関しては「労働協約の中に定められた労働条件その他労働者の待遇に関する基準(規範的部分)」についてという趣旨である。

 


例えば、就業規則作成に当たっての手続たる「会社の社内諸規則、諸規定の制定改廃に関しては労働組合の同意を必要とする」というような労働協約の規定は、法92条には関係ない(昭24.1.7基収4078号)。

 

 

2  就業規則の規範的効力に関する判例                   重要度●●  

 

判例チェック

 

◇就業規則vs労働条件◇

 


元来、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」が、多数の労働者を使用する近代企業においては、労働条件は、経営上の要請に基づき、統一的かつ画一的に決定され、労働者は、経営主体が定める契約内容の定型に従って、附従的に契約を締結せざるを得ない立場に立たされるのが実情であり、この労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会的規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものである限り、経営主体と労働者との間の労働条件は、その就業規則によるという事実たる慣習が成立しているものとして、その法的規範性が認められるに至っているものということができる。(平17択)


↓ したがって…


就業規則は、当該事業場内での社会的規範たるにとどまらず、法的規範としての性質を認められるに至っているものと解すべきであるから、当該事業場の労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然に、その適用を受けるものというべきである。(平9択)


↓ だとすれば…


新たな就業規則の作成又は変更によって、既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として、許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されない(秋北バス事件・昭43.12.25最高裁大)。(平14択)(平17択)