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労働基準法(1)-10

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8  公民権行使の保障 (法7条)                          重要度●●  

 

条文

 


使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利*1を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない*2。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。(平1択)(平20選)

 

 

ここをチェック

 

□*1「公民」とは、国家又は公共団体の公務に参加する資格のある国民のことをいう。また、「公民としての権利」とは、公民に認められる国家又は公共団体の公務に参加する権利のことをいう(昭63.3.14基発150号)。

 

□*2「拒んではならない」とは、拒むことを禁止していることから、使用者が拒んだだけで本条違反となる。なお、その拒否の結果、労働者が権利の行使又は公の職務の執行をすることができなかったか否かは問われない。

 

ちょっとアドバイス

 

□公民権の行使を労働時間外に行うべき旨を定めた就業規則等に基づいて、労働時間中に公民権の行使のための時間を請求したものを拒否すれば、本条違反となる(昭23.10.30基発1575号)。

 

□権利の行使又は公の職務の執行に要する時間について、有給とするか無給とするかは当事者間の取り決めによる(昭23.10.30基発1575号)。(平10択)

 

 

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advance

 

(1) 公民としての権利

 


認められるもの

 

認められないもの

 

 

a) 選挙権・被選挙権

 

b) 最高裁判所裁判官の国民審査

 

c) 特別法の住民投票

 

d) 憲法改正の国民投票

 

e) 地方自治法による住民の直接請求

 

f) 選挙人名簿の登録の申出

 

g) 行政事件訴訟法による民衆訴訟(平7択)

 

 

a) 他の立候補者のための選挙運動

 

b) 個人としての訴権の行使(平12択)ctc.

 

(2) 公の職務

 


認められるもの

 

 

認められないもの

 

a) 衆議院議員その他の議員の職務

 

b) 労働委員会の委員の職務

 

c) 検察審査員の職務

 

d) 民事訴訟法上の証人の職務

 

e) 労働委員会の証人の職務

 

f) 選挙立会人の職務、裁判員の職務

 

g) 労働審判手続における労働審判員の職務

 

h) 法令に基づいて設置される審議会の委員の職務etc.(平21択)

 

 

a) 予備自衛官の防衛招集又は訓練召集

 

b) 非常勤の消防団員の職務(平14択)etc.