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労働基準法(1)-9

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6 強制労働の禁止 (法5条)                            重要度 ●  

 

条文

 

 

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に*1拘束する手段*2によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない*3。

(平1択)(平10択)(平20択)

 

 

 

ここをチェック

 

□*1「不当」とは、社会通念上是認し難い程度の手段の意であり、必ずしも不法なもののみに限られない。たとえ、合法的なものであっても不当なものとなることがある(昭63.3.14基発150号)。

 

□*2「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」には、長期労働契約(法14条)、労働契約不履行に関する賠償額予定契約(法16条)、前借金相殺(法17条)、強制貯金(法18条)等が該当する(昭63.3.14基発150号)。

 

 

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□*3「労働者の意思に反して労働を強制する」とは、必ずしも労働者が現実に「労働」することを必要としない。使用者が労働者の意思を抑圧して労働することを強要したものであれば、本条違反にあたる(昭23.3.2基発381号)。

 

advance

 

□本条違反については、労働基準法において最も厳罰(法117条・1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金)に処せられる。(平21択)

 

□本条の適用については、労働を強制する使用者と強制される労働者との間に労働関係があることが前提となるが、必ずしも形式的な労働契約が成立していることを要求するものではなく、事実上労働関係が存在すると認められればよい。(平13択)

 

7  中間搾取の排除 (法6条)                            重要度 ●  

 

条文

 


何人も*1、法律に基いて許される場合*2の外、業として*3他人の就業に介入して利益*4を得てはならない。(平20択)

 

 

ここをチェック

 

□*1「何人も」とは、違反行為の主体は「他人の就業に介入して利益を得る」第三者であって使用者に限定されるものではなく、また、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない(昭23.3.2基発381号)。

 

□*2「法律に基いて許される場合」に該当するのは、職業安定法、船員職業安定法及び建設労働者雇用改善法の規定による場合である。

 


(例)有料職業紹介事業の許可を受けた者が、厚生労働省令で定める種類及び額の手数料又はあらかじめ厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく手数料を受け取る場合(職業安定法32条の3第1項)が該当する。(平10択)

 

 

□*3「業として」とは、営利を目的として同種の行為を反復継続することをいう。1回の行為であっても、反復継続する意思があれば足り、主業としてなされると副業としてなされるとを問わない(昭23.3.2基発381号)。(平13択)

 

□*4「利益」とは、手数料、報償金、金銭以外の財物等の名称を問わず、有形と無形とを問わない。また、使用者より利益を得る場合のみに限らず、労働者又は第三者より利益を得る場合も含む(昭23.3.2基発381号)。

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□労働者派遣については、派遣元と労働者との間の労働契約関係及び派遣先と労働者との間の指揮命令関係を合わせたものが全体としてその労働者の労働関係となるものであり、したがって、派遣元による労働者派遣は、労働関係の外にある第三者が他人の労働関係に介入することとはならない(平11.3.31基発168号)。(平14択)

 

↓ したがって…

 

□労働者派遣は、その派遣が合法であると違法であるとを問わず、中間搾取には当たらない。(平15択)