前のページへ | 次のページへ  | 目次へ

労働基準法(1)-5

仮画像

テキスト本文の開始

 

 

◆労働関係全体の相関関係

 

参考条文

 

(1) 法令及び労働協約との関係(法92条)

 


就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならず、また、行政官庁(所轄労働基準監督署長)は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。

 

 

(2) 就業規則違反の労働契約(労働契約法12条)

 


就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 

 

(3) 基準の効力(労働組合法16条)

 


労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は無効とする。この場合において無効となった部分は、労働協約の基準の定めるところによる。

 

 

 

-----------------(8ページ目ここから)------------------

 

 

ちょっとアドバイス

 

(1) 法律等が及ぶ「当然の効力」とは?

 


a) 法令や規則等に定められた基準に達しない労働条件は原則として無効となることを強行的効力という。

 

b) この効力によって無効とされた部分に関し、その法令や規則等に定められた基準をそのまま当てはめることを直律的効力という。

 

↓ そして…

 

「a)+b)」の効力を規範的効力という。

 


*「規範的効力」とは、その内容を知っていると否とにかかわらず、また、その内容に同意していると否とにかかわらず、法律上当然に適用を受ける効力のこと。このことにより、労働者は、法令等の規範的効力によって、不利益な労働条件から守られることになる。

 

 

(2) 労使協定と就業規則の関係

 


□労使協定の「性質」は、労働基準法において禁じられていることであっても、労使間の合意があれば免罰的効力が認められるというもので、労働環境下における社会的必要悪については許されるということ。

 

↓ ところが…

 

労使協定の締結は、包括的な同意協定の締結であって、原則として、個々の労働者を直接的に拘束する(つまり、従わせる)効力までは認められていない。

 

↓ そこで…

 

□労働者を拘束する(つまり、命令に従わせる)効力は、別途「労働協約」、「就業規則」または「労働契約」のいずれかに定めておくこととなる。

 

↓ つまり…

 

労使協定で妥結した内容について、会社が労働者に命令する(できる)旨規定しておく必要があるということ。