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雇用保険法(6)-11

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第2節  不服申立て及び訴訟

 

1  不服申立て (法69条)                               重要度 ●●   

 

条文

 


1) 第9条の規定による確認、失業等給付に関する処分又は第10条の4第1項若しくは第2項(不正受給による返還命令又は納付命令)の規定による処分に不服のある者は、雇用保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

(平18択)(平21択)(平14選)


2) 審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して3箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、当該審査請求に係る処分について、決定を経ないで、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。


3) 第1項の審査請求及び前2項の再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆不服申立ての流れ

 

 

□上記の処分以外の処分(雇用保険二事業の給付金等)については、法69条に基づく審査請求をすることはできないが、行政不服審査法により不服申立てをすることはできる(行政不服審査法1条2項、同法4条)。

(平4択)(平9択)(平11択)(平17択)

 

advance

 

□「雇用保険審査官」は、各都道府県労働局に置かれる(労働保険審査官及び労働保険審査会法(以下、本書において「労審法」とする)2条の2)。

 

□「労働保険審査会」は、厚生労働大臣の所轄の下に置かれる

(労審法25条1項)。

 

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□「審査請求」は、審査請求人の住所を管轄する公共職業安定所長又は原処分をした公共職業安定所長を経由してすることができる(審査法施行令3条2項)。

 

2  不服理由の制限 (法70条)                           重要度 ●   

 

条文

 


第9条の規定による確認(被保険者の資格の得喪の確認)に関する処分が確定したときは、当該処分についての不服を当該処分に基づく失業等給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。(平2択)

 

 

3  不服申立てと訴訟との関係 (法71条)                 重要度 ●   

 

条文

 


第69条第1項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求に対する労働保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。ただし、次のいずれかに該当するときは、この限りでない。(平2択)

 


イ) 再審査請求がされた日の翌日から起算して3箇月を経過しても裁決がないとき (平10択)


ロ) 再審査請求についての裁決を経ることにより生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるときその他その裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき

 

 

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第3節  雑則

 

1  労働政策審議会への諮問 (法72条)                   重要度 ●   

 

条文

 


1) 厚生労働大臣は、この法律の施行に関する事項について基準を定めようとするとき、その他この法律の施行に関する重要事項について決定しようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。


2) 労働政策審議会は、厚生労働大臣の諮問に応ずるほか、必要に応じ、雇用保険事業の運営に関し、関係行政庁に建議し、又はその報告を求めることができる。

 

 

advance


□「諮問」とは、行政上の上位のものが、一定の専門機関や有識者に対し、ある問題について意見を求めることである。なお、諮問に対する回答のことを「答申」という。

 

□「建議」とは、行政上の下位のものが、行政上の上位のものに対し、意見を述べることである。

 

2  不利益取扱いの禁止 (法73条)                       重要度 ●   

 

条文

 


事業主は、労働者が第8条の規定による確認(被保険者の資格の確認)の請求をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。 (平6択)(平12択)(平21択)

 

 

3  時効 (法74条)                                     重要度 ●    

 

条文

 


失業等給付の支給を受け、又はその返還を受ける権利及び第10条の4第1項又は第2項(不正行為に係る返還命令等)の規定により納付をすべきことを命ぜられた金額を徴収する権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。
(平7択)(平10択)(平11択)(平16択)(平20択)

 

 

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4  その他の事項 (法75条~79条ほか)                  重要度 ●   

 

条文

 

(1) 保険料 (法68条)

 


雇用保険事業に要する費用に充てるため政府が徴収する保険料については、徴収法の定めるところによる。

 


失業等給付に要する費用

 

一般保険料徴収額からその額に二事業率を乗じて得た額を減じた額及び印紙保険料の額に相当する額の合計額

 

 

雇用安定事業及び能力開発事業に要する費用

 

一般保険料徴収額に二事業率を乗じて得た額

 

(2) 戸籍事項の無料証明 (法75条)

 


市町村長(特別区及び政令指定都市においては、区長とする)は、行政庁又は求職者給付又は就職促進給付の支給を受ける者に対して、当該市(特別区を含む)町村の条例の定めるところにより、求職者給付又は就職促進給付の支給を受ける者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。

 

 

(3) 報告等 (法76条、法77条)

 


1) 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者若しくは受給資格者、高年齢受給資格者、特例受給資格者若しくは日雇受給資格者(以下「受給資格者等」という)若しくは教育訓練給付対象者を雇用し、若しくは雇用していた事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体に対して、この法律の施行に関して必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。


2) 行政庁は、厚生労働省令で定めるところにより、受給資格者等を雇用しようとする事業主、受給資格者等に対し職業紹介若しくは職業指導を行う職業紹介事業者等又は教育訓練給付対象者に対し教育訓練を行う指定教育訓練実施者に対して、この法律の施行に関して必要な報告又は文書の提出を命ずることができる。


3) 離職した者は、厚生労働省令で定めるところにより、従前の事業主又は労働保険事務組合に対して、求職者給付の支給を受けるために必要な証明書の交付を請求することができる。その請求があったときは、当該事業主又は労働保険事務組合は、その請求に係る証明書を交付しなければならない。

 

 

行政庁は、被保険者、受給資格者等、教育訓練給付対象者又は未支給の失業等給付の支給を請求する者に対して、この法律の施行に関して必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。

 

 

□法第76条第1項及び第2項の規定による命令は、文書によって行うものとする(則143条の2)。

 

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(4) 診断 (法78条)

 


行政庁は、求職者給付の支給を行うため必要があると認めるときは、失業の認定を受け、若しくは受けようとする者、受給期間の延長の申出をした者又は傷病手当の支給を受け、若しくは受けようとする者に対して、その指定する医師の診断を受けるべきことを命ずることができる。

 

 

(5) 立入検査 (法79条)

 


1) 行政庁は、この法律の施行のため必要があると認めるときは、当該職員に、被保険者、受給資格者等若しくは教育訓練給付対象者を雇用し、若しくは雇用していた事業主の事業所又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体の事務所に立ち入り、関係者に対して質問させ、又は帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む)の検査をさせることができる。(平17択)


2) 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。


3) 立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 

 

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第4節  罰則

 

1  罰則 (法83条~法86条)                            重要度 ●● 

 

条文

 

(1) 6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金 (法83条、法84条)

 


事業主が次のいずれかに該当するとき。

 


a) 第7条(届出)の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした場合

(平8択)


b) 第73条(不利益取扱いの禁止)の規定に違反した場合(平12択)


c) 第76条第1項(行政庁の報告等)の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、又は文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出した場合


d) 第76条第3項(離職者に対する証明書交付)の規定に違反して証明書の交付を拒んだ場合


e) 第79条第1項(立入検査)の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

 

 

労働保険事務組合が、上記b)以外のいずれかに該当するときは、その違反行為をした労働保険事務組合の代表者又は代理人、使用人その他の従業者について適用する。

 

 

(2) 6箇月以下の懲役又は20万円以下の罰金 (法85条)

 


被保険者、受給資格者等、教育訓練給付対象者又は未支給の失業等給付の支給を請求する者その他の関係者が次のいずれかに該当するとき。

(平14択)(平16択)(平22択)

 


a) 第44条(日雇労働被保険者手帳)の規定に違反して偽りその他不正の行為によって日雇労働被保険者手帳の交付を受けた場合


b) 第77条(行政庁の報告等)の規定による命令に違反して報告をせず、若しくは偽りの報告をし、文書を提出せず、若しくは偽りの記載をした文書を提出し、又は出頭しなかった場合


c) 第79条第1項(立入検査)の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは偽りの陳述をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合

 

 

(3) 両罰規定 (法86条)

 


イ) 法人(法人でない労働保険事務組合を含む)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前3条(83条~85条)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。 (平6択)(平20択)


ロ) 法人でない労働保険事務組合を処罰する場合においては、その代表者又は管理人が訴訟行為につきその労働保険事務組合を代表するほか、法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

 

 

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※テキスト233ページ~239ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません