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雇用保険法(5)-8

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第2節  移転費及び広域求職活動費

 

1  移転費 (法58条)                       重要度 ●● 

 

条文

 


1) 移転費は、受給資格者等が公共職業安定所の紹介した職業に就くため、又は公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるため、その住所又は居所を変更する場合において、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従って必要があると認めたときに、支給する。(平12択)(平21択)


2) 移転費の額は、受給資格者等及びその者により生計を維持されている同居の親族の移転に通常要する費用を考慮して、厚生労働省令で定める*1。

(平23択)

 

 

ここをチェック

 

□「移転費」は、次のいずれにも該当するときに支給する(則86条)。

 


イ) 待期期間又は給付制限による期間が経過した後に就職し、又は公共職業訓練等を受けることとなった場合であって、管轄公共職業安定所長が住所又は居所の変更を必要と認めたとき


↓ なお…

 


離職理由による給付制限期間であって、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び受け終わった日後の期間については、当該受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるためその住所又は居所を変更する場合には、移転費が支給される。(平8択)

 

 

ロ) 当該就職について、就職準備金その他移転に要する費用(「就職支度費」)が就職先の事業主から支給されないとき、又はその支給額が移転費の額に満たないとき


↓ なお…

 


就職先の事業主から就職支度費が支給される場合にあっては、その支給額が移転費の額に満たないときは、その差額に相当する額を移転費として支給する

(則91条)。(平4択)

 

 

□その者の雇用期間が1年未満であることその他特別の事情がある場合は、支給されない。 (平3択)

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「移転費の種類及び計算」は、次のとおりである(則87条)。

 


a) 移転費は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料及び着後手当とする。


b) 移転費(着後手当を除く)は、移転費の支給を受ける受給資格者等の旧居住地から新居住地までの順路によって支給する。(平1択)

 

 

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advance


(1) 具体的な種類と金額 (則88条、則89条、則90条)

 


種類

 

計算内容

 

鉄道賃

 

普通旅客運賃相当額(一定の場合、普通急行料金相当額が加算)

 

船賃

 

2等運賃相当額

 

航空賃

 

現に支払った旅客運賃の額

 

車賃

 

1kmにつき37円

 

移転料

 

鉄道賃等の額の計算の基礎となる距離に応じて区分されており、93,000円~282,000円の範囲

(親族を随伴しない場合:2分の1相当額)

 

着後手当

 

親族を随伴する場合:38,000円(随伴しない:19,000円)

 

 

鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃は、受給資格者等及びその者が随伴する親族について支給

 

 

(2) 移転費の支給申請 (則92条)

 


イ) 受給資格者等は、移転費の支給を受けようとするときは、移転費支給申請書に受給資格者証等を添えて管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。この場合において、親族を随伴するときは、その親族がその者により生計を維持されている者であることを証明することができる書類を添えなければならない。

 

ロ) 前項の規定による移転費支給申請書の提出は、移転の日の翌日から起算して1箇月以内にしなければならない。ただし、天災その他提出しなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。


ハ) 受給資格者等は、移転費支給申請書を提出する場合において、就職先の事業主から就職支度費を受け、又は受けるべきときは、その金額を管轄公共職業安定所長に届け出なければならない。

 

       

↓ なお…


□移転費支給申請書の提出を受けた管轄公共職業安定所長は、受給資格者等に対する移転費の支給を決定したときは、移転費支給決定書を交付した上、移転費を支給するものとする(則93条)。

 

(3) 移転費の返還 (則95条)

 


イ) 移転費の支給を受けた受給資格者等は、次のいずれかに該当するときは、その事実が確定した日の翌日から起算して10日以内に移転費を支給した公共職業安定所長にその旨を届け出るとともに、その支給を受けた移転費に相当する額を返還しなければならない。(平18択)

 


a) 公共職業安定所の紹介した職業に就かなかったとき


b) 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けなかったとき


c) 移転しなかったとき

 

 

ロ) 移転費を支給した公共職業安定所長はイの届出を受理したとき、又は当該事実を知ったときは支給した移転費に相当する額を、支給すべき額を超えて移転費を支給したときは支給すべき額を超える部分に相当する額を返還させなければならない。

 

 

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2  広域求職活動費 (法59条)                      重要度 ●    

 

条文

 


1) 広域求職活動費は、受給資格者等が公共職業安定所の紹介により広範囲の地域にわたる求職活動(「広域求職活動」という)をする場合において、公共職業安定所長が厚生労働大臣の定める基準に従って必要があると認めたときに、支給する。


2) 広域求職活動費の額は、求職活動に通常要する費用を考慮して、厚生労働省令で定める*1。

 

 

ここをチェック

 

□「広域求職活動費」は、次のいずれにも該当するときに支給する(則96条)。

 


イ) 待期期間又は給付制限による期間が経過した後に広域求職活動を開始するとき

 

 

ロ) 当該広域求職活動について、これに要する費用(「求職活動費」)が広域求職活動のために訪問する事業所(「訪問事業所」)の事業主から支給されないとき、又はその支給額が広域求職活動費の額に満たないとき(平8択)


↓ なお…

 


訪問事業所の事業主から求職活動費が支給される場合にあっては、その支給額が広域求職活動費の額に満たないときは、その差額に相当する額を広域求職活動費として支給する(則98条の2)。(平3択)(平18択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「広域求職活動費の種類及び計算」は、次のとおりである(則97条)。

 


a) 広域求職活動費は、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃及び宿泊料とする。


b) 広域求職活動費(宿泊料を除く)は、管轄公共職業安定所の所在地から訪問事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の所在地までの順路によって計算する。

 

 

advance


(1) 具体的な種類と金額 (則98条)

 


種類

 

計算内容

 

宿泊料

 

原則として、8,700円に一定の距離に応じて、宿泊数を乗じて得た額とし、鉄道賃等の額の計算の基礎となる距離が400km未満である場合には、支給しない。

 

 

鉄道賃、船賃、航空賃及び車賃の額は、それぞれ「移転費」の規定に準じて計算した額

 

 

(2) 広域求職活動費の支給申請 (則99条)

 


イ) 受給資格者等は、広域求職活動費の支給を受けようとするときは、広域求職活動費支給申請書に受給資格者証等を添えて管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。


ロ) 広域求職活動費支給申請書の提出は、広域求職活動の指示を受けた日の翌日から起算して10日以内にしなければならない。ただし、天災その他提出しなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。(平4択)


ハ) 受給資格者等は、広域求職活動費支給申請書を提出する場合において、訪問事業所の事業主から求職活動費を受け、又は受けるべきときは、その金額を管轄公共職業安定所長に届け出なければならない。

 

 

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□管轄公共職業安定所長は、受給資格者等に対する広域求職活動費の支給を決定したときは、その日の翌日から起算して7日以内に広域求職活動費を支給するものとする(則100条)。

 

 

(3) 広域求職活動費の返還 (則101条)

 


イ) 広域求職活動費の支給を受けた受給資格者等は、公共職業安定所の紹介した広域求職活動の全部又は一部を行わなかったときは、その事実が確定した日の翌日から起算して10日以内に管轄公共職業安定所長にその旨を届け出るとともに、次に掲げる区分に応じ、当該定める額を返還しなければならない。

(平1択)

 


a) 全部を行わなかったとき

 

 

支給した広域求職活動費に相当する額

 

b) 一部を行わなかったとき

 

 

支給した広域求職活動費から現に行った広域求職活動について計算した広域求職活動費を減じた額

 

ロ) 管轄公共職業安定所長は、広域求職活動費の支給を受けた受給資格者等に対し、必要があると認めるときは、広域求職活動を行ったことを証明することができる書類その他必要な書類の提出を命ずることができる。


ハ) 管轄公共職業安定所長は、イの届出を受理したとき若しくは当該事実を知ったときは「イに定める額」を、受給資格者等がロの書類を提出しないときは「イのa)に掲げる額」を、返還させなければならない。

 

 

3  給付制限 (法60条)                            重要度 ●   

 

条文

 


1) 偽りその他不正の行為により求職者給付又は就職促進給付の支給を受け、又は受けようとした者には、これらの給付の支給を受け、又は受けようとした日以後、就職促進給付を支給しない。ただし、やむを得ない理由がある場合には就職促進給付の全部又は一部を支給することができる。


2) 前項に規定する者が、その日以後新たに受給資格又は特例受給資格を取得した場合には、その受給資格又は特例受給資格に基づく就職促進給付を支給する。


3) 第1項に規定する者であって、日雇労働求職者給付金の支給を受けることができない者とされたものが、その支給を受けることができない期間を経過した後において、日雇受給資格者である場合又は日雇受給資格者となった場合には、その日雇受給資格者たる資格に基づく就職促進給付を支給する。


4) 第1項に規定する者が新たに日雇受給資格者となった場合には、その日雇受給資格者たる資格に基づく就職促進給付を支給する。


5) 受給資格者が第1項の規定により就職促進給付を支給されないこととされたため、当該受給資格に基づく就業促進手当(就業手当及び再就職手当)の全部又は一部の支給を受けることができなくなったときは、第56条の2第4項及び第5項の規定の適用については、その全部又は一部の支給を受けることができないこととされた就業促進手当の支給があったものとみなす(本来の規定通りの日数分の基本手当の支給があったものとみなす)。

 

 

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※テキスト170ページ~172ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません