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雇用保険法(2)-11

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テキスト本文の開始

 

 

7  失業の認定の方法 (法15条5項)                     重要度 ●    

   

条文

 


失業の認定は、厚生労働省令で定めるところにより、受給資格者が求人者に面接したこと、公共職業安定所その他の職業安定機関*1若しくは職業紹介事業者等から職業を紹介され、又は職業指導を受けたことその他求職活動を行ったことを確認して行うものとする。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「求職活動を行ったことの確認」は、次のとおりに行われる(則28条の2)。
(平21択)

 


イ) 管轄公共職業安定所長は、失業の認定に当たっては、失業の認定のために提出された失業認定申告書に記載された求職活動の内容を確認するものとする。


ロ) 管轄公共職業安定所長は、確認の際に、受給資格者に対し、職業紹介又は職業指導を行うものとする。

 

 

advance

 

□*1 船員である者が失業した場合の「職業安定機関」は、職業安定機関、地方運輸局、船員雇用促進センターと読み替えて適用する(法79条の2)。

 

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□具体的な「求職活動実績の評価」は、次のとおりである

(平14.9.2職発0902001号)。

 


イ) 基本手当に係る失業の認定日において、原則として、認定対象期間(前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間)に、求職活動を行った実績が原則2回以上あることを確認できた場合に、当該認定対象期間に属する他に不認定となる事由がある日以外の各日について失業の認定を行う。


↓ただし…


次に該当する場合は、認定対象期間中に行った求職活動実績は1回以上あればよい。

 


a) 厚生労働省令で定める理由により就職が困難なものである場合


b) 認定対象期間の日数が14日未満となる場合


c) 求人への応募を行った場合 etc.

 

 

ロ) 就職、就労した日については、その前提として、就職、就労した各日について求職活動が行われたものとみなす


ハ) 求職活動実績として認められる求職活動は、就職しようとする積極的な意思を具体的かつ客観的に確認し得る活動であることを要する。


↓ したがって…

 


単なる職業紹介機関への登録、知人への紹介依頼、新聞・インターネット等での求人情報の閲覧等だけでは求職活動実績には該当しない。

 

 

ニ) 求人への応募には、実際に面接を受けた場合だけではなく、応募書類の郵送、筆記試験の受験等も含まれる


ホ) 法33条の給付制限期間(給付制限期間が1箇月となる場合を除く)満了後の初回支給認定日(最初の失業の認定日)については、当該給付制限期間と初回支給認定日に係る給付制限満了後の認定対象期間を合わせた期間に求職活動を原則3回以上行った実績を確認できた場合に、他に不認定となる事由がある日以外の各日について失業の認定を行う(*法33条(給付制限-2)の解説「ここで具体例!」を参照のこと)。

 

 

8  基本手当の日額 (法16条)                           重要度 ●●    

 

条文

 


基本手当の日額は、賃金日額にその区分に応じて定められた給付率を乗じて得た金額とする。(平3択)(平7択)(平14択)(平16択)(平19択)

 

 

□「給付率」は、次のとおりである(平23.6.30厚労告208号)。

 

改正

 


離職日の年齢

 

賃金日額

 

 

給付率

60歳未満

 

2,330円以上4,650円未満

 

 

80%(平22択)

 

4,650円以上11,770円以下

 

80%~50%

 

 

11,770円超

 

50%(平21択)

 

 

60歳以上65歳未満

 

2,330円以上4,650円未満

 

80%(平22択)

 

 

4,650円以上10,600円以下

 

 

80%~45%

 

 

10,600円超

 

45%(平18選)

 

 

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*80%~50%(45%)の区分は、賃金日額の逓増に応じ、逓減するように厚生労働省令で定める率を乗ずるものとされている。

 

 

9  賃金日額 (法17条)                                 重要度 ●●●    


ここをチェック

 

(1) 賃金日額の原則計算式(原則額:第1項)

 


(平14択)(平22択)(平18選)

 

 

  ↓ なお…


□臨時に支払われる賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金は算入しない。
(平12択)(平16択)(平19択)(平21択)(平22択)(平11記)


↓ また…


□受給資格に係る離職の日において短時間労働者(1週間の所定労働時間が、同一の適用事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短く、かつ、30時間未満である者をいう)である被保険者であった受給資格者に係る賃金日額は、原則計算式により算定する(平19.10.1厚労告325号)。

 

 

(2) 賃金日額の例外計算式(例外額:第2項)


□原則計算式による金額が、次のイ、ロに掲げる額に満たないときは、当該イ、ロに掲げる額を賃金日額とする。

 


イ) 賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められている場合(平9記)(平18選)

 

 

ロ) 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められている場合

 

 

*賃金の一部が「月」によって定められている場合には、1箇月を30日として計算する。

 

       

↓ なお…

 


(1)の原則計算式及び(2)の例外計算式の規定により賃金日額を算定することが困難であるとき、又はこれらの規定により算定した額を賃金日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働大臣が定めるところにより算定した額*1を賃金日額とする(法17条3項)。

 

 

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(3) 賃金日額の下限額と上限額 (第4項(平23.6.30厚労告208号))

 

改正

 

下限額

 

a) 原則額又は例外額が2,330円に満たないとき。

 

2,330円

(平16択)

上限額

 

b) 原則額又は例外額が、受給資格に係る離職の日における年齢の区分に応じて右欄に定める額を超えるときは、当該区分に掲げる額とする。
(平7択)(平14択)(平22択)

 

受給資格者の年齢

 

上限額

 

60歳以上65歳未満

 

15,060円

 

45歳以上60歳未満

 

15,780円

 

30歳以上45歳未満

 

14,340円

30歳未満

 

12,910円

 


ちょっとアドバイス

 

□*1「厚生労働大臣が定める賃金日額の算定方法」として、受給資格者の当該受給資格に係る離職に係る事業所においてその者に通常支払われていた賃金(次に掲げる場合にあっては、当該定める賃金)又は当該事業所の所在地と同一の地域においてその者と同種の労働に従事する労働者に通常支払われる賃金を考慮して、公共職業安定所長が定める方法等が定められている

(平21.3.31厚労告230号)。

 

 

 

育児介護休業等があったとき

 

労働量の調整があったとき

 

対象者

a) 特定受給資格者に該当するものとして受給資格の決定を受けた場合

 

b) 特定理由離職者若しくは特定受給資格者に該当することとなる理由により離職し受給資格の決定を受けた場合

 

適用要件

 

□次のいずれかに該当すること。

 


イ) 小学校就学の始期に達するまでの「子を養育するための休業」をした場合


ロ) 対象家族を「介護するための休業」をした場合


ハ) 小学校就学の始期に達するまでの子の養育若しくは対象家族の介護に関して「所定労働時間の短縮」が行われた場合

 

 

□受給資格者を含む当該事業場の労働者に関し、厚生労働省職業安定局長の定めるところにより、生産量の減少に伴い、次のいずれにも該当する措置が講じられたこと。

 


a) 労使協定の締結により、所定労働時間又は所定外労働時間が短縮され、それに伴う賃金の減少があったこと


b) 労働者の雇入れに関する計画(入職抑制計画)が作成され、管轄都道府県労働局長に提出されたこと


c) 当該計画に基づくa)の措置が6箇月以上講じられた後の協定期間中に離職した者であること

 

算定基礎

 

それぞれこれらの休業が開始される前又は当該所定労働時間の短縮が行われる前に当該受給資格者に支払われていた賃金
(平16択)(平20択)

 

 

当該所定労働時間又は所定外労働時間の短縮が行われる前に支払われていた賃金

 

-----------------(61ページ目ここから)------------------

 

advance

 

◆船員として雇用される者に係る賃金日額の算定方法

(平21.12.28厚労告537号)

 


被保険者期間として計算された期間の日数を、当該期間のうち受給資格に係る離職の日から180日に達するまで加算した日の前日において、船員として事業主に雇用される者であって、基本となるべき固定給のほか、船舶に乗り組むこと、船舶の就航区域、船積貨物の種類等により変動がある賃金が定められているものに係る賃金日額は、当該被保険者期間として計算された期間の日数(360日を上限とし、360日に満たない場合にあっては、賃金の支払の基礎となった期間の日数を離職の日に最も近い期間に係るものから順に加算した日数)で、当該期間に支払われた賃金の総額を除して得た額とする。

 

 

10  賃金日額の範囲等の自動的変更 (法18条)           重要度 ●    

   

条文

 

改正

 


1) 厚生労働大臣は、年度(4月1日から翌年の3月31日までをいう)の平均給与額(厚生労働省において作成する毎月勤労統計における労働者の平均定期給与額を基礎として厚生労働省令で定めるところにより算定した労働者1人当たりの給与の平均額をいう)が平成21年4月1日から始まる年度(この条の規定により自動変更対象額が変更されたときは、直近の当該変更がされた年度の前年度)の平均給与額を超え、又は下るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。(平2択)(平7択)


2) 変更された自動変更対象額に5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする。


3)「自動変更対象額」とは、基本手当の日額の算定に当たって用いることとされている、「下限額」、「上限額」及び「給付率の区分に係る賃金日額の範囲」に掲げる額をいう。

 

 

ここで具体例!

 

改正

 

◆自動的変更の仕組み

 


【平成23年度の変更】今回の変更(引上げ)は、基本手当の算定基礎となる「賃金日額」の下限額の引上げなどを内容とする「改正雇用保険法」が8月1日に施行されること、また、平成22年度の平均給与額(「毎月勤労統計調査」による毎月きまって支給する給与の平均額)が、平成21年度と比べて約0.3%上昇したことに伴うものである。

 

   

 

ちょっとアドバイス

 

□基本手当日額は、平成18年以来5年ぶりに上昇することとなった。