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厚生年金保険法(7)-2

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第3節 国庫負担

 

1  国庫負担 (法80条)                                 重要度 ●   

 

条文

 


1) 国庫は、毎年度、厚生年金保険の管掌者たる政府が負担する基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を負担する*1。


2) 国庫は、前項に規定する費用のほか、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む)の執行に要する費用を負担する。 (平14択)(平17択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 厚生年金保険の管掌者たる政府及び年金保険者たる共済組合等は、毎年度、基礎年金(第2号被保険者及び第3号被保険者に係るもの)の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金を負担し、又は納付するものとされる(国民年金法94条の2第1項・2項)。


↓ また、このほか…


□「厚生年金保険事業に要する費用の負担の特例」として、国庫は、毎年度、この法律による他の保険給付、旧厚生年金保険法による保険給付、厚生年金保険の管掌者たる政府が支給するものとされた保険給付等に要する費用のうち、一定の額を負担する(平60法附則79条1項)。(平21択)

 


(例)昭和36年4月1日前の期間に係る給付に対する費用の100分の20(当該期間のうち第3種被保険者に対する給付費については100分の25)に相当する額を負担する。(平16択)

 

 

2  厚生年金保険の基礎年金拠出金の国庫負担に関する経過措置等
(平16法附則32条6項ほか)                                 重要度 ●   

 

条文

 

◆基礎年金拠出金に対する国庫負担について (平16法附則32条6項)

 


平成19年度から特定年度の前年度までの各年度においては、3分の1に1,000分の32を加えた率を乗じて得た額とする。(平17択)

 

 

advance

 

(1) 平成21年度及び平成22年度の厚生年金保険の基礎年金拠出金の国庫負担に関する経過措置の特例 (平16法附則32条の2)

 


国庫は、平成21年度及び平成22年度の各年度における厚生年金保険の管掌者である政府が負担する基礎年金拠出金の一部に充てるため、当該各年度について、前述(平16法附則32条6項)の国庫負担のほか、当該額と国庫負担割合2分の1とした場合の国庫負担額との差額に相当する額(約13.5%)についても国庫が負担する。

 

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↓ なお…


この「差額に相当する額」については、財源確保法(財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律)の規定により財政投融資特別会計財政融資資金勘定から一般会計に繰り入れられる繰入金を活用して確保するものとする。

 

 

(2) 特定年度について (平16法附則16条1項)

 


特定年度については、所得税法等の一部を改正する法律の規定に従って行われる税制の抜本的な改革により所要の安定した財源の確保が図られる年度を定めるものとする。

 

 

(3) 厚生年金保険の基礎年金拠出金の国庫負担割合の引上げのための措置 (平16法附則32条の3)

 


特定年度の前年度が平成23年度以後の年度である場合において、当該特定年度の前年度まで(平成22年度以前の年度を除く)の各年度における厚生年金保険の管掌者である政府の負担する基礎年金拠出金の一部に充てるため、当該各年度について平成19年度から特定年度の前年度までの各年度における国庫負担額のほか、当該額と国庫負担割合2分の1とした場合の国庫負担額との差額に相当する額を国庫の負担とするよう、臨時の法制上及び財政上の措置を講ずるものとする。

 

 

 

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第4節  保険料の納付等

 

1  保険料 (法81条)                                   重要度 ●●●

 

条文

 


1) 政府は、厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む)に充てるため、保険料を徴収する。


2) 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。 (平3択)(平6択)(平9択)


3) 保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額とする。(平15択)(平18択)(平20択)(平11記)

 


【保険料額】=(標準報酬月額×保険料率)+(標準賞与額×保険料率)

 

 

4) 保険料率は、次の表の月分の保険料について、それぞれ同表に定める率(厚生年金基金の加入員である被保険者にあっては、当該率から免除保険料率*1を控除して得た率)とする。

(平16択)(平17択)(平18択)(平21択)(平16選)

 

 

適用期間

 

 

原則率

 

第3種被保険者

<毎年の上昇率>

 

3.54/1,000

 

2.48/1,000

 

平成16年10月から

平成17年8月までの月分

 

139.34/1,000

152.08/1,000

 

平成17年 9月から

平成18年8月までの月分

 

142.88/1,000

154.56/1,000

 

平成18年 9月から

平成19年8月までの月分

 

146.42/1,000

157.04/1,000

 

平成19年 9月から

平成20年8月までの月分

 

149.96/1,000

159.52/1,000

 

平成20年 9月から

平成21年8月までの月分

 

153.50/1,000

162.00/1,000

 

平成21年 9月から

平成22年8月までの月分

 

157.04/1,000

164.48/1,000

 

平成22年 9月から

平成23年8月までの月分

 

160.58/1,000

166.96/1,000

 

平成23年 9月から

平成24年8月までの月分

 

164.12/1,000

169.44/1,000

 

平成24年 9月から

平成25年8月までの月分

 

167.66/1,000

171.92/1,000

 

平成25年 9月から

平成26年8月までの月分

 

171.20/1,000

174.40/1,000

 

平成26年 9月から

平成27年8月までの月分

 

174.74/1,000

176.88/1,000

 

平成27年 9月から

平成28年8月までの月分

 

178.28/1,000

179.36/1,000

 

平成28年 9月から

平成29年8月までの月分

 

181.82/1,000

181.84/1,000

 

平成29年9月以後の月分

 

183.00/1,000

 

*「高齢任意加入被保険者」は、その者の属する被保険者の種別による。

 

 

 

平成16年10月から

平成21年8月まで

 

平成21年9月以後

a) 日本たばこ産業株式会社

 

155.50/1,000

 

原則率と共通

 

b) 旅客鉄道会社等

(平16選)

 

 

156.90/1,000

 

 

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ここをチェック

 

(1)*1「免除保険料率」とは?

 


厚生年金基金(以下、「基金」とする)の加入員期間を有する者に対する報酬比例部分の一部は、その加入期間相当額につき基金が代行給付することとされている。


↓ そこで…


基金の加入事業主については、厚生年金保険料の一部が納付免除され、その免除分については、代行給付の原資に充てるため基金に納付することとされている。
(したがって、「免除」といっても、負担する保険料の絶対額が低額になるのではない)
これにより、基金は、「掛金(事業主の全額負担)」+「免除保険料」分を資産運用し、規約に定めた給付水準の確保を図ることが求められる。

 

 

(2) 免除保険料率 (法81条の3)

 


1) 厚生労働大臣は、次項に規定する代行保険料率に基づき、当分の間、すべての厚生年金基金に係る代行保険料率の分布状況を勘案して政令で定める範囲内において、政令の定めるところにより、厚生年金基金ごとに免除保険料率を決定する(平6法附則35条6項)。(平19択)(平21選)


2)「代行保険料率」は、原則として、当該厚生年金基金の加入員の標準報酬月額の総額及び標準賞与額の総額にそれぞれ当該代行保険料率を乗じることにより算定した額の収入を代行給付費(当該厚生年金基金の加入員のすべてが加入員でないとして保険給付の額を計算した場合において増加することとなる保険給付に要する費用に相当する費用をいう)に充てることとした場合において、当該代行給付費の予想額及び予定運用収入の額に照らし、将来にわたって、財政の均衡を保つことができるものとして、政令の定めるところにより算定するものとする。

(平21択)


3) 厚生年金基金は、厚生労働省令の定めるところにより、当該厚生年金基金に係る代行保険料率を算定し、当該代行保険料率及びその算定の基礎となるものとして厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 


*「免除保険料率」は、具体的には、1,000分の24から1,000分の50の範囲内において27段階で定める(措置令22条)。(平2択)(平13択)(平21選)

 

 

5) 厚生労働大臣は、免除保険料率を決定したときは、その旨を当該厚生年金基金に通知しなければならない。


6) 厚生年金基金は、前項の通知を受けたときは、速やかに、これを当該厚生年金基金に係る適用事業所の事業主に通知しなければならない。


7) 適用事業所の事業主(当該厚生年金基金が設立された適用事業所の事業主に限る)は、通知を受けたときは、速やかに、これを当該通知に係る加入員に通知しなければならない。