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厚生年金保険法(7)-1

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第 6 章

積立金の運用
及び
費用の負担

第1節  厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置  248
第2節  積立金の運用    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・249
第3節  国庫負担    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・250
第4節  保険料の納付等    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・252

 

 

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第1節 厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置

 

1  厚生年金保険事業の円滑な実施を図るための措置 (法79条)   重要度 ●   

 

条文

 


1) 政府は、厚生年金保険事業の円滑な実施を図るため、厚生年金保険に関し、次に掲げる事業を行うことができる。

 


イ) 教育及び広報を行うこと。

 

 

ロ) 被保険者、受給権者その他の関係者(以下「被保険者等」という)に対し、相談その他の援助を行うこと。

 

 

ハ) 被保険者等に対し、被保険者等が行う手続に関する情報その他の被保険者等の利便の向上に資する情報を提供すること。

 

 

2) 政府は、厚生年金保険事業の実施に必要な事務(基礎年金拠出金の負担に伴う事務を含む)を円滑に処理し、被保険者等の利便の向上に資するため、電子情報処理組織の運用を行うものとする。


3) 政府は、第1項イ~ハに掲げる事業及び前項に規定する運用の全部又は一部を日本年金機構(以下「機構」という)に行わせることができる。


4) 政府は、独立行政法人福祉医療機構法第12条第1項第12号に規定する小口の資金の貸付けを、独立行政法人福祉医療機構に行わせるものとする。

 

 

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第2節 積立金の運用

 

1  運用の目的 (法79条の2)                           重要度 ●   

 

条文

 


年金特別会計の厚生年金勘定の積立金(以下「積立金」という)の運用は、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。(平13選)

 

 

2  積立金の運用 (法79条の3)                         重要度 ●   

 

条文

 


1) 積立金の運用は、厚生労働大臣が、前条の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。


2) 厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、同項の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができる。

 

 

3  責務と処分等 (法79条の4~法79条の6)             重要度 ●   

 

条文

 

(1) 運用職員の責務 (法79条の4)

 


積立金の運用に係る行政事務に従事する厚生労働省の職員(政令で定める者に限る、以下「運用職員」という)は、積立金の運用の目的に沿って、慎重かつ細心の注意を払い、全力を挙げてその職務を遂行しなければならない。

 

 

(2) 秘密保持義務 (法79条の5)

 


運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

 

 

(3) 懲戒処分 (法79条の6)

 


運用職員が前条(秘密保持義務)の規定に違反したと認めるときは、厚生労働大臣は、その職員に対し国家公務員法に基づく懲戒処分をしなければならない。

 

 

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第3節 国庫負担

 

1  国庫負担 (法80条)                                 重要度 ●   

 

条文

 


1) 国庫は、毎年度、厚生年金保険の管掌者たる政府が負担する基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を負担する*1。


2) 国庫は、前項に規定する費用のほか、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む)の執行に要する費用を負担する。 (平14択)(平17択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 厚生年金保険の管掌者たる政府及び年金保険者たる共済組合等は、毎年度、基礎年金(第2号被保険者及び第3号被保険者に係るもの)の給付に要する費用に充てるため、基礎年金拠出金を負担し、又は納付するものとされる(国民年金法94条の2第1項・2項)。


↓ また、このほか…


□「厚生年金保険事業に要する費用の負担の特例」として、国庫は、毎年度、この法律による他の保険給付、旧厚生年金保険法による保険給付、厚生年金保険の管掌者たる政府が支給するものとされた保険給付等に要する費用のうち、一定の額を負担する(平60法附則79条1項)。(平21択)

 


(例)昭和36年4月1日前の期間に係る給付に対する費用の100分の20(当該期間のうち第3種被保険者に対する給付費については100分の25)に相当する額を負担する。(平16択)

 

 

2  厚生年金保険の基礎年金拠出金の国庫負担に関する経過措置等
(平16法附則32条6項ほか)                                 重要度 ●   

 

条文

 

◆基礎年金拠出金に対する国庫負担について (平16法附則32条6項)

 


平成19年度から特定年度の前年度までの各年度においては、3分の1に1,000分の32を加えた率を乗じて得た額とする。(平17択)

 

 

advance

 

(1) 平成21年度及び平成22年度の厚生年金保険の基礎年金拠出金の国庫負担に関する経過措置の特例 (平16法附則32条の2)

 


国庫は、平成21年度及び平成22年度の各年度における厚生年金保険の管掌者である政府が負担する基礎年金拠出金の一部に充てるため、当該各年度について、前述(平16法附則32条6項)の国庫負担のほか、当該額と国庫負担割合2分の1とした場合の国庫負担額との差額に相当する額(約13.5%)についても国庫が負担する。

 

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↓ なお…


この「差額に相当する額」については、財源確保法(財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律)の規定により財政投融資特別会計財政融資資金勘定から一般会計に繰り入れられる繰入金を活用して確保するものとする。

 

 

(2) 特定年度について (平16法附則16条1項)

 


特定年度については、所得税法等の一部を改正する法律の規定に従って行われる税制の抜本的な改革により所要の安定した財源の確保が図られる年度を定めるものとする。

 

 

(3) 厚生年金保険の基礎年金拠出金の国庫負担割合の引上げのための措置 (平16法附則32条の3)

 


特定年度の前年度が平成23年度以後の年度である場合において、当該特定年度の前年度まで(平成22年度以前の年度を除く)の各年度における厚生年金保険の管掌者である政府の負担する基礎年金拠出金の一部に充てるため、当該各年度について平成19年度から特定年度の前年度までの各年度における国庫負担額のほか、当該額と国庫負担割合2分の1とした場合の国庫負担額との差額に相当する額を国庫の負担とするよう、臨時の法制上及び財政上の措置を講ずるものとする。