前のページへ | 次のページへ | 目次へ

厚生年金保険法(4)-13

仮画像

テキスト本文の開始

 

 

 

-----------------(154ページ目ここから)------------------

 

8  配偶者加給年金額 (法50条の2)                     重要度 ●● 

 

(1) 支給要件 (1項~3項)

 

条文

 

前年改正

 


1) 障害の程度が障害等級1級又は2級に該当する者に支給する障害厚生年金の額は、受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者があるときは、報酬比例額に加給年金額を加算した額とする。
(平6択)(平8択)(平9択)(平22択)


2) 加給年金額は、224,700円に改定率を乗じて得た額(端数処理あり)とする。


3) 受給権者がその権利を取得した日の翌日以後にその者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者を有するに至ったことにより第1項に規定する加給年金額を加算することとなったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、障害厚生年金の額を改定する。

 

 

ここをチェック

 

□障害等級3級に該当する障害厚生年金には、配偶者加給年金額は加算されない。 (平7択)(平9択)(平18択)

 

□障害厚生年金には、子に係る加給年金額の規定はない。
(平7択)(平9択)(平15択)


↓ また…


□配偶者に係る「特別加算」の規定もない(昭60法附則60条2項)。

 

ちょっとアドバイス

 

前年改正

 

◆障害厚生年金の加給年金額に係る生計維持の認定 (令3条の5第4項、平6.11.9庁保発36号、平6.11.9庁文発3235号)

 


障害厚生年金の受給権者によって生計を維持している配偶者は、当該障害厚生年金の受給権者と生計を同じくする者であって厚生労働大臣の定める金額(850万円)以上の収入を有すると認められる者以外のものその他これに準ずる者として厚生労働大臣が定める者とする。

 

 

↓ なお…


□前年の「収入年額が850万円未満」又は前年の「所得年額が655.5万円未満」である場合には、当該要件に該当すると判断される。

 

advance

 

前年改正

 


□第1項又は第4項において準用する法44条4項2号(受給権者による生計維持の状態がやんだとき)の規定の適用上、障害厚生年金の受給権者によって生計を維持していること又はその者による生計維持の状態がやんだことの認定に関し必要な事項は、政令で定める(法50条の2第5項)。

 

 

□旧厚生年金保険法による障害等級1級又は2級の障害年金について、受給権発生後に配偶者又は一定の要件に該当する子を有し、当該配偶者又は子との間に生計維持関係がある場合には、加給年金額の加算を行う(昭60法附則78条5項)。

 

 

-----------------(155ページ目ここから)------------------

 

 

□改正法の施行日(平成23年4月1日)において、現に厚生年金保険法の規定による障害厚生年金の受給権者によって生計を維持しているその者の65歳未満の配偶者(婚姻の届け出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み、当該受給権者がその権利を取得した日の翌日以後に有するに至った当該配偶者に限る)がある場合については、「当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月」とあるのは、「国民年金法等の一部を改正する法律の施行の日の属する月」とする(平22改正法附則2条)。

 

 

□改正法の施行日(平成23年4月1日)において、現に旧厚生年金保険法による障害等級1級又は2級の障害年金の受給権者によって生計を維持しているその者の配偶者又は一定の要件に該当する子(当該障害年金の受給権発生後に有することとなった配偶者又は子に限る)がある場合には、施行日の属する月(平成23年4月)から年金額の改定を行う(平22法附則2条6項)。

 

 

(2) 減額改定 (法44条4項準用・法50条の2第4項)

 

条文

 


加給年金額が加算された障害厚生年金については、配偶者が次のいずれかに該当するに至ったときは、その者に係る加給年金額を加算しないものとし、次のいずれかに該当するに至った月の翌月から、年金の額を改定する。

 


a) 死亡したとき

 

 

b) 受給権者による生計維持の状態がやんだとき

 

 

c) 配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき

 

 

d) 配偶者が、65歳に達したとき

 

 

ちょっとアドバイス

 

受給権者の配偶者が大正15年4月1日以前に生まれた者であるときは、当該配偶者が65歳に達した場合であっても、加給年金額は加算される(昭60法附則60条1項)。 (平20択)

 

(3) 支給停止 (法46条7項準用・法54条3項)

 

条文

 


加給年金額が加算された障害厚生年金については、その者について加算が行われている配偶者が、次に掲げる老齢若しくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給を停止する。

 


a) 老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上(中高齢者の特例による場合は、240に満たないときは240とみなす)であるものに限る)

 

 

b) 障害厚生年金

 

 

c) 国民年金法による障害基礎年金

 

 

d) 共済組合が支給する年金たる給付、私立学校教職員共済法による年金たる給付その他の年金たる給付のうち、老齢若しくは退職(その年金額の計算の基礎となる組合員期間等の月数が240以上であるものに限る)又は障害を支給事由とするもの

 

 

-----------------(156ページ目ここから)------------------

 

9  障害の程度が変わった場合の年金額の改定 (法52条)   重要度 ●● 

 

条文

 


1) 厚生労働大臣は、障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、その程度に応じて、障害厚生年金の額を改定することができる*1。(平19択)


2) 障害厚生年金の受給権者は、厚生労働大臣に対し、障害の程度が増進したことによる障害厚生年金の額の改定を請求することができる。


3) 受給権者からの改定の請求は、障害厚生年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない。 (平4択)(平10択)(平13択)(平16択)(平21択)

 

 

ここをチェック

 

□*1 厚生労働大臣により障害厚生年金の額が改定されたときは、改定後の額による障害厚生年金の支給は、改定が行われた月の翌月から始めるものとする(6項)。(平6択)


↓ なお…


□厚生労働大臣による額の改定(1項)、受給権者からの改定請求による改定(2項)、受給権者からの改定請求の制限(3項)及び改定開始月(6項)の規定は、65歳以上の者であって、かつ、当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金の受給権を有しない障害厚生年金の受給権者については、適用しない(7項)。
(平1択)(平6択)(平16択)(平23択)

 


a) これまでに一度も障害等級1級又は2級に該当したことのない障害厚生年金3の受給権者については、65歳以後に障害の程度が増進したとしても、年金額の改定は行われない。


b) 障害等級2の障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が、その後3級の障害状態となり、65歳以後に再び障害の程度が増進したときは、障害等級1級又は2級の障害基礎年金及び障害厚生年金の支給が行われる。

 

 

advance

 

(1) その他障害による額の併合改定 (4項・5項)

 


4) 障害厚生年金(その権利を取得した当時から引き続き障害等級の1級又は2級に該当しない程度の障害の状態にある受給権者に係るものを除く)の受給権者であって、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る傷病の初診日後に初診日があるものに限る)に係る当該初診日において被保険者であったものが、当該傷病により障害(障害等級1級又は2級に該当しない程度のものに限る、「その他障害」という)の状態にあり、かつ、当該傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、当該障害厚生年金の支給事由となった障害とその他障害(その他障害が2以上ある場合は、すべてのその他障害を併合した障害)とを併合した障害の程度が当該障害厚生年金の支給事由となった障害の程度より増進したときは、その者は、厚生労働大臣に対し、その期間内に障害厚生年金の額の改定を請求することができる。(平6択)(平14択)


5) 第47条第1項ただし書(保険料納付要件)の規定は、その他障害の場合に準用する。

 

 

-----------------(157ページ目ここから)------------------

 

□「支給繰上げの老齢基礎年金」又は「支給繰上げの老齢厚生年金」の受給権者は、その他障害による障害厚生年金の額の改定を請求することができない(法附則16条の3第1項)。

(2)「支給繰上げの老齢基礎年金」と障害の年金給付との関係

 


【支給されないもの】(受給権が認められないもの)

 

 

a) 被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものに係る障害基礎年金

 

b) 事後重症による年金給付(20歳前傷病による障害基礎年金も含む)

 

c) 基準障害による年金給付

 

 

【額の改定の請求ができないもの】

 

 

a) 障害等級3級から上位等級への改定(障害基礎年金の受給権があるときを除く)


b) その他障害による改定(併合改定による支給停止解除の請求も同様)

 

 

【支給又は改定の請求ができるもの】

 

 

a) 被保険者期間中に初診日があり、障害認定日において障害等級に該当する年金(本来支給)

 

b) 2級障害から1級障害への増進改定