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厚生年金保険法(4)-9

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2  障害厚生年金の受給権者 (法47条)                   重要度 ●●●

 

(1) 初診日及び障害認定日 (1項)

 

条文

 


障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という)につき初診日において被保険者であった者が、障害認定日において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。
(平4択)(平7択)(平13択)(平14択)(平23択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「初診日」とは、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう。

 

□「障害認定日」とは、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)があるときは、その日)をいう。

(平5択)(平8択)(平11択)


↓ なお…


「障害認定日」が昭和61年4月1日以後にあるときは、昭和61年4月1日前の被保険者期間中に発傷病日がある場合であっても、障害厚生年金が支給される。

(平9択)

 

□障害の発生要因については、業務上外を問わない。(平7択)

 

(2) 保険料納付要件及び障害等級 (1項ただし書・2項)

 

条文

 


ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、支給しない。(平5択)(平13択)
2) 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。(平22択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆保険料納付要件の原則

 

 

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advance

 

□「障害等級の決定に係る障害の状態」とは、原則として、次のとおりである(令3条の8関係、別表第1)。

 


法47条第2項に規定する障害等級の各級の障害の状態は、1級及び2級についてはそれぞれ国民年金法施行令別表に定める1級及び2級の障害の状態とし、3級については別表第1に定めるとおりとする。

 

【1級】

 

身体の機能障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずること不能ならしめる程度のもの(他人の介助が必要不可欠な状態)。

 

【2級】

 

身体の機能障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(他人の介助は不要であっても、日常生活は極めて困難で、労働による収入を得ることはできない状態)。

 

【3級】

 

下記参照

 

 

◆障害等級表 (*1級及び2級は国民年金法を参照のこと)

 


障害の程度

 

障害の状態

 

3級

 

1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの


2 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの


3 そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの(平23択)
4 脊柱の機能に著しい障害を残すもの


5 一上肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの


6 一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの


7 長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの


8 一上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の3指以上を失ったもの


9 おや指及びひとさし指を併せ一上肢の4指の用を廃したもの


10 一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの


11 両下肢の十趾の用を廃したもの


12 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの


13 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの


14 傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものであって、厚生労働大臣が定めるもの

(平20択)

 

 

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(3) 障害厚生年金の支給要件の特例 (昭60法附則64条1項)
(平4択)(平9択)(平20択)(平21択)

 

条文

 


初診日が平成28年4月1日前にある傷病による障害について、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときであっても、当該初診日の前日において当該初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外国民年金の被保険者期間がないときは、支給する。
ただし、当該障害に係る者が当該初診日において65歳以上であるときは、支給しない。

 

 

advance

 

□初診日が平成3年5月1日前にある傷病による障害についての保険料納付状況は、当該初診日の属する月前における直近の基準月(1月、4月、7月及び10月をいう)の前月において確認される(昭60法附則65条)。

 

3  事後重症による障害厚生年金 (法47条の2)           重要度 ●   

 

条文

 


1) 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であった者であって、障害認定日において障害等級(1級、2級又は3級)に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に同条第1項の障害厚生年金の支給を請求することができる。 (平4択)(平7択)(平13択)(平20択)


2) 第47条第1項ただし書(保険料納付要件)の規定は、前項の場合に準用する。


3) 第1項の請求があったときは、その請求をした者に障害厚生年金を支給する*1。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「請求をした者に障害厚生年金を支給する」とは、請求することによって、初めてその受給権が認められるということである。(平8択)

□「支給繰上げの老齢基礎年金」又は「支給繰上げの老齢厚生年金」の受給権者は、事後重症による障害厚生年金の支給を請求することができない(法附則16条の3第1項)。(平10択)

 

□事後重症による障害厚生年金は、同一の傷病による障害について旧厚生年金保険法による障害年金又は旧国民年金法による障害年金の受給権を有していたことがある者については、支給しない(昭60法附則66条)。