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厚生年金保険法(2)-2

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テキスト本文の開始

 

 

 

2  標準報酬月額の決定方法 (法21条~法23条の2)      重要度 ●● 

 

条文

 

(1) 定時決定 (法21条) (平4択)(平15択)(平23択)(平19選)

 


1) 厚生労働大臣は、被保険者が毎年7月1日現に使用される事業所において同日前3月間(その事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。


2) 前項の規定によって決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額とする。


3) 第1項の規定は、6月1日から7月1日までの間に被保険者の資格を取得した者及び第23条(随時改定)又は第23条の2(育児休業等を終了した際の改定)の規定により7月から9月までのいずれかの月から標準報酬月額を改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り適用しない。

 

 

(2) 被保険者の資格を取得した際の決定 (法22条) (平4択)(平10択)

 


1) 厚生労働大臣は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次に定める額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。

 


a) 月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合

 

 

被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額

b) 日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合

 

被保険者の資格を取得した月前1月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額

 

c) a)又はb)の規定によって算定することが困難であるもの

 

被保険者の資格を取得した月前1月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額

 

 

d) a)~c)の2以上に該当する報酬を受ける場合

 

それぞれについて、a)~c)の規定によって算定した額の合算額

 

 

2) 前項の規定によって決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月(6月1日から12月31日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。(平15択)

 

 

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(3) 随時改定 (法23条) (平9択)(平23択)(平19選)

 


1) 厚生労働大臣は、被保険者が現に使用される事業所において継続した3月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、17日以上でなければならない)に受けた報酬の総額を3で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。


2) 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、その年の8月(7月から12月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。

 

 

(4) 育児休業等を終了した際の改定 (法23条の2、平22改正法附則3条)

 

前年改正

 


1) 厚生労働大臣は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する育児休業又は育児休業の制度に準ずる措置による休業(以下「育児休業等」という(非常勤職員である国家公務員の育児休業又は地方公務員の育児休業を含む))を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(以下「育児休業等終了日」という)において当該育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に申出をしたときは、第21条(定時決定)の規定にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。(平17択)


2) 前項の規定によって改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月からその年の8月(当該翌月が7月から12月までのいずれかの月である場合は、翌年の8月)までの各月の標準報酬月額とする。(平17択)

 

 

(5) 報酬月額の算定の特例 (法24条)

 


1) 被保険者の報酬月額が、第21条第1項(定時決定)、第22条第1項(資格取得時決定)若しくは前条第1項(育児休業等を終了した際の改定)の規定によって算定することが困難であるとき、又は第21条第1項(定時決定)、第22条第1項(資格取得時決定)、第23条第1項(随時改定)若しくは前条第1項(育児休業等を終了した際の改定)の規定によって算定した額が著しく不当であるときは、これらの規定にかかわらず、厚生労働大臣が算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。


2) 同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第21条第1項(定時決定)、第22条第1項(資格取得時決定)、第23条第1項(随時改定)若しくは前条第1項(育児休業等を終了した際の改定)又は前項の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。(平4択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者」について、船舶に使用され、かつ、事業所に使用される被保険者である場合は、事業所から受ける報酬は標準報酬月額の基礎としない(令4条4項)。(平10択)

 

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前年改正

 

◆特別支給の老齢厚生年金の受給権者の継続雇用の際の被保険者資格の扱い
(平22.6.10保保発0610第1号、年年発0610第1号、年管発0610第1号)

 


健康保険法及び厚生年金保険法においては、一定の事業所に使用される者が事業主との間に事実上の使用関係が消滅したと認められる場合にその被保険者の資格を喪失するものと解されている。


↓ したがって…


同一の事業所においては雇用契約上一旦退職した者が1日の空白もなく引き続き再雇用された場合は、退職金の支払いの有無又は身分関係若しくは職務内容の変更の有無にかかわらず、その者の事実上の使用関係は中断することなく存続しているものであるから、被保険者の資格も継続するものである。


↓ ただし…

 


a) 特別支給の老齢厚生年金の受給権者である被保険者であって、退職後継続して再雇用される者については、使用関係が一旦中断したものとみなし、事業主から被保険者資格喪失届及び被保険者資格取得届を提出させる取扱いとして差し支えないこと。

 

 

b) この場合においては、被保険者資格取得届にその者が退職をした後、新たな雇用契約を結んだことを明らかにできる書類(事業主の証明書等)を添付させること。

 

 

3  その他の標準報酬月額の決定 (法24条の2ほか)       重要度 ●   

 

条文

 

(1) 船員たる被保険者の標準報酬月額 (法24条の2)

 


船員たる被保険者の標準報酬月額の決定及び改定については、第21条から前条までの規定にかかわらず、船員保険法の規定の例による。(平21択)

 

 

(2) 第4種被保険者の標準報酬月額 (昭60法附則50条1項、平12法附則5条3項)

 


第4種被保険者の標準報酬月額は、その被保険者資格を取得する前の最後の標準報酬月額による*1。(平4択)(平9択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 標準報酬月額が98,000円未満であるときは、98,000円とする。

 

 

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第2節  標準賞与額ほか

 

1  標準賞与額の決定等 (法24条の3、法25条)          重要度 ●   

 

条文

 

(1) 標準賞与額の決定 (法24条の3)

 


1) 厚生労働大臣は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに1,000円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定する。この場合において、当該標準賞与額が150万円(第20条第2項の規定による標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額)を超えるときは、これを150万円とする。


2) 第24条(報酬月額の算定の特例)の規定は、標準賞与額の算定について準用する。

 

 

(2) 現物給与の価額 (法25条)

 


報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。
(平1択)(平2択)(平21択)