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厚生年金保険法(7)-15

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第6節  確定拠出年金への移行等

 

1  確定拠出年金を実施する場合における手続 (法144条の5)    重要度 ●   

 

条文

 


1) 基金は、規約で定めるところにより、年金給付等積立金の一部を、設立事業所の事業主が実施する企業型年金(確定拠出年金法に規定する「企業型年金」をいう)における当該設立事業所に使用される加入員の個人別管理資産に充てる場合には、政令で定めるところにより、当該年金給付等積立金の一部を当該企業型年金の資産管理機関に移換することができる。(平18択)(平15選)


2) 前項の規約を定める場合には、当該企業型年金を実施する設立事業所の事業主の全部及び加入員のうち当該年金給付等積立金の移換に係る加入員(以下「移換加入員」という)となるべき者の2分の1以上の同意並びに加入員のうち移換加入員となるべき者以外の者の2分の1以上の同意を得なければならない。

(平18択)


3) 前項の場合において、当該企業型年金が実施される設立事業所が2以上であるときは、同項の移換加入員となるべき者の同意は、各設立事業所について得なければならない。


4) 解散した基金は、規約で定めるところにより、残余財産の全部又は一部を、当該解散した基金に係る適用事業所の事業主が実施する企業型年金における当該適用事業所に使用される被保険者の個人別管理資産に充てる場合には、政令で定めるところにより、当該残余財産の全部又は一部を当該企業型年金の資産管理機関に移換することができる。

 

 

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◆基金から確定拠出年金への脱退一時金相当額の移換 (法144条の6)

 


1) 基金の中途脱退者は、企業型年金加入者(確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者をいう)又は個人型年金加入者(同法に規定する個人型年金加入者をいう)の資格を取得したときは、当該基金に当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会への脱退一時金相当額の移換を申し出ることができる。


2) 当該基金は、前項の規定により脱退一時金相当額の移換の申出があったときは、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に当該申出に係る脱退一時金相当額を移換するものとする。


3) 当該基金は、前項の規定により脱退一時金相当額を移換したときは、当該中途脱退者に係る脱退一時金の支給に関する義務を免れる。


4) 当該企業型年金の企業型記録関連運営管理機関等(確定拠出年金法に規定する企業型記録関連運営管理機関等をいう)又は国民年金基金連合会は、第2項の規定により脱退一時金相当額が当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に移換されたときは、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない。

 

 

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第7節 解散及び清算

 

1  解散 (法145条)                                    重要度 ●● 

 

条文

 

(1) 解散 (法145条)

 


1) 基金は、次に掲げる理由により解散する。(平4択)(平20択)

 


イ) 代議員の定数の4分の3以上の多数による代議員会の議決(平11択)

 

 

ロ) 基金の事業の継続の不能

 

 

ハ) 厚生労働大臣による解散の命令

 

 

2) 基金は、イ又はロに掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(平13択)

 

 

(2) 基金の解散による年金たる給付等の支給に関する義務等の消滅 (法146条)

 


基金は、解散したときは、当該基金の加入員であった者に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する義務を免れる。
ただし、解散した日までに支給すべきであった年金たる給付若しくは一時金たる給付でまだ支給していないものの支給又は他の基金への年金給付等積立金(当該老齢年金給付に充てるべき積立金に限る)の移換若しくは脱退一時金相当額の移換確定拠出年金への脱退一時金相当額の移換若しくは確定給付企業年金法の規定により解散した日までに移換すべきであった年金給付等積立金若しくは脱退一時金相当額でまだ移換していないものの移換に関する義務については、この限りでない(義務は免れない)。 (平11択)(平14択)(平21択)

 

 

(3) 過去期間代行給付現価に係る政府の負担 (基金令60条の2) (平22択)

 


1) 過去期間代行給付現価の額に照らし政令で定めるところにより算定した額は、過去期間代行給付現価の額(以下「過去期間代行給付現価の額」という)に2分の1を乗じて得た額とする。


2) 政府が負担することが適当であるものとして政令で定めるところにより算定した額は、前項の規定により算定した額から責任準備金相当額を控除した額に5分の1を乗じて得た額とする。ただし、責任準備金相当額が過去期間代行給付現価の額に4分の1を乗じて得た額を下回るときは、同項の規定により算定した額から責任準備金相当額を控除した額とする。


3) 政府は、基金の申請に基づき、前項の規定により算定した額を、当該額の計算の基礎となった日の属する事業年度の翌事業年度に、当該基金に交付する。

 

 

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2  清算 (法146条の2~法148条)                      重要度 ●   

 

条文

 

(1) 清算中の基金の能力 (法146条の2)

 


解散した基金は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。

 

 

(2) 清算人等 (法147条)

 


1) 基金が第145条第1項イ又はロの規定により解散したときは、理事が、その清算人となる。ただし、代議員会において他人を選任したときは、この限りでない。


2) 次に掲げる場合には、厚生労働大臣が清算人を選任する。

 


a) 前項の規定により清算人となる者がないとき。

 

 

b) 基金が第145条第1項ハ(厚生労働大臣による解散の命令)の規定により解散したとき。

 

 

c) 清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるとき。

 

 

3) 前項の場合において、清算人の職務の執行に要する費用は、基金が負担する。


4) 解散した基金の残余財産は、規約の定めるところにより、その解散した日において当該基金が年金たる給付の支給に関する義務を負っていた者に分配しなければならない。


5) 前項の規定により残余財産を分配する場合においては、同項に規定する者に、その全額を支払うものとし、当該残余財産を事業主に引き渡してはならない。(平14択)

 

 

(3) 清算人の職務及び権限 (法147条の2)

 


1) 清算人の職務は、次のとおりとする。

 


a) 現務の結了     b) 債権の取立て及び債務の弁済     c) 残余財産の分配

 

 

2) 清算人は、a)~c)に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。

 

 

(4) 債権の申出の催告等 (法147条の3)

 


1) 清算人は、その就職の日から2箇月以内に、少なくとも3回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。
2) 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。

 

 

(5) 清算に係る報告の徴収等 (法148条1項)

 


厚生労働大臣は、解散した基金について必要があると認めるときは、その清算事務の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして当該基金の事務所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。

 

 

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第8節 企業年金連合会

 

1  連合会の設立等 (法149条、法152条)                重要度 ●   

 

条文

 

(1) 連合会の設立 (法149条)

 


1) 基金は、中途脱退者及び解散した基金が老齢年金給付の支給に関する義務を負っていた者(以下「解散基金加入員」という)に係る老齢年金給付の支給を共同して行うとともに、基金、確定給付企業年金又は確定拠出年金への年金給付等積立金の移換を円滑に行うため、企業年金連合会(以下「連合会」という)を設立することができる。(平15選)

 

2) 連合会は、全国を通じて1個とする。

 

 

「中途脱退者」とは、当該基金の加入員の資格を喪失した者(当該加入員の資格を喪失した日において当該基金が支給する老齢年金給付の受給権を有する者を除く)であって、その者の当該基金の加入員であった期間が政令で定める期間

(20年)に満たないものをいう(基金令41条の3の3第2項)。

 

 

(2) 設立の認可等 (法152条)

 


1) 連合会を設立しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 (平13択)


2) 認可の申請は、5以上の基金が共同して規約をつくり、基金の3分の2以上の同意を得て行なうものとする。(平13択)


3) 連合会は、設立の認可を受けた時に成立する。


4) 厚生労働大臣は、基金の行なう事業の健全な発展を図るために必要があると認めるときは、基金に対し、連合会に加入することを命ずることができる

(平13択)

 

 

2  評議員会及び役員 (法155条ほか)                    重要度 ●   

 

条文

 

(1) 評議員会 (法155条)

 


1) 連合会に、評議員会を置く。


2) 評議員会は、評議員をもって組織する。


3) 評議員は、会員の代表者において互選する。


4) 評議員の任期は、2年とする。ただし、補欠の評議員の任期は、前任者の残任期間とする。


5) 評議員会は、理事長が招集する。評議員の定数の3分の1以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して評議員会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日から20日以内に評議員会を招集しなければならない。


6) 評議員会に議長を置く。議長は、理事長をもって充てる。

 

 

 

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(2) 評議員会の議決 (法156条)

 


1) 規約の変更毎事業年度の予算毎事業年度の事業報告及び決算、その他規約で定める事項は、評議員会の議決を経なければならない。


2) 理事長は、評議員会が成立しないとき、又は理事長において評議員会を招集する暇がないと認めるときは、評議員会の議決を経なければならない事項で臨時急施を要するものを処分することができる。


3) 理事長は、前項の規定による処置については、次の評議員会においてこれを報告し、その承認を求めなければならない。


4) 評議員会は、監事に対し、連合会の業務に関する監査を求め、その結果の報告を請求することができる。

 

 

(3) 役員 (法157条1項・2項)

 


1) 連合会に、役員として理事及び監事を置く。


2) 理事及び監事は、評議員において互選する。ただし、特別の事情があるときは、評議員以外の者のうちから評議員会で選任することを妨げない。

 

 

(4) 会員の資格 (法158条の5)

 


連合会の会員たる資格を有する者は、次の者とする。

 


a) 基金

 

 

b) a)の者以外の者であって、確定給付企業年金(確定給付企業年金法に規定する確定給付企業年金をいう)その他政令で定める年金制度を実施するものとして規約で定めるもの