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厚生年金保険法(7)-13

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テキスト本文の開始

 

 

 

4  支給停止 (法133条、133条の2)                     重要度 ●   


(1) 原則的な支給停止 (法133条)

 

条文

 


老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されている場合を除いては、その支給を停止することができな。ただし、当該老齢年金給付の額のうち、前条(法132条)2項に規定する額(老齢厚生年金の支給繰下げの規定による申出をした者に基金が支給する老齢年金給付については、前条4項に規定する額)を超える部分については、この限りでない。 (平7択)(平17択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「超える部分」とは、代行給付額を超える部分(基金独自の加算給付部分)のことである。

 

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(2) 65歳以後の在職老齢年金の要件に該当する場合の老齢年金給付

(法133条の2)

 

条文

 


1) 在職老齢年金の規定によりその全部又は一部の支給が停止されているものに係る老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付については、前条の規定は適用しない。


2) 当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されている場合(当該老齢厚生年金(加給年金額又は繰下げ加算額が加算されているものを除く)が在職老齢年金の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であって、支給停止基準額が、当該期間を基金の加入員でなかったものとして計算した老齢厚生年金の額(加給年金額及び繰下げ加算額を除く、「基金に加入しなかった場合の老齢厚生年金の額」という)に満たない場合を除く)を除いては、その支給を停止することができない。ただし、当該老齢年金給付の額のうち、代行給付額を超える部分については、この限りでない。

 

 

ちょっとアドバイス

 


在職老齢年金に係る「支給停止基準額」が、国から支給する老齢厚生年金の額の支給停止だけでは収まらない場合には、代行給付部分を限度としてその支給を停止することができる。
(在職老齢年金の支給停止額の算定については、基金に加入していなかった厚生年金保険の被保険者であった期間として計算する)


↓ また…


代行給付額を超える部分については、基金の規約により定めることとなる。

 

 

【支給停止額の検証】(例)下記のような受給額の在職老齢年金の受給者が調整を受ける場合

 

 

a) 停止額が「30」のときは、老齢厚生年金30が支給停止される。


b) 停止額が「60」のときは、老齢厚生年金50+代行給付10が支給停止される。


c) 停止額が「90」であっても、老齢厚生年金50+代行給付30を限度として支給停止される。

 

(3) 60歳台前半の在職老齢年金の要件に該当する場合の老齢年金給付

(法附則13条3項)

 

条文

 


60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付は、当該老齢厚生年金がその全額につき支給を停止されている場合(当該老齢厚生年金が60歳台前半の在職老齢年金の規定によりその全額につき支給を停止されている場合であって、支給停止基準額が、基金に加入しなかった場合の老齢厚生年金の額に満たないとき等を除く)を除いては、その支給を停止することができない。ただし、当該老齢年金給付の額のうち、代行給付額を超える部分については、この限りでない。 (平8択)(平13択)(平17択)

 

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5  第1号改定者等の標準報酬の改定に伴う老齢年金給付の支給に関する
権利義務の変更 (法133条の3)                              重要度 ●   

 

条文

 


1) 基金は、標準報酬改定請求又は3号分割標準報酬改定請求の規定により標準報酬の改定が行われたときは、当該改定に係る第1号改定者又は特定被保険者の老齢年金給付の支給に関する義務の一部(第85条の3の規定により政府が徴収する額に相当する老齢年金給付の支給に関する義務に限る)を免れることができる。(平22択)


2) 基金は、前項の規定により老齢年金給付の支給に関する義務の一部を免れるときは、その旨を第1号改定者又は特定被保険者に通知しなければならない


3) 基金は、第1号改定者又は特定被保険者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、当該通知すべき事項を公告しなければならない。

 

 

6  裁定 (法134条)                                    重要度 ●    

 

条文

 


基金が支給する年金たる給付及び一時金たる給付を受ける権利は、その権利を有する者の請求に基づいて、基金が裁定する。(平1択)(平14択)

 

 

7  老齢年金給付の支払期月 (法135条)                  重要度 ●   

 

条文

 


老齢厚生年金の受給権者に基金が支給する老齢年金給付の支払期月については、当該老齢厚生年金の支払期月の例*1による。
ただし、老齢年金給付の額が政令で定める額に満たない場合における支払期月については、政令の定めるところによる*2。

 

 

ここをチェック

 

□*1「支払期月の例」とは、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期である。

 

□*2 老齢年金給付の額が27万円に満たない場合における当該老齢年金給付の支払期月は、規約で定めるところにより、当該老齢厚生年金の支払期月の例による月又は次に掲げる当該老齢年金給付の額の区分に応じ、それぞれ当該定める月とする(基金令28条2項)。 (平8択)(平16択)

 


老齢年金給付の額
支払期月

 

15万円以上
27万円未満

 6万円以上
15万円未満

6万円未満

 

2月、6月及び10月又は4月、

8月及び12月(3期)

 

 

6月及び12月(2期)

 

 

 

2月、4月、6月、8月、

10月又は12月(1期)

 

 

 

 

 

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第4節  費用の負担

 

1  掛金及び掛金の負担等 (法138条、法139条)          重要度 ●● 


(1) 掛金 (法138条)

 

条文

 

改正

 


1) 基金は、基金が支給する年金たる給付及び一時金たる給付に関する事業に要する費用に充てるため、掛金を徴収する。ただし、政令で定める場合にあつては、この限りでない。


2) 掛金(第5項又は第6項の規定により徴収する掛金を除く、次項及び第4項において同じ)は、老齢年金給付の額の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。


3) 掛金の額は、政令の定めるところにより、加入員の標準給与の額を標準として算定するものとする。


4) 第129条第2項(基金の設立事業所以外の適用事業所に同時に使用される加入員)に規定する加入員に係る掛金の額は、前項の規定にかかわらず、同項の規定により算定した額に、標準給与の額の基礎となる給与の額に対する当該基金の設立事業所で受ける給与の額の割合を乗じて得た額とする。


5) 基金の設立事業所が減少する場合(設立事業所の事業主が、分割又は事業の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合その他の設立事業所の減少に相当するものとして厚生労働省令で定める事由が生じた場合を含む)において、当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加することとなるときは、当該基金は、当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を、当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。(平16択)(平21択)


6) 基金が解散する場合において、当該解散する日における年金給付等積立金の額が、政令で定める額を下回るときは、当該基金は、当該下回る額を、設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。(平14択)