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国民年金法(補)-8

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テキスト本文の開始

 

 

 

(2) 財務大臣への権限の委任 (法109条の5)

 

条文

 


1) 厚生労働大臣は、滞納処分等その他の処分に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情*2があるため保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる


2) 財務大臣(国税庁長官に権限委任)は、厚生労働大臣からの委任に基づき、滞納処分等の権限の全部又は一部を行ったときは、その執行の状況及びその結果を厚生労働大臣に報告するものとする。

 

 

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advance

 

□*2「政令で定める事情」とは、次のいずれにも該当するものであることとする(令11条の10、則105条、則106条)。

 


a) 納付義務者が24月分以上の保険料を滞納していること。


b) 納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあること。


c) 納付義務者の前年の所得が1,000万円以上であること。


d) 滞納処分等その他の処分を受けたにもかかわらず、納付義務者が滞納している保険料その他法の規定による徴収金の納付について誠実な意思を有すると認められないこと。

 

 

(3) 地方厚生局長等への権限の委任 (法109条の9)

 

条文

 


1) この法律に規定する厚生労働大臣の権限(第109条の5第1項及び第2項(財務大臣への委任)並びに第7章(国民年金基金及び国民年金基金連合会)*3に規定する厚生労働大臣の権限を除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。


2) 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

 

 

advance

 

□「権限委任事務」に係る主な事項は、次のとおりである(則113条)。

 


a) 機構が行う滞納処分等に係る厚生労働大臣の認可


b) 機構が行う立入検査等に係る厚生労働大臣の認可


c) 学生納付特例事務法人の指定等  etc.

 

 

◆*3 権限の委任 (法142条の2)

 


1) 第7章(国民年金基金及び国民年金基金連合会)に規定する厚生労働大臣の権限のうち基金に係るものは、厚生労働省令の定めるところにより、その一部を地方厚生局長に委任することができる。(平16択)


2) 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令の定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

 

 

4  機構への事務の委託ほか (法109条の10~12ほか)      重要度 ●    

   
(1) 厚生労働大臣の事務の委託 (法109条の10)

 

条文

 


厚生労働大臣は、機構に、次に掲げる事務(法3条2項及び3項の規定により共済組合等及び市町村長が行うこととされたものを除く)を行わせるものとする*1。

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□*1「機構に行わせる事務」は、「国(厚生労働大臣)」の名で機構が実施するものであり、次のような事務(委託事務)がある。

 


a) 国民年金原簿の記録に係る事務(当該記録を除く)


b) 被保険者に対する情報の通知に係る事務(当該通知を除く)


c) 裁定に係る事務(前記3(「権限委任事務」のこと、以下同じ)に掲げる裁定請求の受理及び当該裁定を除く)


d) 未支給年金の請求内容の確認に係る事務


e) 併給調整の規定による年金給付の支給停止に係る事務(支給停止解除申請の受理及び当該支給停止に係る決定を除く)


f) 受給権者からの申出による年金給付の支給停止に係る事務(支給停止に係る申出の受理及び当該支給停止に係る決定を除く)


g) 不正利得の徴収に係る事務 (前記3に掲げる権限を行使する事務及び機構が行う収納、督促その他の一定の権限を行使する事務等を除く)


h) 老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金等給付の支給、支給停止及び額改定に係る事務(前記3に掲げる事務、裁定、支給停止に係る決定及び額改定に係る決定を除く)


i) 年金給付の一時差止めに係る事務(当該一時差止めに係る決定を除く)


j) 保険料の徴収に係る事務(前記3に掲げる権限を行使する事務並びに機構が行う収納、督促等一定の事務を除く)


k) 保険料の被保険者に対する通知に係る事務(当該通知を除く)


l) 指定代理納付者、納付受託者の指定に係る事務(前記3に掲げる申出の受理及び当該指定を除く)


m) 督促に係る事務(当該督促及び督促状を発すること(督促状の発送に係る事務を除く)を除く)


n) 延滞金の徴収に係る事務(前記3に掲げる権限を行使する事務及び機構が行う収納、督促等一定の事務を除く)


o) 国民年金事務組合の認可及び認可の取消しに係る事務(当該認可及び認可の取消しを除く)


p) 学生納付特例事務法人及び保険料納付確認団体の指定、指定取消しに係る事務(当該指定の申請の受理、指定に係る決定及び指定取消しを除く) etc.

 

      

  ↓ なお…


□機構に対する委託事務に係る申請、届出等は、機構の定める年金事務所に対して行うものとする(則117条)。

 

(2) 機構が行う収納事務 (法109条の11第1項)

 

条文

 


厚生労働大臣は、会計法の規定にかかわらず、保険料等(政令で定める場合*2における保険料その他国民年金法の規定による徴収金、年金給付の過誤払による返還金等をいう)の収納を、機構に行わせることができる。

 

 

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advance

 

□*2「政令で定める場合」とは、次に掲げる場合とする(令11条の13)。

 


a) 督促を受けた納付義務者が保険料その他法の規定による徴収金の納付を日本年金機構法に規定する年金事務所において行うことを希望する旨の申出があった場合


b) 所定の規定により任命された収納を行う機構の収納職員であって併せて徴収職員として任命された者(以下「職員」という)が、保険料その他法の規定による徴収金を徴収するため、納付義務者を訪問した際に、当該納付義務者が当該職員による保険料その他法の規定による徴収金の収納を希望した場合


c) 職員が、保険料その他法の規定による徴収金を徴収するため国税滞納処分の例による処分により金銭を取得した場合 etc.

 

 

(3) 情報の提供等 (法109条の12)

 

条文

 


1) 機構は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格に関する事項、保険料の免除に関する事項その他厚生労働大臣の権限の行使に関して必要な情報の提供を行うものとする。


2) 厚生労働大臣及び機構は、国民年金事業が、適正かつ円滑に行われるよう、必要な情報交換を行うことその他相互の密接な連携の確保に努めるものとする。

 

 

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第3節  罰則

 

1  罰則 (法111条~法114条)                           重要度 ●●    

 

条文

 

(1) 3年以下の懲役又は100万円以下の罰金 (法111条)
(平3択)(平10択)(平13択)(平20択)

 


偽りその他不正な手段により給付を受けたとき(ただし、刑法に正条があるときは刑法による)。

 

 

(2) 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 (法111条の3)

 


解散した国民年金基金又は国民年金基金連合会の代表者、代理人又は使用人その他の従業者が、次の違反行為をしたとき。

 


1) 正当な理由がなくて、第95条の2(基金又は連合会の解散に伴う責任準備金相当額の徴収)の規定による徴収金を督促状に指定する期限までに納付しない場合。

 

 

2) 国民年金基金(以下「基金」とする)又は国民年金基金連合会(以下「連合会」とする)の代表者、代理人又は使用人その他の従業者が、その基金又は連合会の業務に関して違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その基金又は連合会に対しても、同項の罰金刑を科する。

 

 

(3) 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金 (法112条)

 


次のいずれかに該当するとき。

 


a) 第1号被保険者の届出(法12条1項)又は第3号被保険者の届出(同5項)の規定に違反して虚偽の届出をした被保険者

(平3択)(平13択)(平10択)(平20択)

 

 

b) 第1号被保険者に代わって届出(法12条2項)をする場合に虚偽の届出をした世帯主

 

 

c) 被保険者に関する調査(法106条1項)の規定により国民年金手帳、資産若しくは収入の状況に関する書類その他の物件の提出を命ぜられてこれに従わず、若しくは虚偽の書類その他の物件の提出をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をした被保険者

 

 

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(4) 30万円以下の罰金 (法113条、法113条の2)

 


次のいずれかに該当するとき。

 


a) 法12条1項又は5項の規定に違反して届出をしなかった被保険者(第1号被保険者に代わって世帯主から届出がなされたときを除く)(平3択)

 

 

b) 徴収金の徴収(法95条)の規定によりその例によるものとされる国税徴収法141条の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者

 

 

c) 法95条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法141条の規定による検査を拒み、妨げ若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者

 

 

d) 保険料納付確認団体の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者が、法109条の3第6項の規定に違反して、正当な理由なく、業務に関して知り得た秘密を漏らした場合

 

 

(5) 両罰規定 (法113条の3第1項)

 


法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下「人格のない社団等」という)を含む)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して前条(dを除く)の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、同条の刑を科する

 

 

(6) 20万円以下の過料 (法113条の4)

 


機構の役員が、次のいずれかに該当する場合。

 


a) 機構が行う滞納処分等及び立入検査等に係る厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき

 

 

b) 滞納処分等実施規程の変更命令に違反したとき

 

 

(7) 10万円以下の過料 (法114条)

 


次のいずれかに該当するとき。

 


a) 死亡の届出等(法105条1項)の規定に違反して届出をしなかった被保険者(ただし、世帯主から届出がなされたときを除く)(平3択)(平20択)

 

 

b) 法105条1項の規定に違反して虚偽の届出をした被保険者(虚偽の届出をした世帯主を含む)(平18択)

 

 

c) 死亡の届出(法105条4項)をしなかった戸籍法の規定による死亡の届出義務者

 

 

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※テキスト269ページ~274ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません