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国民年金法(1)-2

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2  国民年金のしくみ                                   重要度 ●    

   

ちょっとアドバイス

 

(1) 国民年金と厚生年金保険


□日本の年金制度は、国民年金からは、すべての国民に共通する基礎年金が支給され、厚生年金など被用者年金からは、基礎年金に上乗せする報酬比例の年金が支給されるという2階建ての年金給付のしくみをとっている。

 

*数値は、「厚生年金保険・国民年金事業状況」の制度別適用状況より

(平成23年4月末日現在)

 

(2)「国民年金」は基礎年金を支給


□国民年金は、自営業者だけでなく、厚生年金などの被用者年金制度の加入者とその配偶者にも共通する給付として、a)老齢基礎年金、b)障害基礎年金、c)遺族基礎年金の3種類の基礎年金を支給する。

 

(3)「厚生年金保険」は基礎年金に上乗せして支給


□厚生年金保険が適用されている事業所に勤めるサラリーマン等は、国民年金と厚生年金の2つの年金制度に加入することになる。

 

□厚生年金保険から支給される年金は、加入期間とその間の収入の平均に応じて計算される報酬比例の年金となっており、次のように基礎年金に上乗せするかたちで支給される。

 

 

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第2節  国民年金の目的等

 

1  国民年金制度の目的 (法1条)                        重要度 ●    

    

条文

 


国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
(平3択)(平10択)

 

 

参考条文

 

◆日本国憲法第25条第2項

 


国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

 

2  国民年金の給付 (法2条)                            重要度 ●    

   

条文

 


国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。

 

 

3  管掌 (法3条)                                      重要度 ●●    

 

条文

 


1) 国民年金事業は、政府が、管掌する。


2) 国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、法律によって組織された共済組合(以下「共済組合」という)、国家公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は私立学校教職員共済法の規定により私立学校教職員共済制度を管掌することとされた日本私立学校振興・共済事業団(以下「共済組合等」という)に行わせることができる

(平3択)(平19択)


3) 国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む)が行うこととすることができる*1。

 

 

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ここをチェック

 

□*1 次に掲げる事務は、市町村長(特別区の区長を含む)が行うこととする。この場合においては、法の規定中当該事務に係る厚生労働大臣に関する規定は、市町村長に関する規定として市町村長に適用があるものとする(令1条の2)。

 


a) 任意脱退の承認の申請の受理に関する事務(平1択)(平16択)


b) 任意加入(特例任意加入を含む)の申出の受理及びその申出に係る事実についての審査に関する事務(平5択)


c) 国民年金手帳の再交付の申請(第1号被保険者、任意加入被保険者(特例任意加入被保険者を含む)に係るものに限る)の受理に関する事務


d) 国民年金に規定する給付を受ける権利の裁定(一定の老齢基礎年金、寡婦年金、死亡一時金等の給付を受ける権利の裁定に限る)の請求の受理及びその請求に係る事実についての審査に関する事務(平2択)(平22択)


e) 未支給年金に規定する請求(一定の障害基礎年金、寡婦年金等の年金たる給付に係るものに限る)の受理及びその請求に係る事実についての審査に関する事務


f) 併給の調整による支給停止、所在不明による遺族基礎年金の支給停止に規定する解除の申請の受理に関する事務


g) 一定の障害基礎年金の額の改定の請求の受理に関する事務


h) 付加保険料の納付に係る申出の受理及びその申出に係る事実についての審査に関する事務 (平16択)


i) 保険料の申請全額免除、申請4分の3免除、申請半額免除、申請4分の1免除、学生の保険料納付特例若しくは30歳未満の保険料納付猶予制度に規定する申請の受理及びその申請に係る事実についての審査に関する事務


j) 第1号被保険者等に係る届出等の受理及びその届出に係る事実についての審査に関する事務


k) 旧法による一定の年金に係る裁定の請求の受理及びその請求に係る事実についての審査に関する事務、旧法による障害年金の額の改定の請求の受理に関する事務

 

 

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(1) 事務の区分 (法6条)

 


第1号被保険者の資格の得喪、種別の変更並びに氏名及び住所の変更等に係る市町村が処理することとされている事務は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務(法律又はこれに基づく政令により、都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めたもの)とする。(平16択)

 

 

(2) 管轄 (令2条)

 


1) 法及び令1条の2の規定により市町村(特別区を含む)が処理することとされている事務は、第1号被保険者若しくは第1号被保険者であった者の住所地(日本国内に住所がない第1号被保険者又は第1号被保険者であった者にあっては、厚生労働大臣が定める地)又は受給権者の住所地(日本国内に住所がないときは、受給権者の日本国内における最後の住所地)の市町村長が行うものとする。

 

 

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2) 組合員又は私学教職員共済制度の加入者であった間に初診日がある傷病による障害に係る障害基礎年金に関する事務は、受給権者が当該障害基礎年金の支給事由となった障害(法31条1項の規定(併給の調整)による障害基礎年金については、後の障害とする)に係る初診日(昭和61年4月1日前に発した傷病による障害にあっては、当該傷病が発した日)に組合員であった場合にあってはその属する共済組合(受給権者がその日に国家公務員共済組合連合会又は全国市町村職員共済組合連合会を組織する共済組合の組合員であった場合にあっては、それぞれ当該連合会)が行うものとし、私学教職員共済制度の加入者であった場合にあっては日本私立学校振興・共済事業団が行うものとする。(平22択)

 

 

4  年金額の改定 (法4条)                              重要度 ●    

    

条文

 


この法律による年金の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講ぜられなければならない。(平13択)(平14選)

 

 

5  財政の均衡 (法4条の2)                            重要度 ●    

   

条文

 


国民年金事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。

 

 

6  財政の現況及び見通しの作成 (法4条の3)            重要度 ●    

   

条文

 


1) 政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という)を作成しなければならない。(平17選)


2) 前項の財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とする。


3) 政府は、第1項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。