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健康保険法(6)-14

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第5節 日雇特例被保険者に係る保険料

 

1  日雇特例被保険者の保険料額 (法168条1項)          重要度 ●   

 

条文

 


日雇特例被保険者に関する保険料額は、1日につき、次に掲げる額の合算額とする。

 


イ) その者の標準賃金日額の等級に応じ、次に掲げる額の合算額を基準として政令で定めるところにより算定した額。(平22択)

 


a) 標準賃金日額に平均保険料率と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額

 

 

b) a)に掲げる額に100分の31を乗じて得た額

 

 

ロ) 賞与額(その額に1,000円未満の端数がある場合には、これを切り捨てるものとし、その額が40万円(法124条2項の規定による標準賃金日額の等級区分の改定が行われたときは、政令で定める額)を超える場合には、40万円とする)に平均保険料率と介護保険料率とを合算した率(介護保険第2号被保険者である日雇特例被保険者以外の日雇特例被保険者については、平均保険料率)を乗じて得た額。(平18択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「平均保険料率」とは、各都道府県単位保険料率に各支部被保険者の総報酬額の総額を乗じて得た額の総額を協会が管掌する健康保険の被保険者の総報酬額の総額で除して得た率をいう。

 

2  日雇特例被保険者に係る保険料の負担及び納付義務(法169条) 重要度 ●   

 

条文

 


1) 労使の負担割合は、次のとおりである。

 

日雇特例被保険者

 

前条第1項イのa)の額の2分の1に相当する額として政令で定めるところにより算定した額及び同項ロの額の2分の1の額の合算額

 

日雇特例被保険者を使用する事業主

 

当該算定した額、同項イのb)の額に相当する額として政令で定めるところにより算定した額及び同項ロの額の2分の1の額の合算額

 

 

2) 事業主(日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合においては、初めにその者を使用する事業主)は、日雇特例被保険者を使用する日ごとに、その者及び自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負う。 (平3択)(平11択)(平19択)(平23択)


3) 前項の規定による保険料の納付は、日雇特例被保険者が提出する日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり、これに消印して行わなければならない。

(平3択)


4) 日雇特例被保険者手帳を所持する日雇特例被保険者は、適用事業所に使用される日ごとに、その日雇特例被保険者手帳を事業主に提出しなければならない

 

 

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5) 事業主は、日雇特例被保険者を使用する日ごとに、日雇特例被保険者にその所持する日雇特例被保険者手帳の提出を求めなければならない


6) 事業主は、第2項の規定により保険料を納付したときは、日雇特例被保険者の負担すべき保険料額に相当する額をその者に支払う賃金から控除することができる。この場合においては、事業主は、その旨を日雇特例被保険者に告げなければならない


7) 事業主は、日雇特例被保険者に対して賞与を支払った日の属する月の翌月末日までに、その者及び自己の負担すべきその日の賞与額に係る保険料を納付する義務を負う。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□事業主は、健康保険印紙を購入するときには、健康保険印紙購入通帳に購入しようとする健康保険印紙の種類、枚数、金額及び購入年月日を記入し、健康保険印紙を販売する郵便事業株式会社の営業所又は郵便局に提出しなければならない(則146条1項)。 (平3択)

 

3  保険料額の告知等 (法170条、法171条)              重要度 ●   

 

条文

 


【日雇特例被保険者の標準賃金日額に係る保険料額の告知等 (法170条)】


1) 事業主が前条第2項の規定による保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣は、その調査に基づき、その納付すべき保険料額を決定し、これを事業主に告知する。


2) 事業主が、正当な理由がないと認められるにもかかわらず、前条第2項の規定による保険料の納付を怠ったときは、厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定により決定された保険料額の100分の25に相当する額の追徴金を徴収する。
ただし、決定された保険料額が1,000円未満であるときは、この限りでない。


3) 追徴金を計算するに当たり、決定された保険料額に1,000円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。


4) 追徴金は、その決定された日から14日以内に、厚生労働大臣に納付しなければならない。 (平16択)

 

 

【健康保険印紙の受払等の報告 (法171条)】


1) 事業主は、その事業所ごとに健康保険印紙の受払及び前条第1項に規定する告知に係る保険料の納付(以下この条において「受払等」という)に関する帳簿を備え付け、その受払等の都度、その受払等の状況を記載し、かつ、翌月末日までに、厚生労働大臣にその受払等の状況を報告しなければならない


2) 前項の場合において、健康保険組合を設立する事業主は、併せて当該健康保険組合に同項の報告をしなければならない。


3) 前項の規定により報告を受けた健康保険組合は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年度、厚生労働大臣に当該健康保険組合を設立する事業主の前年度の受払等の報告をしなければならない。

 

 

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4  日雇拠出金 (法173条~法176条)                    重要度 ●   

 

条文

 


【日雇拠出金の徴収及び納付義務 (法173条)】


1) 厚生労働大臣は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含む)に充てるため、第155条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合(以下「日雇関係組合」という)から拠出金を徴収する。(平8択)(平19択)


2) 日雇関係組合は、前項に規定する拠出金(以下「日雇拠出金」という)を納付する義務を負う。

 

 

【日雇拠出金の額 (法174条)】
前条第1項の規定により日雇関係組合から徴収する日雇拠出金の額は、当該年度の概算日雇拠出金の額とする。
ただし、前年度の概算日雇拠出金の額が前年度の確定日雇拠出金の額を超えるときは、当該年度の概算日雇拠出金の額からその超える額を控除して得た額とするものとし、前年度の概算日雇拠出金の額が前年度の確定日雇拠出金の額に満たないときは、当該年度の概算日雇拠出金の額にその満たない額を加算して得た額とする。

 

 

【日雇拠出金の納期及び納付の額 (令55条)】


1) 日雇拠出金の納期は、9月30日及び3月31日とする。(平1択)(平3択)


2) 各納期に納付すべき日雇拠出金の額は、法174条の規定による当該年度の日雇拠出金の額の2分の1に相当する金額とする。


3) 前項の規定にかかわらず、当該年度の日雇拠出金の額に2,000円未満の端数があるときは、9月30日の納期に納付すべき額は当該年度の日雇拠出金の額に当該端数の額を加算した額の2分の1に相当する金額とし、3月31日の納期に納付すべき額は当該年度の日雇拠出金の額から当該端数の額を控除した額の2分の1に相当する金額とする。

 

 

【概算日雇拠出金 (法175条)】
概算日雇拠出金の額は、当該年度の日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用の見込額から当該年度の日雇特例被保険者に関する保険料相当額の見込額を控除した額として厚生労働省令で定めるところにより算定する額に、当該日雇関係組合を設立する事業主から前年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数を前年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数で除して得た率を乗じて得た額とする。

 

 

【確定日雇拠出金 (法176条)】
確定日雇拠出金の額は、前年度の日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要した費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要した費用を含む)から前年度の日雇特例被保険者に関する保険料相当額を控除した額として厚生労働省令で定めるところにより算定した額に、当該日雇関係組合を設立する事業主から前年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数を前年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数で除して得た率を乗じて得た額とする。

 

 

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※テキスト302ページ~314ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません

 

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第 12 章

不服申立て等

第1節  不服申立て    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・316
第2節 雑則等    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・320
第3節 罰則    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・326

 

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第1節  不服申立て

 

1  審査請求及び再審査請求 (法189条~法191条)        重要度 ●● 

 

条文

 


【審査請求及び再審査請求 (法189条)】


1) 被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

(平8択)(平12択)(平13択)(平18択)


2) 審査請求をした日から60日以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなして、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。(平10択)(平18択)


3) 第1項の審査請求及び前2項の再審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。


4) 被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。(平19択)

 

 

【社会保険審査会に対する審査請求 (法190条)】
保険料等の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。

(平10択)(平12択)(平18択)(平23択)

 

 

【行政不服審査法の適用関係 (法191条)】
前2条の審査請求及び再審査請求に係る処分以外の処分については、行政不服審査法に基づく処分庁に対する異議申立て又は処分庁の直近上級行政庁に対する審査請求をすることができる。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□第1次審査機関として、各地方厚生局(地方厚生支局を含む)に「独任制」の社会保険審査官を置く(社審法1条1項)。(平18択)

 

□第2次審査機関として、厚生労働大臣の所轄の下に 「合議制」の社会保険審査会を置く(社審法19条)。(平18択)

 

被保険者の資格、標準報酬に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときは、することができない(社審法4条2項)。

 

□審査請求及び再審査請求は、文書により、又は口頭ですることができる(社審法5条1項、同法32条4項)。

 

□審査請求又は再審査請求を直接審査請求人が行うことができない場合には、代理人によってすることもできる(社審法5条の2、同法44条)。

 

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2  不服申立てと訴訟との関係 (法192条)                重要度 ●   

 

条文

 


第189条第1項又は第190条に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての再審査請求又は審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。(平8択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

(1) 不服申立ての流れ <二審制>

 

 

(2) 保険料の徴収等に関する処分 <一審制>

 

 

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※テキスト318ページ~319ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません

 

 

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第2節 雑則等

 

1  時効 (法193条)                                    重要度 ●●●

 

条文

 


1) 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、2年を経過したときは、時効によって消滅する。

(平2択)(平8択)(平9択)(平10択)(平12択)(平13択)(平15択)

(平16択)(平22択)(平23択)


2) 保険料等の納入の告知又は督促は、民法第153条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。(平11択)(平22択)

 

 

ここをチェック

 

◆時効の起算日 (昭3.7.6保発514号ほか)

 


保険給付の種類

 

起算日

 

療養費

 

療養に要した費用を支払った日の翌日
(平9択)(平11択)(平12選)

 

移送費

 

移送に要した費用を支払った日の翌日(平12選)

 

傷病手当金

 

労務不能であった日ごとにその翌日
(平10択)(平18択)(平12選)

 

高額療養費

 

診療を受けた月の翌月の1日 *1
(平14択)(平22択)(平12選)

 

高額介護合算療養費

 

基準日(計算期間の末日)の翌日

 

埋葬料

 

死亡した日の翌日

 

埋葬に要した費用

 

埋葬を行った日の翌日(平8択)

 

出産育児一時金

 

出産の日の翌日

 

出産手当金

 

労務に服さなかった日ごとにその翌日(平11択)

 

保険料の徴収

 

納期限の翌日(平9択)

 

 

保険料以外の徴収金の徴収 (延滞金等)

 

 

徴収金を徴収すべき原因である事実が終了した日の翌日

 

 

保険料の還付

 

過納又は誤納となった日の翌日(平9択)

 

保険料以外の徴収金の還付

 

納付した日の翌日

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 診療費の自己負担分を、診療月の翌月以後に支払ったときは、支払った日の翌日が起算日となる(昭48.11.7保険発99号・庁保険発21号)。
(平14択)(平16択)(平22択)

 

□「現物給付」たる保険給付(療養の給付等)については、時効の問題は生じない。

 

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□事業主が保険者から保険料の過納分の還付を受け、これを被保険者に返還すべき場合、被保険者の保険料返還請求権の消滅時効は民法167条1項の規定により10年である。 (平15択)(平16択)

 

2  戸籍証明、立入検査、資料の提供ほか
(法195条~法199条の2)                                   重要度 ●   

 

条文

 


【印紙税の非課税 (法195条)】
健康保険に関する書類には、印紙税を課さない

 

 

【戸籍事項の無料証明 (法196条)】


1) 市町村長(特別区の区長を含むものとし、政令指定都市にあっては、区長とする、第203条において同じ)は、保険者又は保険給付を受けるべき者に対して、当該市町村(特別区を含む)の条例で定めるところにより、被保険者又は被保険者であった者の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。


2) 前項の規定は、被扶養者に係る保険給付を行う場合においては、被扶養者又は被扶養者であった者の戸籍について準用する。

 

 

【立入検査等 (法198条1項)】
厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬、保険料又は保険給付に関して必要があると認めるときは、事業主に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員をして事業所に立ち入って関係者に質問し、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

 

 

【資料の提供 (法199条)】


1) 厚生労働大臣は、被保険者の資格、標準報酬又は保険料に関し必要があると認めるときは、官公署に対し、法人の事業所の名称、所在地その他必要な資料の提供を求めることができる。


2) 厚生労働大臣は、第63条第3項第1号(保険医療機関又は保険薬局)又は第88条第1項(指定訪問看護事業者)の指定に関し必要があると認めるときは、当該指定に係る開設者若しくは管理者又は申請者の社会保険料の納付状況につき、当該社会保険料を徴収する者に対し、必要な書類の閲覧又は資料の提供を求めることができる。(平21択)

 

 

【厚生労働大臣と協会の連携 (法199条の2)】
厚生労働大臣及び協会は、この法律に基づく協会が管掌する健康保険の事業が、適正かつ円滑に行われるよう、必要な情報交換を行う等、相互の緊密な連携の確保に努めるものとする。

 

 

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3  機構への厚生労働大臣の権限に係る事務の委任 (法204条)    重要度 ●   

 

条文

 


次に掲げる厚生労働大臣の権限に係る事務(第181条の3第1項の規定により協会が行うこととされたもの及び前条第1項の規定により市町村長が行うこととされたものを除く)は、日本年金機構(以下「機構」という)に行わせるものとする。<権限委任事務>
ただし、r)からt)までに掲げる権限は、厚生労働大臣が自ら行うことを妨げない。

 


a) 被保険者の適用除外の承認     

 

b) 日雇特例被保険者の適用除外の承認


c) 任意適用事業所に係る加入及び脱退の認可(健康保険組合に係る場合を除く)、適用事業所の一括の承認(健康保険組合に係る場合を除く)並びに申請の受理(健康保険組合に係る場合を除く)    

 

d) 資格の得喪の確認


e) 定時決定等の規定による標準報酬月額の決定又は改定(申出の受理を含み、保険者算定により算定する額を報酬月額として決定又は改定する場合を含む)


f) 標準賞与額の決定(保険者算定により算定する額を標準賞与額として決定する場合を含む)


g) 事業主の届出の受理及びそれに基づく通知


h) 認可に係る通知(健康保険組合に係る場合を除く)、被保険者からの届出の受理(健康保険組合に係る場合を除く)並びに所在不明の者への公告(健康保険組合に係る場合を除く)


i) 確認又は標準報酬の決定若しくは改定に係る通知


j) 確認の請求の受理及び請求の却下


k) 日雇特例被保険者手帳の交付申請の受理、交付及び日雇特例被保険者手帳の受領


l) 育児休業等期間中の保険料免除に係る申出の受理


m) 口座振替による納付の申出の受理及び承認 

    

n) 健康保険印紙の受払等の報告の受理


o) 保険料等滞納処分に係る国税滞納処分の例による処分及び市町村に対する処分の請求


p) 国税徴収の例によるものとされる徴収に係る権限(国税通則法の規定の例による納入の告知、納付義務者に属する権利の行使、納付の猶予その他の厚生労働省令で定める権限並びにq)に掲げる質問及び検査並びに捜索を除く)


q) 国税徴収法の規定による質問及び検査並びに捜索


r) 報告、文書の提示その他この法律の施行に必要な事務を行わせること並びに申出及び届出並びに文書の提出をさせること


s) 命令並びに質問及び検査(健康保険組合に係る場合を除く)


t) 資料の提供の求め   

  

u) a)~t)に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める権限

 

 

2) 機構は、o)に掲げる国税滞納処分の例による処分及びq)に掲げる権限(以下「滞納処分等」という)その他同項各号に掲げる権限のうち厚生労働省令で定める権限に係る事務を効果的に行うため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に当該権限の行使に必要な情報を提供するとともに、厚生労働大臣自らその権限を行うよう求めることができる。


3) 厚生労働大臣は、前項の規定による求めがあった場合において必要があると認めるとき、又は機構が天災その他の事由により第1項各号に掲げる権限に係る事務の全部若しくは一部を行うことが困難若しくは不適当となったと認めるときは、同項各号に掲げる権限の全部又は一部を自ら行うものとする

 

 

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4  財務大臣への権限の委任 (法204条の2)              重要度 ●   

 

条文

 


1) 厚生労働大臣は、滞納処分等その他の処分に係る納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあることその他の政令で定める事情*1があるため保険料その他この法律の規定による徴収金の効果的な徴収を行う上で必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、財務大臣に、当該納付義務者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該納付義務者に係る滞納処分等その他の処分の権限の全部又は一部を委任することができる。


2) 厚生年金保険法第100条の5第2項から第7項までの規定(報告、通知、権限の委任等)は、前項の規定による財務大臣への権限の委任について準用する。

 

 

advance

 

□「政令で定める事情」は、次のいずれにも該当するものであることとする(令63条、則158条の9、則158条の10)。

 


a) 納付義務者が24月分以上の保険料を滞納していること。

 

 

b) 納付義務者が滞納処分等その他の処分の執行を免れる目的でその財産について隠ぺいしているおそれがあること。

 

 

c) 納付義務者が滞納している保険料等の額(納付義務者が、厚生年金保険法の規定による保険料、児童手当法の規定による拠出金等その他これらの法律の規定による徴収金を滞納しているときは、当該滞納している保険料、拠出金、特例納付保険料又はこれらの法律の規定による徴収金の合計額を加算した額)が1億円以上であること。

 

 

d) 滞納処分等その他の処分を受けたにもかかわらず、納付義務者が滞納している保険料等の納付について誠実な意思を有すると認められないこと。

 

 

5  機構が行う滞納処分等 (法204条の3~法204条の6)   重要度 ●   

 

条文

 


【機構が行う滞納処分等に係る認可等 (法204条の3)】


1) 機構は、滞納処分等を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けるとともに、次条第1項に規定する滞納処分等実施規程に従い、徴収職員に行わせなければならない


2) 厚生年金保険法第100条の6第2項及び第3項(徴収職員の任命、滞納処分の結果の報告)の規定は、前項の規定による機構が行う滞納処分等について準用する。

 

 

【滞納処分等実施規程の認可等 (法204条の4)】


1) 機構は、滞納処分等の実施に関する規程(次項において「滞納処分等実施規程」という)を定め、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。


2) 厚生年金保険法第100条の7第2項及び第3項(滞納処分等実施規程の記載事項、変更命令)の規定は、滞納処分等実施規程の認可及び変更について準用する。

 

 

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【機構が行う立入検査等に係る認可等 (法204条の5第1項)】
機構は、法204条1項のs)(命令並びに質問及び検査)に掲げる権限に係る事務を行う場合には、あらかじめ、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。

 

 

【機構が行う収納 (法204条の6第1項)】
厚生労働大臣は、会計法第7条第1項(歳入は出納官吏でなければ収納することができない)の規定にかかわらず、政令で定める場合における保険料等の収納を、政令で定めるところにより、機構に行わせることができる

 

 

6  地方厚生局長等への権限の委任 (法205条)            重要度 ●   

 

条文

 


1) この法律に規定する厚生労働大臣の権限(滞納処分等その他の処分に係る権限であって財務大臣に委任することができる権限を除く)は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。


2) 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

 

 

ちょっとアドバイス

 

健康保険組合が厚生労働大臣に提出すべき書類は、管轄地方厚生局長又は管轄地方厚生支局長を経由するものとする(則18条)。(平20択)

 

□「地方厚生局」は、北海道厚生局、東北厚生局、関東信越厚生局、東海北陸厚生局、近畿厚生局、中国四国厚生局及び九州厚生局が置かれている。

 

□「地方厚生支局」は、四国厚生支局が置かれている。

 

advance

 

◆地方厚生局長及び地方厚生支局長に委任することができる事務 (則159条1項)

 


a) 協会に対する報告の徴収、立入検査等に関する権限


b) 健康保険組合の規約の変更に係る厚生労働大臣の認可又は届出の規定による権限(健康保険組合の合併又は分割を伴う場合及び特定健康保険組合の認可に伴う場合を除く)


c) 健康保険組合に対する報告の徴収等、監督に関する権限


d) 任意適用事業所の設立及び廃止の規定による権限(健康保険組合の設立又は解散を伴う場合を除く)


e) 保険医療機関及び保険薬局の指定及び指定の取消し、保険医及び保険薬剤師の登録及び登録の取消し、指導、報告命令に関する権限(平17択)


f) 指定訪問看護事業者の指定及び指定の取消し、指導、報告命令に関する権限

(平18択)


g) 協会が国税滞納処分の例により処分を行う場合の認可に関する権限


h) 資料の提供 etc.

 

 

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7  機構への事務の委託ほか (法205条の2、法205条の3) 重要度 ●   

 

条文

 


【機構への事務の委託 (法205条の2第1項)】
厚生労働大臣は、機構に、次に掲げる事務(第181条の3第1項の規定により協会が行うこととされたもの及び第203条第1項の規定により市町村長が行うこととされたものを除く)を行わせるものとする。<委託事務>

 


a) 日雇特例被保険者の適用除外(特別の理由があるときに限る)の承認に係る事務(当該承認を除く)     

 

b) 現物給与の価額の決定に係る事務(当該決定を除く)


c) 情報の提供に係る事務(当該情報の提供を除く)


d) 資料の提供に係る事務(当該資料の提供を除く)


e) 保険料の徴収に係る事務(前記3(「権限委任事務」のこと、以下同じ)に掲げる権限を行使する事務並びに機構が行う収納、督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びにf)、g)、i)、及びk)に掲げる事務を除く)


f) 保険料の繰上納付の規定による納付に係る事務(納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなす決定及びその旨の通知を除く)


g) 日雇特例被保険者の標準賃金日額に係る保険料額の告知等による保険料額の決定及び告知に係る事務(当該保険料額の決定及び告知を除く)並びに追徴金の徴収に係る事務(前記3に掲げる権限を行使する事務及び機構が行う収納、督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びにi)及びk)に掲げる事務を除く)


h) 日雇拠出金の徴収に係る事務(前記3に掲げる権限を行使する事務及び機構が行う収納、督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びにi)及びk)に掲げる事務を除く)


i) 督促に係る事務(当該督促及び督促状を発すること(督促状の発送に係る事務を除く)を除く)


j) 延滞金の徴収に係る事務(前記3に掲げる権限を行使する事務及び機構が行う収納、督促その他の厚生労働省令で定める権限を行使する事務並びにi)及びk)に掲げる事務を除く)


k) 国税徴収の例によるものとされる徴収に関する権限に係る事務(当該権限を行使する事務を除く)


l) 介護保険法その他の厚生労働省令で定める法律の規定による求めに応じたこの法律の実施に関し厚生労働大臣が保有する情報の提供に係る事務(当該情報の提供及び厚生労働省令で定める事務を除く)   

  

m) a)~l)に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事務

 

 

【情報の提供等 (法205条の3)】


1) 機構は、厚生労働大臣に対し、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者の資格に関する事項、標準報酬に関する事項その他厚生労働大臣の権限の行使に関して必要な情報の提供を行うものとする。


2) 厚生労働大臣及び機構は、この法律に基づく協会が管掌する健康保険の事業が、適正かつ円滑に行われるよう、必要な情報交換を行うことその他相互の密接な連携の確保に努めるものとする。

 

 

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第3節 罰則

 

1  懲役又は罰金等 (法207条の2~法214条)            重要度 ●● 

 

条文

 

(1) 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 (法207条の2)

 


第7条の37第1項(同条第2項及び第22条の2において準用する場合を含む)(秘密保持義務)の規定に違反して秘密を漏らした者であるとき。

 

 

(2) 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 (法208条)

 


事業主が、正当な理由がなくて次のいずれかに該当するとき。(平20択)

 


a) 被保険者の資格の得喪又は報酬月額及び賞与額に関する事項に係る規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき

(平10択)(平13択)(平16択)

 

 

b) 被保険者の資格得喪の確認又は標準報酬の決定若しくは改定の規定に違反して、被保険者に通知をしないとき

 

 

c) 督促状に指定する期限までに保険料を納付しないとき

 

 

d) 日雇特例被保険者に係る保険料を納付せず、又は健康保険印紙の規定に違反して、帳簿を備え付けず、若しくは報告せず、若しくは虚偽の報告をしたとき

 

 

e) 文書その他の物件の提出若しくは提示をせず、又は当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき(平16択)

 

 

(3) 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金 (法209条、法211条)

 


事業主以外の者が、正当な理由がなくて立入検査等の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

 

 

日雇特例被保険者手帳の交付の規定による申請に関し虚偽の申請をした者。

 

 

(4) 50万円以下の罰金 (法213条、法213条の2)

 


健康保険組合又は国民健康保険の保険者である国民健康保険組合の役員、清算人又は職員が、健康保険印紙の受払等の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 

 

次のいずれかに該当する者であるとき。

 


a) その例によるものとされる国税徴収法の規定による徴収職員の質問(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く)に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者

 

 

b) その例によるものとされる国税徴収法の規定による検査(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く)を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者

 

 

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(5) 30万円以下の罰金 (法210条、法212条、法212条の2)

 


被保険者又は被保険者であった者が、報告を命ぜられ、正当な理由がなくてこれに従わず、又は当該職員の質問に対して、正当な理由がなくて答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。(平10択)

 

 

日雇特例被保険者手帳の交付の規定に違反して、申請をせず、又は日雇特例被保険者手帳を提出しなかった者。

 

 

協会の役員又は職員が、協会について、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは当該職員の質問に対して、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は監督の規定による命令に関する違反行為をしたとき。

 

 

(6) 両罰規定 (法214条)

 


1) 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という)を含む)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第208条又は前条(第213条の2)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。


2) 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

 

 

2  過料 (法215条~法221条)                          重要度 ●   

 

条文

 

(1) 20万円以下の過料 (法217条の2、法219条、法221条)

 


協会の役員が、次のいずれかに該当する違反行為をした場合。

 


a) 登記することを怠ったとき

 

 

b) 事業計画等の認可、借入金又は重要な財産の処分の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき

 

 

c) 財務諸表等の規定により厚生労働大臣の承認を受けなければならない場合において、その承認を受けなかったとき

 

 

d) 財務諸表、事業報告書等若しくは監事及び会計監査人の意見を記載した書面を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき

 

 

e) 資金の運用の規定に違反して協会の業務上の余裕金を運用したとき

 

 

f) 役員の報酬等又は職員の給与等の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき

 

 

g) 役員の報酬等又は職員の給与等の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき

 

 

h) この法律に規定する業務又は他の法律により協会が行うものとされた業務以外の業務を行ったとき

 

 

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健康保険組合又は連合会の役員が、規約の変更の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、報告の徴収等の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は命令に違反したとき。

 

 

機構の役員が、次のいずれかに該当する場合。

 


a) 機構が行う滞納処分等に係る認可等、滞納処分等実施規程の認可等、機構が行う立入検査等に係る認可等及び機構が行う収納の規定により厚生労働大臣の認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき

 

 

b) 滞納処分等実施規程の認可等の規定による命令に違反したとき

 

 

(2) 10万円以下の過料 (法215条、法216条、法217条、法220条)

 


医師、歯科医師、薬剤師若しくは手当を行った者又はこれを使用する者が、報告若しくは診療録、帳簿書類その他の物件の提示を命ぜられ、正当な理由がなくてこれに従わず、又は当該職員の質問に対して、正当な理由がなくて答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

 

 

事業主が、正当な理由がなくて、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書の提示をせず、又はこの法律の施行に必要な事務を行うことを怠ったとき。

 

 

被保険者又は保険給付を受けるべき者が、正当な理由がなくて、申出をせず、若しくは虚偽の申出をし、届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は文書の提出を怠ったとき。

 

 

全国健康保険協会という名称、健康保険組合という名称又は健康保険組合連合会という名称を用いた者であるとき。

 

 

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※テキスト329ページ~333ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません