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健康保険法(6)-5

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7  特別療養費 (法145条)                              重要度 ●   

 

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日雇特例被保険者に対する保険給付は、現に所持する日雇特例被保険者手帳(以下「手帳」という)によって、健康保険印紙(以下「印紙」という)の貼付枚数を確認して行われる


↓ とするならば…


初めて手帳の交付を受けて間もない場合等においては、日雇特例被保険者としてすでに保険料を納付しているにもかかわらず、現に所持する手帳に関して印紙の納付要件を満たせないという事態が生ずる。


↓ そこで…


このような労働者の保護を図るため、その所持する手帳について納付状況の適正な確認ができるようになるまでの間(具体的には、前2月が経過するまでの間)、通常の保険給付と同様の給付ができる制度が規定されている。(平14択)

 

 

(1) 支給要件 (1項)

 

条文

 


次のイ~ハのいずれかに該当する日雇特例被保険者でその該当するに至った日の属する月の初日から起算して3月(月の初日に該当するに至った者については、2月)を経過しないもの又はその被扶養者が、特別療養費受給票を保険医療機関等のうち自己の選定するものに提出して、そのものから療養を受けたとき、又は特別療養費受給票を指定訪問看護事業者のうち自己の選定するものに提出して、そのものから指定訪問看護を受けたときは、日雇特例被保険者に対し、その療養又は指定訪問看護に要した費用について、特別療養費を支給する。(平14択)

 


イ) 初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた

 

 

ロ) 1月間若しくは継続する2月間に通算して26日分以上又は継続する3月ないし6月間に通算して78日分以上の保険料が納付されるに至った月において日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙をはり付けるべき余白がなくなり、又はその月の翌月中に日雇特例被保険者手帳を返納した後、初めて日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者

 

 

ハ) 前に交付を受けた日雇特例被保険者手帳(前に2回以上にわたり日雇特例被保険者手帳の交付を受けたことがある場合においては、最後に交付を受けた日雇特例被保険者手帳)に健康保険印紙をはり付けるべき余白がなくなった日又はその日雇特例被保険者手帳を返納した日から起算して1年以上を経過した後に日雇特例被保険者手帳の交付を受けた者

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□「特別療養費受給票」は、イ)からハ)のいずれかに該当する日雇特例被保険者でその該当するに至った日の属する月の初日から起算して3月を経過していないものの申請により、保険者が交付する(5項)。


↓ なお…


□日雇特例被保険者は、特別療養費受給票の交付を申請しようとするときは、協会又は委託市町村に「日雇特例被保険者手帳」を提出しなければならない

(則130条)。


↓ また…


□日雇特例被保険者は、特別療養費受給票の有効期間が経過したとき、又は受給資格者票の交付を受けたときは、速やかに、特別療養費受給票を協会又は委託市町村に返納しなければならない(特別療養費受給票の返納・則133条)。

(平22択)

 

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◆支給調整 (1項ただし書き)

 


特別療養費の支給期間内であっても、当該疾病又は負傷につき、療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給又は介護保険法の規定による居宅介護サービス費の支給、特例居宅介護サービス費の支給、施設介護サービス費の支給、特例施設介護サービス費の支給、介護予防サービス費の支給若しくは特例介護予防サービス費の支給を受けることができるときは、特別療養費の支給は行わない

 

 

(2) 支給額 (2項)

 

条文

 


特別療養費の額は、保険医療機関等から受けた療養についてはイに掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは当該額及びロに掲げる額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときは当該額及びハに掲げる額の合算額)とし、指定訪問看護事業者から受けた指定訪問看護についてはニに掲げる額とする。(平3択)

 


イ) 当該療養(食事療養及び生活療養を除く)につき算定された費用の額(その額が、現に当該療養等に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養等に要した費用の額、以下同様)の100分の70に相当する額

 

 

ロ) 当該食事療養につき算定された費用の額から食事療養標準負担額を控除した額

 

 

ハ) 当該生活療養につき算定された費用の額から生活療養標準負担額を控除した額

 

 

ニ) 当該指定訪問看護につき算定された費用の額の100分の70に相当する額

 

 

療養又は指定訪問看護を受ける者が6歳に達する日以後の最初の3月31日以前である場合(3項)

 

100分の80

 

療養又は指定訪問看護を受ける者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(4項)

 

   100分の80 *1

 

現役並み所得者に該当する被保険者若しくはその被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後であるの場合

 

100分の70

 

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ちょっとアドバイス

 

□*1「70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置」に関連して、現在、現役並み所得者以外の者の特別療養費の支給割合は、「100分の90」に据え置かれている(平22.12.20保発1220第1号)。

 

□特別療養費に係る自己負担額は、高額療養費及び高額介護合算療養費の対象となる(法147条、法147条の2)。(平23択)

 

□特別療養費の支給は、日雇特例被保険者が適用除外の承認を受けたときは、その承認により日雇特例被保険者とならないこととなった日以後、日雇特例被保険者が日雇特例被保険者手帳を返納したときは、返納の日の翌日以後は、行わない(法146条)。

 

 

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※テキスト262ページ~266ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません

 

 

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第 11 章

費用の負担等

第1節 保健事業及び福祉事業    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・268
第2節 国庫負担及び国庫補助    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・269
第3節 保険料の決定等    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・280
第4節 保険料の負担及び納付等    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・289
第5節 日雇特例被保険者に係る保険料    ・・・・・・・・・・・・・299

 

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第1節  保健事業及び福祉事業

 

1  保健事業及び福祉事業 (法150条)                    重要度 ●   

 

条文

 


1) 保険者は、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による特定健康診査及び特定保健指導(以下「特定健康診査等」という)を行うものとするほか、特定健康診査等以外の事業であって、健康教育、健康相談、健康診査その他の被保険者及びその被扶養者(以下この条において「被保険者等」という)の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない。(平4択)


2) 保険者は、被保険者等の療養のために必要な費用に係る資金若しくは用具の貸付けその他の被保険者等の療養若しくは療養環境の向上又は被保険者等の出産のために必要な費用に係る資金の貸付けその他の被保険者等の福祉の増進のために必要な事業を行うことができる。(平19択)(平22択)


3) 保険者は、前2項の事業に支障がない場合に限り、被保険者等でない者に当該事業を利用させることができる。この場合において、保険者は、当該事業の利用者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、利用料を請求することができる。(平23択)


4) 厚生労働大臣は、健康保険組合に対し、厚生労働省令で定めるところにより、第1項又は第2項の事業を行うことを命ずることができる


5) 厚生労働大臣は、第1項の規定により保険者が行う健康の保持増進のために必要な事業に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。


6) 前項の指針は、健康増進法に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

 

 

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□「特定健康診査等」とは、高齢者医療確保法において規定される特定健康診査(糖尿病その他の政令で定める生活習慣病に関する健康診査のこと)及び特定保健指導(特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者として厚生労働省令で定めるものに対し、保健指導に関する専門的知識及び技術を有する者として厚生労働省令で定めるものが行う保健指導のこと)をいう。


↓ なお…


原則として、40歳以上の加入者に対して実施される。