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健康保険法(5)-6

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3  70歳到達者の高額療養費-1 (世帯合算・令41条3項ほか)    重要度 ● 

  
(1) 70歳到達者の一部負担金等世帯合算額 (令41条3項)

 

条文

 


被保険者又はその被扶養者が療養(70歳に達する日の属する月の翌月以後の療養に限る)を受けた場合において、当該被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一の病院等から受けた当該療養(食事療養及び生活療養を除く)について、70歳到達者の一部負担金等の額の合算額から70歳到達者の外来療養に係る高額療養費の規定により支給される高額療養費の額を控除した額(「70歳以上一部負担金等世帯合算額」という)が高額療養費算定基準額を超える場合に支給する。

 


【支給額】=70歳以上一部負担金等世帯合算額-高額療養費算定基準額

 

 

(2) 70歳到達者の世帯合算に係る高額療養費算定基準額 (令42条3項)

 

ここをチェック

 


被保険者の区分

 

高額療養費算定基準額

 

 

原則の自己負担限度額

 

多数回該当

イ) 一般(ロ~ニ以外)

 

62,100円 (44,400円) *4

 

ロ) 現役並み所得者 *1

 

80,100円+(医療費-267,000円)×1%

 

44,400円

 

ハ) 低所得者A *2

 

24,600円

 

ニ) 低所得者B *3

 

15,000円

 

 

原則:ロ(平15択)・ニ(平18択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「現役並み所得者」とは、次の者をいう。

 


【原則】 療養を受ける月の標準報酬月額が28万円以上の者とする。

 

 

【例外】 次のいずれかに該当する者については、現役並み所得者としない。

 


a) 被保険者及びその被扶養者(70歳到達者に限る)について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円(当該被扶養者がいない者にあっては、383万円)に満たない者。(平18択)

 

 

b) 被保険者及びその被扶養者であった者(後期高齢者医療の被保険者の資格を取得するに至ったため被扶養者でなくなった者であって、同日以後継続して後期高齢者医療の被保険者に該当するものが、その該当するに至った日(被扶養者でなくなった日)の属する月以後5年を経過する月までの間にある者に限る)について、厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円に満たない者。

 

 

□*2「低所得者A」とは、世帯合算に係る高額療養費算定基準額に規定する低所得者(市町村民税非課税者等)と同じ基準である。

 

□*3「低所得者B」とは、地方税法の規定による市町村民税に係る所得がないなど特に低所得である70歳以上の者(老齢福祉年金の受給権者等)の負担軽減を図るために認められた、特例的な所得区分である。

 

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□*4「70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置」に関連して、現在、現役並み所得者以外の者の高額療養費算定基準額は、44,400円に据え置かれている(令附則5条)。

 

□70歳到達者に係る高額療養費の支給についても、70歳未満の被保険者又はその被扶養者と同様に、「高額療養費の現物給付化」が適用される(令43条)。

 

4  70歳到達者の高額療養費-2 (外来療養・令41条5項ほか)    重要度 ●   

 
(1) 70歳到達者の外来療養に係るもの (令41条5項)

 

条文

 


被保険者又はその被扶養者が療養(70歳に達する日の属する月の翌月以後の外来療養に限る)を受けた場合において、当該被保険者又はその被扶養者が同一の月にそれぞれ一の病院等から受けた当該療養について、当該被保険者又はその被扶養者ごとにそれぞれ合算した一部負担金等の額が高額療養費算定基準額を超えるときは、当該それぞれ合算した額から高額療養費算定基準額を控除した額の合算額を高額療養費として支給する。

 


【支給額】=それぞれに合算した額-高額療養費算定基準額

 

 

(2) 70歳到達者の外来療養に係る高額療養費算定基準額 (令42条5項)

 

ここをチェック

 

被保険者の区分

 

高額療養費算定基準額(自己負担限度額)

 

イ) 一般(ロ~ニ以外)

 

24,600円 (12,000円) *1

 

ロ) 現役並み所得者

 

44,400円

 

 

ハ) 低所得者A

 

8,000円

 

ニ) 低所得者B

 

 

イ(平16選)・ロ(平18択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置」に関連して、現在、現役並み所得者以外の者の高額療養費算定基準額は、12,000円に据え置かれている(令附則5条)。

 

□被保険者又は被扶養者が、複数の医療機関で外来のみの療養を受けたときは、一部負担金等の支払回数にかかわらず、また、同一の病院等であるか否かを問わず、被保険者又は被扶養者ごとに合算した額について高額療養費算定基準額を適用する。