前のページへ | 次のページへ | 目次へ

健康保険法(4)-11

仮画像

テキスト本文の開始

 

 

 

-----------------(187ページ目ここから)------------------

 

第 6 章

被扶養者に関する
保険給付

第1節  傷病に関する保険給付    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・188
第2節  死亡・出産に関する保険給付    ・・・・・・・・・・・・・・・192

 

 

-----------------(188ページ目ここから)------------------

 

第1節  傷病に関する保険給付

 

1  家族療養費 (法110条)                              重要度 ●●●


(1) 支給要件 (1項)

 

条文

 


被保険者の被扶養者が保険医療機関等のうち自己の選定するものから療養を受けたときは、被保険者に対し、その療養に要した費用について、家族療養費を支給する。 (平3択)

 

 

ここをチェック

 

□家族療養費は、被保険者に対して支給されるものであって、被扶養者に対して支給されるものではない。

(平2択)(平4択)(平8択)(平11択)(平19択)

 

□家族療養費は、被扶養者に関する療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費及び療養費に相当する給付を行うものである。
(平8択)(平12択)(平18択)(平19択)(平20択)

 

□保険医療機関等から家族療養費に係る療養を受けようとする者は、被保険者証を(被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後であるときは、高齢受給者証を添えて)当該保険医療機関等に提出しなければならない(則90条)。

 

(2) 支給額 (2項)

 

条文

 


家族療養費の額は、イに掲げる額(当該療養に食事療養が含まれるときは当該額及びロに掲げる額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときは当該額及びハに掲げる額の合算額)とする。(平4択)(平18択)

 


 

当該療養(食事療養及び生活療養を除く)につき算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)に次のa)からd)までに掲げる場合の区分に応じ、当該a)からd)までに定める割合を乗じて得た額

 

 

a) 被扶養者が6歳に達する日以後の最初の3月31日の翌日以後であって70歳に達する日の属する月以前である場合

(平21択)

 

100分の70

 

b) 被扶養者が6歳に達する日以後の最初の3月31日以前である場合

 

100分の80

 

c) 被扶養者(dに規定する被扶養者を除く)が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合

 

100分の80 *1

 

d) 現役並み所得者に該当する被保険者の被扶養者が70歳に達する日の属する月の翌月以後である場合

 

100分の70

 

-----------------(189ページ目ここから)------------------

 

 

当該食事療養につき算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から食事療養標準負担額を控除した額

 

 

当該生活療養につき算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から生活療養標準負担額を控除した額

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「70歳代前半の被保険者等に係る一部負担金等の軽減特例措置」に関連して、現在、現役並み所得者以外の者の家族療養費の給付割合は、「100分の90」に据え置かれている(平22.12.20保発1220第1号)。

 

□「現役並み所得者」とは、70歳到達者であって、療養の給付を受ける月の標準報酬月額が「28万円以上」である被保険者をいう。


↓ ただし…


被保険者及びその被扶養者(70歳到達者に限る)について厚生労働省令で定めるところにより算定した収入の額が520万円に満たない者については、適用しない。(平18択)

 

(3) 受給方法 (3項~6項)

 

条文

 


3) 療養についての費用の額の算定に関しては、保険医療機関等から療養(評価療養及び選定療養を除く)を受ける場合にあっては療養の給付の額の算定、保険医療機関等から評価療養又は選定療養を受ける場合にあっては保険外併用療養費の額の算定、食事療養についての費用の額の算定に関しては、入院時食事療養費の額の算定、生活療養についての費用の額の算定に関しては、入院時生活療養費の額の算定の例による。


4) 被扶養者が保険医療機関又は事業主医療機関から療養を受けたときは、保険者は、その被扶養者が当該病院若しくは診療所又は薬局に支払うべき療養に要した費用について、家族療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該病院若しくは診療所又は薬局に支払うことができる。<現物給付の方法>


5) 前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し家族療養費の支給があったものとみなす。


6) 被扶養者が健康保険組合直営医療機関から療養を受けた場合において、保険者がその被扶養者の支払うべき療養に要した費用のうち家族療養費として被保険者に支給すべき額に相当する額の支払を免除したときは、被保険者に対し家族療養費の支給があったものとみなす。

 

 

 

-----------------(190ページ目ここから)------------------

 

(4) 家族療養費の額の特例 (法110条の2)

 

条文

 


1) 保険者は、法75条の2第1項(一部負担金の額の特例)に規定する被保険者の被扶養者に係る家族療養費の支給について、前条第2項(家族療養費の給付)に定める割合を、それぞれの割合を超え100分の100以下の範囲内において保険者が定めた割合とする措置を採ることができる。


2) 保険者は、被扶養者が保険医療機関又は保険薬局に支払うべき療養に要した費用について、当該療養につき算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額)を保険医療機関又は保険薬局に対して支払い、当該支払をした額から家族療養費として被保険者に対し支給すべき額を控除した額をその被扶養者に係る被保険者から直接に徴収することとし、その徴収を猶予することができる