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健康保険法(4)-2

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(2)「労務不能」に関する通達による判断基準

 


労務不能の認定基準は、必ずしも医学的基準によらず、その被保険者の従事する業務等の諸条件を考慮して、その本来の業務に堪えうる状態であるか否かを標準として社会通念に基づき認定する(昭29.12.9保文発14236号ほか)。

(平16択)

 

 

本来の職場における労務に就くことが不可能な場合であって、副業ないし内職のような本来の職場における労務に対する代替的性格をもたない労務に従事すること等により賃金を得るような場合は、通常、なお労務不能に該当する。

(平16択)
したがって、被保険者が、その提供する労務に対する報酬を得ている場合でも、その故をもって直ちに労務不能でない旨の認定をすることなく、労務内容、労務内容との関連におけるその報酬額等を十分検討のうえ、労務不能に該当するか否かの判断をしなければならない(平15.2.25保保発0225007号・庁保険発4号)。

 

 

その傷病は休業を要する程度のものでない場合であっても、被保険者の住所が保険医療機関等から遠隔の地にあり、通院のため事実上労務に服することができず休業するときは、療養のために労務に服することができないものとして、支給する(昭2.5.10保理2211号)。

 

 

休業中に家事の副業に従事しても、当該傷病の状態が勤務している事業所における労務不能の程度である場合は、支給される(昭3.12.27保規3176号)。

現在は労務に服することが差し支えない者であっても、療養上その症状が休業を要する場合(保険医である工場医が、将来の病状悪化を懸念して、当該就労に差し支えない者を休業させた場合)においては、労務不能とみなし、支給する(昭8.2.18保規35号)。

 

 

【認められない場合】

 

 

労働安全衛生法の規定によって伝染の恐れがある保菌者に対し、事業主が休業を命じた場合、その症状から労務不能と認められないときは、支給されない(昭25.2.15保文発320号)。 (平21択)

 

 

医師の指示又は許可のもとに従前の業務に半日勤務するときや、配置転換により就業時間を短縮せず同一事業所内で従前に比べ軽易な業務に服するときには、労務不能とは認められない(昭29.12.9保文発14236号)。

 


(3)「待期期間」に関する通達による判断基準

 


待期の3日間については、報酬の有無は問わない(昭26.2.20保文発419号)。
(平3択)(平11択)(平20択)
なお、待期期間は、労務に服することのできない日が継続した3日間となることが必要である。

 

 

疾病又は負傷につき最初に療養のため労務に服することができなくなった場合においてのみ待期の適用があり、その後労務に服し(医師の指示の有無を問わない)、その疾病又は負傷につき更に療養のため労務に服することができなくなった場合においては、待期の適用はない(昭2.3.11保理1085号)。

(平16択)(平21択)

 

 

療養のため欠勤したが、この欠勤開始の日から3日間を年次有給休暇として処理された場合にも、給与計算上の欠勤開始日(実際の欠勤開始から4日目にあたる日)から支給する(昭26.2.20保文発419号)。(平4択)(平20択)

 

 

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労務に服することができない期間は、労務に服することができない状態になった日からこれを起算する(昭5.10.13保発52号)。(平11択)
ただし、その状態になった時が業務終了後である場合は、「翌日」から起算する。

 

 

【支給額について】

 

 

傷病手当金を受給している期間中に給料が減額された場合であっても、傷病手当金の支給額を変更することは適当でない(昭26.6.4保文発1821号)。(平12択)