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健康保険法(3)-9

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4  入院時生活療養費 (法85条の2)                     重要度 ●   


(1) 支給要件 (1項・2項)

 

条文

 


1) 特定長期入院被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、保険医療機関等のうち自己の選定するものから病院又は診療所への入院たる療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、入院時生活療養費を支給する。

(平19選)


2) 入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から、生活療養標準負担額を控除した額とする。(平19選)

 

 

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ここをチェック

 

□「生活療養標準負担額」とは、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況並びに病院及び診療所における生活療養に要する費用について、介護保険法に規定する食費の基準費用額及び居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額)をいう。

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆生活療養標準負担額 (則62条の3、平20.3.31厚労告221号ほか)

 


被保険者の区分

 

標準負担額

 

 

【原則】

所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者以外の者

 

 

食事療養が管理栄養士等によって行われている等の厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして届出のある保険医療機関に入院している者

 

1日320円と 1食460円との合計額

上記以外の保険医療機関に入院している者

 

1日320円と 1食420円との合計額

 

 

【減額対象者等】 所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者(平20択)

 

 

低所得者A(症状の程度が重篤な者又は常時に若しくは集中的な医学的処置、手術その他の治療を要する者として厚生労働大臣が定める者を除く)

 

1日320円と 1食210円との合計額

 

低所得者B(症状の程度が重篤な者又は常時に若しくは集中的な医学的処置、手術その他の治療を要する者として厚生労働大臣が定める者を除く)

 

 

1日320円と 1食130円との合計額

 

症状の程度が重篤な者又は常時に若しくは集中的な医学的処置、手術その他の治療を要する者として厚生労働大臣が定める者(低所得者A・B除く)

 

 

1日0円と 1食260円との合計額

低所得者A(症状の程度が重篤な者又は常時に若しくは集中的な医学的処置、手術その他の治療を要する者として厚生労働大臣が定める者に限る)

 

生活療養標準負担額に係る減額の申請を行った月以前の12月以内の入院日数(減額対象者である期間に係るものに限る)が90日以下の者

 

1日0円と 1食210円との合計額

上記入院日数が90日を超える者

 

1日0円と 1食160円との合計額

 

 

低所得者B(症状の程度が重篤な者又は常時に若しくは集中的な医学的処置、手術その他の治療を要する者として厚生労働大臣が定める者に限る)

 

1日0円と 1食100円との合計額

 

 

*食費1食460円は、食材コスト260円+調理コスト200円を基準とし、また、320円は居住費の基準とする。


*「低所得者A」とは、食事療養標準負担額に係る低所得者Aと同様の者をいう。


*「低所得者B」とは、食事療養標準負担額に係る低所得者Bと同様の者をいう。

 

 

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□「1日の生活療養標準負担額」のうち食事の提供に係るものの額は、3食に相当する額を限度とする。

 

(2) 額の基準と準用規定 (3項~5項)

 

条文

 


3) 厚生労働大臣は、生活療養に要する費用の額の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。


4) 厚生労働大臣は、生活療養標準負担額を定めた後に勘案又はしん酌すべき事項に係る事情が著しく変動したときは、速やかにその額を改定しなければならない。


5) 準用規定

 


イ) 入院時生活療養費の支給は、「現物給付」の方法で行われる。


ロ) 保険医療機関等は、生活療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、入院時生活療養費に係る療養について被保険者から支払を受けた費用の額のうち生活療養標準負担額とその他の費用の額とを区分して記載した領収証を交付しなければならない(則62条の5)。