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健康保険法(3)-5

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テキスト本文の開始

 

 

 

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□療養の給付とは、「療養そのものの給付」、つまり、保険医療機関等から被保険者に対し直接の治療(療養)を行う現物給付である。(平2択)(平4記)

 

ここをチェック

 

◆通達による判断基準

 


被保険者の資格取得が適正である限り、その資格取得前の疾病又は負傷に対しても保険給付をなすものである(昭26.10.16保文発4111号)。

(平22択)(平23択)

 

 

身体に違和感があるとして診察を受けたが、結果的になんら疾病と認めるべき兆候がない場合にも、その診察は療養の給付と認められる

(昭10.11.9保規338号)。(平12択)

 

 

医師の手当を必要とする異常分娩の場合、保険医療機関等において手当を受けたときは、療養の給付として取り扱うが、正常分娩の場合においては医師の手当を受けても療養の給付の範囲外とし、当該手当に要した費用は被保険者の負担となる(昭17.1.28社発82号)。(平12択)

 

 

単に経済的理由により医師の人工妊娠中絶手術を受けた場合は、療養の給付の対象とならない(昭27.9.29保発56号)。(平12択)

 

 

定期健康診断により初めて結核症と決定された患者について、当該健康診断時のツベルクリン反応、血沈検査、X線検査等の費用は保険給付の対象とならない(昭28.4.3保険発59号)。 (平2択)

 

 

温泉療法は、温泉のある病院又は診療所において、常時直接医師の指導のもとに行われる温泉療法すなわち薬治、熱気浴等の理学的療法として現物給付を行うものである(昭28.7.8保文発3995号)。

 

 

不妊症等であって、医師において診療の必要があると認められるものは、身体的苦痛の有無にかかわらず対象となる(昭37.9.25保険発94号)。

 

 

近視等の屈折異常を主訴とする患者に対する診療は、対象となる(昭40.2.1保険発14号)。

 


(2) 受給方法 (3項)

 

条文

 


療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる病院若しくは診療所又は薬局のうち、自己の選定するものから受けるものとする。

 


イ) 厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所(保険医療機関)又は薬局(保険薬局)

 

 

ロ) 特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療又は調剤を行う病院若しくは診療所又は薬局であって、当該保険者が指定したもの(事業主医療機関(事業主医局))

 

 

ハ) 健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療所又は薬局(健康保険組合直営医療機関)(平14択)(平20択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆担当医療機関の特徴

 


保険医療機関
又は
保険薬局

 

a) 一般に開放することを目的とする医療機関で、厚生労働大臣の指定を受けたもの。


b) 健康保険法のみならず医療保険各法の医療を担当する(特定の制度の専属となることはできない)。

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c) 担当従事者は保険医又は保険薬剤師でなければならず、また、運営等について健康保険法の規制を受ける。

 

事業主
医療機関

 

a) 健康保険組合における「事業主医局」が該当する。


b) 担当従事者は、保険医又は保険薬剤師でなくてもよい。


c) 厚生労働大臣の指導、監査の対象とならない


d) 一部負担金の減免ができる。

 

健康保険組合
直営医療機関

 

a) 健康保険組合の組合員たる被保険者及び被扶養者のみ利用できる。


b) 担当従事者は、保険医又は保険薬剤師でなくてもよい。


c) 厚生労働大臣の指導、監査の対象とならない


d) 一部負担金は、原則として、徴収されない。

 

 

advance

 


【被保険者証の提出 (則53条)】
1) 法63条3項イ~ハに掲げる病院又は診療所(以下「保険医療機関等」という)から療養の給付又は入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養若しくは保険外併用療養費に係る療養を受けようとする者は、被保険者証を(被保険者が70歳に達する日の属する月の翌月以後であるときは、高齢受給者証を添えて)当該保険医療機関等に提出しなければならない。ただし、やむを得ない理由があるときは、この限りでない。(平16択)


2) 前項ただし書の場合においては、その理由がなくなったときは、遅滞なく、被保険者証を(被保険者が70歳到達者の規定の適用を受けるときは、高齢受給者証を添えて)当該保険医療機関等に提出しなければならない。

 

 

*本書においては、「70歳に達する日の属する月の翌月以後にある者」を、単に「70歳到達者」と記すことがある。

 

 

【処方せんの提出 (則54条)】
保険薬局等から薬剤の支給を受けようとする者は、保険医療機関等において、診療に従事する保険医又は医師若しくは歯科医師が交付した処方せんを当該保険薬局等に提出しなければならない。ただし、当該保険薬局等から被保険者証の提出を求められたときは、当該処方せん及び被保険者証を(被保険者が70歳到達者の規定の適用を受けるときは、高齢受給者証を添えて)提出しなければならない。