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健康保険法(2)-11

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テキスト本文の開始

 

 

 

6  報酬月額の算定の特例 (保険者算定・法44条)         重要度 ●   

 

条文

 


1) 保険者等は、被保険者の報酬月額が、第41条第1項(定時決定)、第42条第1項(資格取得時決定)若しくは前条第1項(育児休業等を終了した際の改定)の規定によって算定することが困難であるとき、又は第41条第1項、第42条第1項、第43条第1項(随時改定)若しくは前条第1項の規定によって算定した額が著しく不当であると認めるときは、これらの規定にかかわらず、その算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。 (平21択)


2) 前項の場合において、保険者が健康保険組合であるときは、算定方法は、規約で定めなければならない。

 

 

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3) 同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、定時決定、資格取得時決定、随時改定若しくは育児休業等を終了した際の改定又は保険者算定の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。(平7択)(平9択)(平10択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

(1) 定時決定において算定することが困難であるときの例

 


a) 3か月間(「4月、5月、6月」で以下同じ)とも報酬支払基礎日数が17日未満であるとき。


b) 病気欠勤のため、3か月間に報酬がないとき。


↓ この場合は…

 


従前の報酬月額によって、標準報酬月額を決定する。

 

 

(2) 定時決定において算定した報酬月額が著しく不当であるときの例

(昭36.1.26保発第4号)

 


a) 3か月間において、3月分以前の給料の遅配分を受け、又はさかのぼった昇給によって数か月分の差額を一括して受けるなど、通常受けるべき報酬以外の報酬を当該期間において受けた場合。 (平6択)


b) 3か月間のいずれかの月において、低額の休職給を受けた場合。


c) 3か月間のいずれかの月において、ストライキによる賃金カットがあった場合。


↓ この場合は…

 


a)については、当該遅配分、報酬差額分の報酬を除いて算定する。

 

b)又はc)について、「3か月間のすべてについて該当する場合」は、従前の報酬

月額とし、「その他の場合」は、9月以降において受けるべき報酬月額による。

 

 

(3) 短時間就労者(いわゆるパートタイマー)等の定時決定時について

 


a) 3か月間のうち報酬支払基礎日数が17日以上の月がある場合は、17日以上ある月の報酬月額の平均により算定された額により、標準報酬月額を決定する。

 

 

b) 3か月間のうち報酬支払基礎日数がいずれも17日未満の場合は、その3か月のうち15日以上17日未満の月の報酬月額により、標準報酬月額を決定する。

 

 

c) 3か月間のうち報酬支払基礎日数がいずれの月についても15日未満の場合は、従前の報酬月額によって、当該年度の標準報酬月額を決定する。

 

 

(4) 業務の性質の考慮が必要なもの (平23.3.31保保発0331第1号ほか)

 

前年改正

 


当年の4・5・6月の3か月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額との間に2等級以上の差を生じた場合であって、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合についても、保険者算定を行うことができる。


↓ この場合は…

 


前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した報酬月額による。

 

 

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7  任意継続被保険者の標準報酬月額 (法47条)           重要度 ●● 

 

条文

 


任意継続被保険者の標準報酬月額については、第41条(定時決定)から第44条(保険者算定)までの規定にかかわらず、次に掲げる額のうちいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とする。
(平4択)(平5択)(平7択)(平9択)(平10択)(平11択)(平13択)
(平20択)

 


イ) 当該任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額

 

 

ロ) 前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における当該任意継続被保険者の属する保険者が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額*1を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額*2

 


*平成24年1月から3月については、平成23年度内にあるから、「前々年」の9月30日時点における平均額(前年度の平均額のこと)が適用されるということ。

 

 

advance

 

□*1 健康保険組合が当該平均した額の範囲内においてその規約で定めた額があるときは、当該規約で定めた額を標準報酬月額とすることができる。

 

□*2 任意継続被保険者の標準報酬月額について、平成24年度(平成23年9月30日)における当該任意継続被保険者の属する協会が管掌する全被保険者の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額は、「280,000円(平成23年度と変更なし)」である(平24.1.16全国健康保険協会公告)。

 

◆通知 (則45条)

 


保険者は、任意継続被保険者の標準報酬月額の決定又は改定を行ったときは、その旨を当該被保険者に通知しなければならない。

 

 

8  特例退職被保険者の標準報酬月額 (法附則3条4項)    重要度 ●   

 

条文

 


特例退職被保険者の標準報酬月額については、第41条(定時決定)から第44条(保険者算定)までの規定にかかわらず、当該特定健康保険組合が管掌する前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日における特例退職被保険者以外の全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額前年の全被保険者の標準賞与額を平均した額の12分の1に相当する額との合算額の2分の1に相当する額の範囲内において規約で定めた額とする。(平13択)