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健康保険法(2)-1

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第 3 章

標準報酬月額
及び
標準賞与額

第1節  報酬及び賞与    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66
第2節  標準報酬月額    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
第3節  標準賞与額    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78

 

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第1節  報酬及び賞与

 

1  報酬及び賞与の範囲 (法3条5項・6項、法46条)     重要度 ●●●

 

条文

 


【報酬と賞与 (法3条5項・6項)】
5) この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び3月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。 (平23択)


6) この法律において「賞与」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、3月を超える期間ごとに受けるものをいう。

 

 

【現物給与の価額 (法46条)】
1) 報酬又は賞与の全部又は一部が、通貨以外のもので支払われる場合においては、その価額は、その地方の時価によって、厚生労働大臣が定める。
(平5択)(平7択)(平18択)


2) 健康保険組合は、前項の規定にかかわらず、規約で別段の定めをすることができる。 (平7択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「臨時に支払われるもの」は、報酬にも賞与にも該当しない。(平6択)

 

ここをチェック

 

(1) 報酬と解されるもの

 


【通貨で支払われるもの】

 

 

a) 基本給(報酬形態を問わない)

 

c) 残業手当(平3択)(平10択)

 

b) 通勤手当(平3択)(平4択)(平10択)


d) 年4回以上支給される賞与

(平2択)(平4択)

 

 

e) 疾病又は負傷で欠勤中に就業規則等の定めにより支給される休職手当

(平10択)


f) 家族手当、住宅手当、食事手当、役付手当、早出手当、皆勤手当、能率手当、生産手当、休業手当、各種技術手当、特別勤務手当、宿日直手当、勤務地手当 etc.

 

 

【現物で支払われるもの】

 

 

a) 通勤定期券(平5択)(平20択)


b) 食事、食券、社宅、独身寮、回数券、給与としての自社製品 etc.

 

 

通勤定期券の現物支給について、通勤定期券を購入して支給することは、被保険者が事業主から受ける利益の一であり、金銭で支払われるもののほか現物で支払われるものも労働の対償となり得える。これは、通勤費も生計費中の重要な支出の一であり、出張旅費の如き実費弁済的なものとは異なるからである

(昭32.2.21保文発1515号)。

 

 

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(2) 報酬と解されないもの

 


【通貨で支払われるもの】

 

 

a) 解雇予告手当(平10択)(平18択)    

 

b) 年3回まで支給される賞与(平3択)


c) 事業主が任意的、恩恵的に支給するもの

(結婚祝金、災害見舞金、病気見舞金etc.)


d) 実費弁償的なもの(出張旅費、出張手当、制服etc.)


e) 福利厚生的なもの(退職金、大入袋etc.)


f) 法定給付的なもの

(傷病手当金、労災保険法による休業補償給付、年金、恩給など)


g) 家賃、地代、預金利子、株主配当金 etc.

 

 

【現物で支払われるもの】

 

 

a) 事務服、作業服など勤務のための被服(平10択)


b) 食事に係る本人からの徴収金額が、標準価額により算定した額の3分の2以上の場合

 

 

(3) 退職金の取扱いについて

(平15.10.1保保発1001002号・庁保険発1001001号)

 


イ) 退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるもの又は事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものについては、報酬又は賞与には該当しない。 (平10択)(平16択)(平18択)(平21択)

 

 

ロ) 被保険者の在職時に退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格が明確であり、被保険者の通常の生計にあてられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、報酬又は賞与に該当する。(平23択)

 


具体的には、支給時期が不定期である場合についても「賞与」として取り扱い、これが年4回以上支払われているものであれば、「報酬」として通常の報酬月額に加算して取扱う。

 

 

毎年、創立記念日において、1年以上の勤労者に対し一定の金額を贈呈し、これを就業規則等による退職金に充当している場合であっても、退職金に相当する性質のものであれば報酬には含めない(昭26.11.17保文発4995号)。