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健康保険法(1)-12

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2  特例退職被保険者 (法附則3条)                      重要度 ●   


(1) 特例退職被保険者とは?

 

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わが国の医療保険制度は、「国民皆保険」制度とされており、企業を定年退職した場合など、原則として、a)任意継続被保険者、b)国民健康保険の被保険者、c)各医療保険制度の被保険者等の被扶養者、d)医療扶助(生活保護法)のいずれかの対象となる。


↓ その中で…


本制度は、簡単にいえば、定年退職以降、後期高齢者医療制度の被保険者等となるまでの間、財政運営面において安定している健康保険組合(特定健康保険組合)が、その退職者を対象として組合員として留めおく制度である。(平15択)

 


a) 被保険者側については、負担保険料が一般的なもの(任意継続被保険者や国民健康保険への加入等)に比べ割安であり、優良健康保険組合であるがゆえに、附加給付(一部負担金の減額等)が充実している場合が多い(被扶養者の認定制度もある)。

 

 

b) 医療保険制度全体については、前期高齢者(65歳以上75歳未満の者)に対する医療制度に要する費用のリスクを分散させることにより、各医療保険者に生じている制度間格差の改善を図ることができる。

 

 

(2) 適用要件 (法附則3条)

 

条文

 


1) 特定健康保険組合の組合員である被保険者であった者であって、改正前の国民健康保険法に規定する退職被保険者*1であるべきもののうち当該特定健康保険組合の規約で定めるものは、当該特定健康保険組合に申し出て、当該特定健康保険組合の被保険者(以下「特例退職被保険者」という)となることができる。ただし、任意継続被保険者であるときは、特例退職被保険者となることができない。


2) 特例退職被保険者は、同時に2以上の保険者(共済組合を含む)の被保険者となることができない。


3) 特例退職被保険者は、第1項の申出が受理された日から、その資格を取得する。 (平19択)

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□「特定健康保険組合」とは、厚生労働省令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の認可を受けた健康保険組合をいう。

 

□特例退職被保険者には、傷病手当金は、支給しない(6項)。

 

advance

 

□*1「退職被保険者」とは、次のものをいう(旧国民健康保険法8条の2第1項)。

 


市町村が行う国民健康保険の被保険者(老人保健法の規定による医療を受けることができる者を除く)のうち、被用者年金各法等に基づく老齢又は退職を支給事由とする年金たる給付を受けることができる者であって、次のイ又はロのいずれかの要件を満たすものは、退職被保険者となる。

 


イ) 年金保険の被保険者等であった期間が20年(中高齢者の特例に該当する場合は15年~19年)以上である者。

 

 

ロ) 40歳に達した月以後の年金保険の被保険者等であった期間が10年以上である者。

 

 

(3) 資格喪失 (法附則3条6項)

 

条文

 


特例退職被保険者は、任意継続被保険者とみなし、次のいずれかに該当するに至った日の翌日(ハに該当するに至ったときは、その日)から、その資格を喪失する。

 


イ) 改正前の国民健康保険法第8条の2第1項に規定する退職被保険者であるべき者に該当しなくなったとき。

 

 

ロ) 保険料(初めて納付すべき保険料を除く)を納付期日までに納付しなかったとき(その納付の遅延について正当な理由があると保険者たる特定健康保険組合が認めたときを除く)。 (平21択)

 

 

ハ) 後期高齢者医療の被保険者等となったとき。(平16択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□特例退職被保険者の申出をした者が、「初めて納付すべき保険料」をその納付期日までに納付しなかったときは、その者は、特例退職被保険者とならなかったものとみなす

 

 

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※テキスト52ページ~55ページは、過去問掲載ページです。WEB上での掲載はございません