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健康保険法(1)-1

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テキスト本文の開始

 

 

「健康保険法」学習を始める前に

 

健康保険法とは

 

健康保険法は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的として、我が国で最初に制定された社会保険に関する法律です。この法律が、大正11年に制定(昭和2年に施行)された後は、被用者に対する医療保険の中核となりました。
近年は、医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するため、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、保険者の再編・統合等の措置を講ずるなど、私たちの生活に係る医療保険制度の見直しが頻繁に行われています。

 

本試験について

 

<択一式>

択一式の出題数は合計10問(50肢)です。10点満点中4点以上をとることが合格への最低ラインとなります。
出題傾向としては、過去問の再出題もありますが、その周辺知識を題材にしたものが多く出題されています。施行令(政令)や施行規則(省令)、行政通達など、かなり細かな点を出題することもあり、意表を突く設問も目立ちます。
択一式対策としては、まず、本書掲載の過去問をもとに出題実績のある条文を確認し、徐々にその周辺の規定にまで広げていくとよいでしょう。なお、参考程度に掲載してある出題実績のない省令や通達などの規定についても一読することをおススメします。また、社会保険各法との共通規定や類似規定を、横断整理しておくと効果的です。
毎年、一部難解な問題があるものの、合格ラインの得点は容易に可能です。最終目標点数は、7~8点といったところでしょう。

 

<選択式>

選択式の出題数は5問です。5点満点中3点以上をとることが合格への最低ラインとなります。
出題傾向としては、正答を見極めにくい選択肢(数字・日付・類似用語のみ)だけで構成されている点が挙げられます。まずは、本書の太字箇所を押さえた上で、徐々に応用力を身につけ、想定外の問題にもある程度の適応力が発揮できるように、コツコツと積み上げる姿勢が必要です。また、1点救済が過去に2回(36回、40回)も行われているように出題レベルが安定していません。本試験において難問が出題された際にも、最後まであきらめず「回答」に集中しましょう。

 

各章のポイント

本書に記載の重要度を基準に、メリハリをつけて学習して下さい。具体的には、以下の点に注意して学習に取り組んでみましょう。数字を中心にポイントを整理しましょう。

 


第1章

総則
及び保険者

 

保険者については、協会けんぽの設立以降、出題が続いている。健康保険組合との相違点などを比較することも効果的である。

 

第2章

被保険者等

 

毎年出題あり。他法と混乱が生じやすい分野のひとつなので、適用要件や喪失要件に関し、しっかり理解すること。

 

第3章

標準報酬月額
及び標準賞与額

 

厚生年金保険法のテキストに記載したとおり、毎年どちらかの法律で出題がある。同法との共通点、相違点をしっかりと押さえ、確実に得点したい分野である。

 

第4章

届出等及び
保険医療機関等

 

届出については、事業主の届出と被保険者の届出に分けて大枠を押さえ、問題演習を通じて知識の微調整を図ること。保険医療機関等については、本書の太字を中心に覚えよう。

 

第5章

被保険者に
関する保険給付

 

毎年、必ず数点分出題される分野。a)保険給付の種類と考え方、b)被保険者と被扶養者の給付内容の相違点、c)各保険給付の具体的な支給内容(現物給付と現金給付の別、支給額、その他の数字等)などをマスターすることにより、確実な得点源としたい。

 

第6章

被扶養者に
関する保険給付

 

被保険者に関する保険給付(第5章)と同様の学習スタンス。本書の過去問の出題実績をもとにメリハリをつけた学習をしよう。

 

第7章

高額療養費等

 

ほぼ毎年出題される。単に支給要件等を覚えるだけでなく、具体的な支給額について計算できるようにしておきたい。

計算演習は、やま予備答練でも取り上げます

 

第8章

資格喪失後の
保険給付

 

被保険者に関する保険給付(第5章)の知識をベースに、この制度の対象となる要件を覚えること。

 

第9章

保険給付の通則

 

ストレート(条文どおり)な問題が出題されるので、一度きちんと学習しておけば、確実な得点源となる。

 

第10章

日雇特例
被保険者

 

出題頻度は低めであるが、健康保険法上特例的に支給されるカテゴリーであることから、a)日雇特例被保険者の特徴、b)被保険者に関する保険給付(第5章)との相違点を中心に学習しておけばよい。

 

第11章

費用の負担等

 

ほぼ毎年出題される。国庫負担や国庫補助に関しては、健康保険法の中でも難易度の高い箇所であり、意表を突く問題はここから出る。改正、暫定措置も多く、時間をかけた学習が必要である。保険料に関する規定は勉強しやすい。

 

第12章

不服申立て等

 

時効については、起算日を正確に覚えること。雑則は、過去問が少なく学習しにくいが、一読することは不可欠である。

 

 

学習前のアドバイス!

講義やその復習(過去問・テキスト読み込み)は、一定のリズムでこなし、早めに自分のペースにあった学習スタイルを確立しましょう。
学習中に生じた疑問点は、「同志たちの掲示板」などを活用し、その場で解決していくと記憶にも残りやすく効果的です。

 

 

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第 1 章

総則及び保険者

第1節 総則    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第2節 全国健康保険協会   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
第3節 健康保険組合    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 
第4節 健康保険組合連合会    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20 

 

 

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第1節  総則

 

1  目的 (法1条)                             重要度 ●   

 

条文

 


この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

(平10択)(平11択)(平21択)

 

 

2  基本的理念 (法2条)                      重要度 ●   

 

条文

 


健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。(平21択)

 

 

advance

 

◆検討 (平18改正法附則2条)

 


政府は、この法律の施行後5を目途として、この法律の施行の状況等を勘案し、この法律により改正された医療保険各法及び改正後の高齢者の医療の確保に関する法律(以下「高齢者医療確保法」という)の規定に基づく規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。(平21択)

 

 

3  保険者 (法4条)                            重要度 ●● 

 

条文

 


健康保険(日雇特例被保険者の保険を除く)の保険者は、全国健康保険協会及び健康保険組合とする。(平10択)(平11択)(平21択)(平3記)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□「日雇特例被保険者」の保険の保険者は、全国健康保険協会である(法123条1項)。