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一般常識(6)-11

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4  労働協約 (法14条~法18条)                        重要度 ●● 

 

条文

 


【労働協約の効力の発生 (法14条)】
労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。 (平18択)(平23択)

 

 

【労働協約の期間 (法15条)】
1) 労働協約には、3年をこえる有効期間の定をすることができない。

(平12択)


2) 3年をこえる有効期間の定をした労働協約は、3年の有効期間の定をした労働協約とみなす。


3) 有効期間の定がない労働協約は、当事者の一方が、署名し、又は記名押印した文書によって相手方に予告して、解約することができる。一定の期間を定める労働協約であって、その期間の経過後も期限を定めず効力を存続する旨の定があるものについて、その期間の経過後も、同様とする。(平1択)


4) 前項の予告は、解約しようとする日の少くとも90日前にしなければならない。

 

 

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【基準の効力 (法16条)】
労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする*1。この場合において無効となった部分は、基準の定めるところによる。労働契約に定がない部分についても、同様とする。

(平1択)

 

 

【一般的拘束力 (法17条)】
一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。

(平13択)(平23択)

 

 

【地域的の一般的拘束力 (法18条)】
1) 一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該労働協約の当事者の双方又は一方の申立てに基づき、労働委員会の決議により、厚生労働大臣又は都道府県知事は、当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約(第2項の規定により修正があったものを含む)の適用を受けるべきことの決定をすることができる


2) 労働委員会は、前項の決議をする場合において、当該労働協約に不適当な部分があると認めたときは、これを修正することができる。


3) 第1項の決定は、公告によってする。

 

 

ちょっとアドバイス

 

◆*1 労働協約の規範的効力(平11記)

 


労働協約に定める基準を上回る労働条件を定めた「労働契約」は有効か無効か?


↓ 関連条文において…

 


a)【労働組合法16条】 労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。

 

 

b)【労働契約法12条】 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。

 

 

↓ 違いは!

 


a)は、上回っても下回っても「違反」となる(有利原則否定説)。
<理由> これを認めると使用者による労働組合の切崩しを招く可能性があるから。

 

 

b)は、下回ったときのみ「達しない」こととなる(有利原則肯定説)。
<理由>労働基準法の本旨である労働者の保護に沿った解釈を優先しても労働者に不利益は生じないから。

 

 

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第2節  労働関係調整法

 

1  総則 (法1条~法9条)                              重要度 ●   


(1) 目的等 (法1条~法5条)

 

条文

 


この法律は、労働組合法と相まって、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、又は解決して、産業の平和を維持し、もって経済の興隆に寄与することを目的とする。

 


【労働争議 (法6条)】
「労働争議」とは、労働関係の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生している状態又は発生する虞がある状態をいう。

 

 

労働関係の当事者は、互に労働関係を適正化するように、労働協約中に、常に労働関係の調整を図るための正規の機関の設置及びその運営に関する事項を定めるように、かつ労働争議が発生したときは、誠意をもって自主的にこれを解決するように、特に努力しなければならない。

 

 

政府は、労働関係に関する主張が一致しない場合に、労働関係の当事者が、これを自主的に調整することに対し助力を与へ、これによって争議行為をできるだけ防止することに努めなければならない。

 


【争議行為 (法7条)】
「争議行為」とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行う行為及びこれに対抗する行為であって、業務の正常な運営を阻害するものをいう。(平21選)

 

 

この法律は、労働関係の当事者が、直接の協議又は団体交渉によって、労働条件その他労働関係に関する事項を定め、又は労働関係に関する主張の不一致を調整することを妨げるものでないとともに、又、労働関係の当事者が、かかる努力をする責務を免除するものではない

 

 

この法律によって労働関係の調整をなす場合には、当事者及び労働委員会その他の関係機関は、できるだけ適宜の方法を講じて、事件の迅速な処理を図らなければならない

 

 

ここをチェック

 

□争議行為が発生したときは、その当事者は、直ちにその旨を労働委員会又は都道府県知事に届け出なければならない(法9条)。(平5択)(平6択)

 

□工場事業場における安全保持の施設の正常な維持又は運行を停廃し、又はこれを妨げる行為は、争議行為としてでもこれをなすことはできない(法36条)。

 

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ちょっとアドバイス

 

□代表的な争議行為には、次のような行動がある。

 


同盟罷業
(ストライキ)

 

労働者が団結して労働力の提供を拒否し、労働力を使用者に利用させない行為のこと。一部スト、部分スト、波状スト等がある。

 

 

怠業
(サボタージュ)

 

 

表面的には仕事を継続しながら、労働者が団結して仕事の効率を落とす(部分的に使用者の指揮命令に従わない)こと。(平15択)

 

 

作業所閉鎖
(ロックアウト)

 

 

使用者が、労働者に対して作業所を閉鎖して労働者を就業不能の状態におき、労働者の提供する労務の受領を拒否すること。

 

 

不買運動
(ボイコット)

 

 

組織的、集団的にある商品の不買運動を行ったり、取引を拒絶したりする、または、会合や運動などに参加しないこと。

 

 

就労阻止
(ピケッティング)

 

 

労働争議でストライキの実効性を確保するため見張人(ピケット)を置き、スト参加への要請、スト破りの防衛等を行うこと。

 

 

(2) 公益事業 (法8条ほか)

 

条文

 


【公益事業 (法8条)】
1) この法律において公益事業とは、次に掲げる事業であって、公衆の日常生活に欠くことのできないものをいう。

 


a) 運輸事業      b) 郵便、信書便又は電気通信の事業
c) 水道、電気又はガスの供給の事業      d) 医療又は公衆衛生の事業

 

 

2) 内閣総理大臣は、前項の事業の外、国会の承認を経て、業務の停廃が国民経済を著しく阻害し、又は公衆の日常生活を著しく危くする事業を、1年以内の期間を限り、公益事業として指定することができる。


3) 内閣総理大臣は、前項の規定によって公益事業の指定をしたときは、遅滞なくその旨を、官報に告示するの外、新聞、ラヂオ等適宜の方法により、公表しなければならない。

 

 

【通知 (法37条、法38条)】
1) 公益事業に関する事件につき関係当事者が争議行為をするには、その争議行為をしようとする日の少なくとも10日前までに、労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を通知しなければならない。


2) 緊急調整の決定があった公益事業に関する事件については、前項の規定による通知は、第38条に規定する期間を経過した後でなければこれをすることができない。

 

 

緊急調整の決定をなした旨の公表があったときは、関係当事者は、公表の日から50日間は、争議行為をなすことができない。

 

 

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2  開始手続 (法12条ほか)                             重要度 ●   

 

ここをチェック

 


【斡旋 (法12条1項)】
労働争議が発生したときは、労働委員会の会長は、関係当事者の双方若しくは一方の申請又は職権に基いて、斡旋員名簿に記されてゐる者の中から、斡旋員を指名しなければならない。

 

 

【調停 (法18条)】
労働委員会は、次の各号のいずれかに該当する場合に、調停を行う。

 


a) 関係当事者の双方から、労働委員会に対して、調停の申請がなされたとき。

 

 

b) 関係当事者の双方又は一方から、労働協約の定めに基づいて、労働委員会に対して調停の申請がなされたとき。(平12択)

 

 

c) 公益事業に関する事件につき、関係当事者の一方から、労働委員会に対して、調停の申請がなされたとき。

 

 

d) 公益事業に関する事件につき、労働委員会が職権に基づいて、調停を行う必要があると決議したとき。

 

 

e) 公益事業に関する事件又はその事件が規模が大きいため若しくは特別の性質の事業に関するものであるために公益に著しい障害を及ぼす事件につき、厚生労働大臣又は都道府県知事から、労働委員会に対して、調停の請求がなされたとき。

 

 

【仲裁 (法30条)】
労働委員会は、次の各号の一に該当する場合に、仲裁を行う。

 


a) 関係当事者の双方から、労働委員会に対して、仲裁の申請がなされたとき。

 

 

b) 労働協約に、労働委員会による仲裁の申請をなさなければならない旨の定がある場合に、その定に基いて、関係当事者の双方又は一方から、労働委員会に対して、仲裁の申請がなされたとき。(平9択)