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(2) 労働組合の定義 (法2条)
この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。但し、次の各号の一に該当するものは、この限りでない。
イ) 役員、雇入解雇昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者、使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接に抵触する監督的地位にある労働者その他使用者の利益を代表する者の参加を許すもの(平6択)(平14選)
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ロ) 団体の運営のための経費の支出につき使用者の経理上の援助を受けるもの *1
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ハ) 共済事業その他福利事業のみを目的とするもの
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ニ) 主として政治運動又は社会運動を目的とするもの
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◆*1「経理上の援助」の判断例
【援助に該当するもの】
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a) 組合用務のための出張旅費、手当等を支給すること
b) 組合専従役職員の賃金を負担すること
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【援助には該当しないもの】
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a) 労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すこと
b) 厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対して使用者が寄附すること
c) 最小限の広さの事務所を供与すること
d) 組合員の給与から組合費を差し引いて組合に渡すこと(平1択)
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新設
◇業務委託契約vs労働組合法上の労働者◇
イ) 住宅設備機器の修理補修等を業とする会社(住宅設備のメンテナンス会社)と業務委託契約を締結してその修理補修等の業務に従事する受託者(個人事業主)が、一定の事実関係の下では、上記会社との関係において労働組合法上の労働者に当たるとされた事例。
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ロ) 年間を通して多数のオペラ公演を主催する財団法人(劇場側)との間で期間を1年とする出演基本契約を締結した上、各公演ごとに個別公演出演契約を締結して公演に出演していた合唱団員(音楽家)が、一定の事実関係の下では、上記法人との関係において労働組合法上の労働者に当たるとされた事例(いずれも平23.4.12最高裁第3小)。
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↓ この判決を受けて…
□厚生労働省の「労使関係法研究会」は、平成23年7月25日、労働組合法上の労働者性の判断基準について報告書をとりまとめた。
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労働組合法は、労働者と使用者とが対等の立場に立って交渉することを実現すべく、労働組合の結成を擁護し、労働協約の締結のための団体交渉を助成することを目的としています。
しかし、業務委託・独立自営業といった働き方をする人が加入する労働組合が、契約先に対して団体交渉を求めたところ、労働者ではないとして団体交渉を拒否され、紛争に至る事例が生じています。
労働組合法で定義される「労働者」に該当するか否かについて判断が困難な事例が多い中で、確立した判断基準が存在しなかったこともあり、このような紛争を取り扱った労働委員会の命令と裁判所の判決で異なる結論が示され、法的安定性の点から問題となっていました。
研究会において、労働組合法の趣旨・目的、制定時の立法者意思、学説、労働委員会命令・裁判例等を踏まえ、労働者性の判断基準を報告書として提示したものです。
具体的には、以下の判断要素を用いて総合的に判断すべきものとしています。
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イ) 基本的判断要素
a) 事業組織への組み入れ
労務供給者が相手方の業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として組織内に確保されているか。
b) 契約内容の一方的・定型的決定
契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を相手方が一方的・定型的に決定しているか。
c) 報酬の労務対価性
労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格を有するか。
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ロ) 補充的判断要素
a) 業務の依頼に応ずべき関係
労務供給者が相手方からの個々の業務の依頼に対して、基本的に応ずべき関係にあるか。
b) 広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束
労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の供給を行っていると広い意味で解することができるか、労務の提供にあたり日時や場所について一定の拘束を受けているか。
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ハ) 消極的判断要素
a) 顕著な事業者性
労務供給者が、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者と見られるか。
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また、基本的判断要素の一部が充たされない場合でも直ちに労働者性が否定されないこと、各要素を単独に見た場合にそれ自体で直ちに労働者性を肯定されるとまではいえなくとも他の要素と合わせて総合判断することにより労働者性を肯定される場合もあること、に留意する必要があるとしています。さらに、各判断要素の具体的検討にあたっては、契約の形式のみにとらわれるのではなく、当事者の認識や契約の実際の運用を重視して判断すべきであるとしています。
厚生労働省は、報告書について、業務の参考として中央労働委員会(都道府県労働委員会)や都道府県に通知し、関係者に広く周知を図ることとしています。
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2 交渉権限 (法6条) 重要度 ●
労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。 (平6択)(平23択)
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3 不当労働行為 (法7条) 重要度 ●●
使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
イ) 次のいずれかに当たること。*1
a) 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。
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b) 労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること(「黄犬契約」という)。
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ロ) 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。 (平2択)(平12択)(平23択)
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ハ) 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。
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ニ) 労働者が、次のいずれかに該当したことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。<特殊不当労働行為>
a) 労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと。
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b) 中央労働委員会に対し第27条の12第1項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと。*2
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c) 労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたこと。
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□*1 労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。(平5択)
↓ 具体的には…
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◆ショップ制(組合員資格と従業員資格との関係を定める制度のこと)
クローズドショップ制 |
組合員資格と従業員資格との間に、厳しい制約があるもの。使用者は、特定の組合員資格がある者のみ雇入れることができる。また、当該組合の組合員資格がなくなったときは、解雇しなければならない。
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ユニオン
ショップ制 |
組合員資格と従業員資格との間に、一定の制約があるもの。使用者は、組合員資格があるか否かを問わず雇入れできるが、雇入れられた労働者は労働組合に加入しなければならない。また、労働組合に加入しない又は脱退し又は除名された従業員については、解雇しなければならない。
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オープン
ショップ制 |
組合員資格と従業員資格との間に、何ら制約がないもの。使用者の雇入れ及び労働者の労働組合への加入・脱退については、自由である。
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*2【再審査の申立て (法27条の15)】
1) 使用者は、都道府県労働委員会の救済命令等の交付を受けたときは、15日以内(天災その他この期間内に再審査の申立てをしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、その理由がやんだ日の翌日から起算して1週間以内)に中央労働委員会に再審査の申立てをすることができる。ただし、この申立ては、救済命令等の効力を停止せず、救済命令等は、中央労働委員会が第25条第2項の規定による再審査の結果、これを取り消し、又は変更したときは、その効力を失う。(平9択)
2) 前項の規定は、労働組合又は労働者が中央労働委員会に対して行う再審査の申立てについて準用する。
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