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一般常識(5)-14

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第3節  パートタイム労働法

 

正式名称:短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律

 

1  目的等 (法1条、法2条)                            重要度 ●   

 

条文

 


【目的 (法1条)】
この法律は、我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間労働者の果たす役割の重要性が増大していることにかんがみ、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。

 

 

【定義 (法2条)】
この法律において「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。

(平8択)

 


□「通常の労働者」のうち、当該事業所に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に雇用される労働者にあっては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働
者をいう。

 

 

2  雇用管理の改善等に関する措置 (法6条、法7条)      重要度 ●   

 

条文

 


【労働条件に関する文書の交付等 (法6条)】
1) 事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法第15条第1項(労働条件の明示)に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの(「特定事項」*1という)を文書の交付その他厚生労働省令で定める方法*2(「文書の交付等」という)により明示しなければならない。


2) 事業主は、前項の規定に基づき特定事項を明示するときは、労働条件に関する事項のうち特定事項及び労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものについても、文書の交付等により明示するように努めるものとする。(平9択)

 

 

【就業規則の作成の手続 (法7条)】
事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。(平11択)

 

 

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ちょっとアドバイス

 

□*1 短時間労働者に対して明示しなければならない労働条件に関する「特定事項」とは、次に掲げるものとする(則2条1項)。

 


a) 昇給の有無      b) 退職手当の有無      c) 賞与の有無

 

 

□*2「厚生労働省令で定める方法」は、前記a)からc)に掲げる事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを当該短時間労働者が希望した場合における当該方法とする(則2条2項)。

 


a) ファクシミリを利用してする送信の方法

 

 

b) 電子メールの送信の方法(当該短時間労働者が当該電子メールの記録を出力することによる書面を作成することができるものに限る)

 

 

3 雇用管理の改善等に関する具体的措置(法8条~法16条) 重要度 ●● 


(1) 通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止

(法8条)

 

条文

 


1) 事業主は、通常の労働者と同視すべき短時間労働者*1については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。(平20択)


2) 前項の期間の定めのない労働契約には、反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約を含むものとする。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*1「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」とは、次の要件を満たすものをいう。

 


a) 職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者であること(「職務内容同一短時間労働者」という)。

 

 

b) 当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているものであること。

 

 

c) 当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものであること。

 

 

(2) 通常の労働者と同視すべき短時間労働者以外の者に係る賃金 (法9条)

 

条文

 


1) 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金(通勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるもの*2を除く、次項において同じ)を決定するように努めるものとする。

 

 

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2) 事業主は、前項の規定にかかわらず、職務内容同一短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主に雇用される期間のうちの少なくとも一定の期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるものについては、当該変更が行われる期間においては、通常の労働者と同一の方法により賃金を決定するように努めるものとする。(平20択)

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*2「厚生労働省令で定める賃金」は、次に掲げるものとする(則3条)。

 


a) 通勤手当      b) 退職手当      c) 家族手当      d) 住宅手当      e) 別居手当
f) 子女教育手当      g) a)からf)に掲げるもののほか、名称の如何を問わず支払われる賃金のうち職務の内容に密接に関連して支払われるもの以外のもの

 

 

(3) 通常の労働者と同視すべき短時間労働者以外の者に係る教育訓練 (法10条)

 

条文

 


1) 事業主は、通常の労働者に対して実施する教育訓練であって、当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必要な能力を付与するためのものについては、職務内容同一短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く)が既に当該職務に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合*3を除き、職務内容同一短時間労働者に対しても、これを実施しなければならない


2) 事業主は、前項に定めるもののほか、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力及び経験等に応じ、当該短時間労働者に対して教育訓練を実施するように努めるものとする。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*3「厚生労働省令で定める場合」とは、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く)が既に当該職務に必要な能力を有している場合である(則4条)。

 

(4) 通常の労働者と同視すべき短時間労働者以外の者に係る福利厚生施設

(法11条)

 

条文

 


事業主は、通常の労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、健康の保持又は業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるもの*4については、その雇用する短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者を除く)に対しても、利用の機会を与えるように配慮しなければならない

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*4「厚生労働省令で定める福利厚生施設」は、次に掲げるものとする

(則5条)。

 


a) 給食施設      b) 休憩室      c) 更衣室

 

 

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(5) 通常の労働者への転換 (法12条)

 

条文

 


1) 事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない

 


イ) 通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知すること。(平20択)

 

 

ロ) 通常の労働者の配置を新たに行う場合において、当該配置の希望を申し出る機会を当該配置に係る事業所において雇用する短時間労働者に対して与えること。

 

 

ハ) 一定の資格を有する短時間労働者を対象とした通常の労働者への転換のための試験制度を設けることその他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること。

 

 

2) 国は、通常の労働者への転換を推進するため、前項各号に掲げる措置を講ずる事業主に対する援助等必要な措置を講ずるように努めるものとする。

 

 

(6) その他 (法13条~法16条)

 

条文

 


【待遇の決定に当たって考慮した事項の説明 (法13条)】
事業主は、その雇用する短時間労働者から求めがあったときは、第6条から第11条まで及び前条第1項の規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間労働者に説明しなければならない

 

 

【指針 (法14条)】
厚生労働大臣は、第6条から第11条まで、第12条第1項及び前条に定めるもののほか、第3条第1項の事業主が講ずべき雇用管理の改善等に関する措置等に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。

 

 

【短時間雇用管理者 (法15条、則6条)】
事業主は、常時10人以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者を選任するように努めるものとする。 (平6択)(平8択)(平12択)(平17択)

 


□事業主は、一定の事項を管理するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから当該事項を管理する者を短時間雇用管理者として選任するものとする(則7条)。

 

 

【報告の徴収並びに助言、指導及び勧告 (法16条)】
1) 厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、短時間労働者を雇用する事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる


2) 前項に定める厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができる。

 


□厚生労働大臣の権限は、厚生労働大臣が全国的に重要であると認めた事案に係るものを除き、事業主の事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長が行うものとする(則8条)。